私記14(花の名前)
梅雨って来てますか?なんかすごい晴れとるが。梅雨どき雨が十分に降らないとほんとうに不安になる。なにか重要な基礎的なしくみが十全に機能していない感じがする。同じ理由で暖冬も苦手である。でも道を歩いていてひかげにどくだみの群れを見つけると六月だなあという感じがする。あじさいも咲き始めた。
「どくだみ」って名前、おどろおどろしいね。植物につける名前じゃない。濁音が二つも入ってる。入れても一個だしせめてザ行だろ。調べてみたら、あの匂いのせいで毒があると思われて「毒溜め」、転じて「どくだみ」らしい。実際はいい薬になるのに。イメージでつけちゃった名前が「違ったか」とわかるのはいつもその名前が広まってしまったあとだ。人間の業だと思って許してくれ。実際かなりくさいし。
最近、植物の話しか書いてない気がする。天気と植物。のんきすぎる。でも自意識のことばかり考えてるよりずっといい。衛生的だ。「別れる男に、花の名を一つは教えておきなさい。花は毎年必ず咲きます」って川端康成の書いた有名な一節がある。いいアイデアだが教えられるほど花を知らないし別れる男もいない。いないうちに詳しくなっておいてそんな隙なくしておきましょうねのつもりで、植物図鑑アプリを入れた。植物の写真を撮ると名前を教えてくれるやつ。もっこうばら、ときわまんさく、ひるさきつきみそう、覚えました。雲の名前も覚えたい。そういうアプリあんのかな。精神的武装の選択肢が多くて助かる。何と戦うつもりか知らんが。本を読んだり音楽聴いたりするのと、おそらく根本的には同じことだ。あ、これ知ってる、のピンを手元に増やしておいて、とめたいものが見つかったらすばやく壁にとめられるように。
ところで昨日、ベランダで喫煙したあとうっかりライターを置きっぱなしにして、一晩雨に打たせてしまったのを、いま点けてみたら炎がもとの倍くらいの大きさになっている。これってやばいですか?正直使いやすいのですが、使い続けると爆発するとかあるのかな。何か知ってる方があれば助言賜りたいです。百円のbicのやつです。