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EAH-AZ100

さてオーディオ界隈がEAH-AZ100の話題で持ちきりなのは言うまでもありません。
今回はMOMENTUM True Wireless2からEAH-AZ100に乗り換えた、私の主観に満ちた記事にはなりますが、少しでも参考になれば幸いです。

前置きはさておき、今回は①音質②良い点③悪い点について話そうと思います。


EAH-AZ100

①音質について

皆さんが一番気になっているのはやはり音質ではないだろうか。
私自身は普段、イヤホンに対して音質の評価は一番重要視する部分であり、それに伴ってフィット感とノイキャンの効き具合を優先順位として評価しています。

早速ですがこのイヤホンの私的総合評価は…

一言でいえば"最高"または"大満足"です。

特筆すべきは全体的な"バランスの良さ"と音場の広さに由来する"空間表現の良さ"だと感じます。
詳しくレビューしていきます。

[バランス感]

音域全てを余すことなく鳴らすことのできるユーティリティプレイヤー的存在。
味付けは意図的に薄くされており、全ての音が均一に鳴っているモニター寄りの質感だと思います。
元々の素材の良さをふんだんに生かすタイプではないでしょうか。
しかし平坦で面白みの無い音では全くなく、"音の厚み""情報量"が他のイヤホンと比べて圧倒的に多く、聞いていて全く飽きがこないのが良いところです。
むしろ聞けば聞くほど様々な音が出て来るので、ずっと音楽を聞いていたいと感じることができる最強のイヤホンだと私は感じています。

注意すべき点が1点だけあります。
どのイヤホンにも共通する部分ではありますが、装着感です。
特にこのイヤホンでは耳にフィットしないと、中高域の音の情報量が格段に落ちてしまい、重低域のボワンボワンとした音だけが響くことになるのでかなり音が篭ってしまいます。
私の場合は純正のイヤーピースだと耳にフィットせず「購入を失敗したかな。」と思いましたが、イヤーピースを変えることでフィット感が改善し、中高域のクリアさが出てきたことで全体的なバランスが良くなりました。
ちなみに私はAZ80で御用達のコレイルを使用しています。
弦の張る音が一音ずつ出てきたことで、情報量の少ないアコースティック音源も楽しく聞けるようになりました。
ちなみにこのイヤーピースは高域に金属系の音が強調されるので合うイヤホンは限定されるはずなのですが、このイヤホンは全域を余裕を持って鳴らしてくれるので、広域が全くキンキンせずに聞くことができます。
本当にすごい。

[空間表現]

音の感覚としては、大きなホールの中で各々の音が反響していくイメージが的確かと思います。
ここで大事なのが重低域の響きです。
前述した通り、単純に他の部分と比べると重低域の主張は強めです。
これは放散された数々の情報量を一手にまとめる役割を担っており、これが空気感や生音感を演出していると感じます。
しかし、BOSEやSENNHEISERなどのアタック感の強い中低域とは違い、ライブ会場の深い音圧と類似しています。
Technicsが謳っている"生音感"やアーティストのありのままを伝えるというコンセプトは、これにより見事に体現されています。
さてこの包み込むような重低域ですが、ただ圧が強い訳では無く"深い"ところがミソになっています。
この深みが無いと空間が閉鎖的になってしまい、圧迫感を感じたり音が篭っているように感じてしまいます。
これに該当するのが今まで私が使っていたMTW2や3の音であり、EQでの改善には限界を感じていました。
対してこのAZ100は高音域の抜け感に対して、絶妙なバランスの重低音によってまとまりが感じられるにも関わらず開放的な音であるため、まるでホールの中の様な響きが感じられるようになっています。


[EAH-AZ80との違い]

さてこれまで散々褒めちぎってきたように、AZ100がいい音なのは間違いありません。
ただ賛否両論があるのも事実です。

問題は前機種である"EAH-AZ80"の存在。

AZ80はVoの中高音域がかなり近くに位置する音作りとなっていますが、綺麗な抜け感はそのままにタイトな低域が音を締めてくれています。
要するに、歌において一番美味しい部分が前面に出ることで、どんな音楽にもマッチする良機種であったと感じます。
ただ裏を返せば、他の音域は自分より遠くに位置しており、全体を見た時のバランス感が非常に独特でした。
私はこのイヤホンの定位感(チューニング)に少し違和感を覚えたので購入には至らず、良いイヤホンではありますが少し独特さを感じていました。
結果的にこのイヤホンに耳が慣れている人からすると、今回の機種は「Voが埋もれている」「低音が強すぎる」と感じざるを得ないと思います。

言っていることは重々理解できます。
否定するつもりもありません。

ただおそらくですが、Technicsが作りたかった音は今回の"これ"なんだと思いました。
このバランス感を生むためには前作のキラキラした高音域が必要だったのではないかと考えています。

前作から変わったのは間違いなく重低域の深みと、それに伴う定位感だと思います。
何度も言いますが、今回の肝であるこの深い重低域はTZ-700由来の磁性流体によるものだと思います。
中高域が埋もれてしまったと感じた要因は、この重低域にあるのでは無く、音の分離を損なわずに、尚且つ定位をニュートラルにさせた結果だと考えています。
そのため派手さやキラキラ感は間違いなく前作より乏しいのですが、全体を見た時の緻密なバランス構成と完成度は今作が圧巻の出来だと思います。
ワイヤレスイヤホン界隈はいい意味での限界を迎えており、これ以上の音質を求めるためには、新たな革新的コーデックを作る以外には無いだろう。

磁性流体ドライバー


ちなみにEQの設定はおすすめしません。
このイヤホンの真骨頂である、まるでホールにいるかのような空気感を最大限活かすのであれば、ダイナミックモード(EQ無し)以外の余地は無いと感じました。
しかしこれはEQが悪いとかそういう問題ではないので、各々の聞きやすい音に設定してもらえれば幸いです。
是非ともダイナミックモードによる深い重低音に耳が慣れてきた頃には、もう戻れない雲の上の領域が見えてくると革新しています。
皆様の音楽生活に幸あれ。
(例外として、家で小さな音で聴くのであれば、高音寄りのEQ設定に変えた方が聴きやすいかもしれません)

EQ BLOCKによりノイズをカット

②良い点

[小型化・軽量化]

次に驚いたのは"軽さ"
小型化、軽量化が進化し、もはや付けていないのも同義と感じます。
遂にここまで来たか…と言わざるを得ない。
前作から左右各々で1.0gずつしか軽くなっていないようですが、体感はかなり変化しています。
おそらく本体の小型化により耳へのフィット感が変化した影響かと思います。
ただこれに関しては、イヤホン本体やイヤーピースの形状により各々の耳へのフィット感が違うので、自身の耳に合うものを選んでください。

前作よりさらに小型化されたEAH-AZ100

[ノイズキャンセリング]

アクティブノイズキャンセル機能(環境に応じて都度自動調整してくれる機能)が追加されましたが、この機能に関してはあまり実感はありません。笑
ただノイキャン性能自体は前作より進化しており、「うるさいな」と感じるガヤガヤした音や駅構内・電車のガタゴトした音・トンネルの中など不快に感じる音は全てカットされています。
人の話し声やアナウンスの音は耳を澄ますと聞こえる程度で、音楽を聴く分には申し分ない程度です。
というか、ノイキャンあり気でこの音質は本当に化け物級。圧巻です。
ホワイトノイズは全く感じず、耳への圧迫感もありませんでした。
この絶妙な調整はさすが天下のPanasonicと言わざるを得ません。

③悪い点

本当にありません。
地味にマルチポイント3台接続できますし、充電持ちも充分です。
巷では接続性について悪いと感じる方もいるそうですが、LDAC接続だからでしょうか?
私はiPhone、AAC接続、音質優先の設定ですが、京都駅の人混みにも問題なく接続できています。
むしろMTW3の方が途切れていました。笑
接続の不具合に関しては、後々のアップデートの対象となりそうなので乞うご期待です。

外音取り込み機能や強いノイズキャンセリング機能、通話品質などは評価の対象ではありませんので、ご了承ください。

④まとめ

未視聴で購入しドキドキしていましたが、私的には2025年ベストバイに堂々ランクインする出来で大満足です。
不具合が無ければ4年間くらいは聴き続けたいと思います。
最後まで見ていただきありがとうございました。

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