私記9
ベランダに出て自分のくちからのぼる煙とはなす。
完結する物語なんて存在しないんだほんとうは それが人間の想像力だから。不感でいることと消耗しないことは全然違って、見ることと書くことはおなじだ。好きな大人はいない。自分を含めて。見たら書け。書くことでしか見たことを実証できないから。ただの雑駁とリアリティとを履き違えないこと。皮相な猥雑ばかりみてそれが全部だとおもわないこと。きれいなものは避けがたくあるのできちんときれいだと言いたい。死にたいのに腹が減るのを恨まないように。
誰のことも同じように好きなのは誰も好きじゃないのと同じだなんてそんなわけねえだろ、文字どおり誰のことも好きなんだよ、本気で大切に思っている、それは良くないことで、嘘だっていうのか。そんなわけないだろ。みんな大切なんだよ。本当に大切。好きな人のことを本当に好きで、好きな人を好きでいることを誇りに思っている。なんか一個飛び抜けてないといけないの? うるせえ。これはわたし個人のもんだいだから性的志向とはかんけいない。名前は人間のためにあるんで名前のために人間がいるんじゃない。おれが欲しいのは固有名詞の関係だけだ。固有名詞の、現在形の、関係だけだよ。わたしとあなただけが知っている名前で呼べる関係しかわたしはいらない。知らないものをこそ見たら書け。おまえの固有名詞で実証しろ。
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本買ったりケーキ食べたりします 生きるのに使います