エルレ所感
LUNA SEA主催のMUSIC AID FESTでエルレを観た。いや、すごかった。かっこよかった。salamanderがくると思っていなかったので倍して高揚した。編集も力が入っていて良かったな。最初に細美さんが映ったとき、眉毛がなかったのには笑っちゃったけど。
エルレの曲って、じつは演者が歳を取るほど、どんどん味が出てくる曲なんじゃないかとおもう。理論的なことは書けないが、今日のsalamanderのスパイスの効きかたは、もとの音源を聴いたときには感じなかったものだ。音源とかMVにあふれている、追い上げられるような切迫した興奮よりは、肌に直接くる快感みたいなのが、緊密な音の中にところどころあって、ぞくっとするぐらいの色気が一瞬強烈に香るような、そんな感じだった。
マリンフィールドで幸運にもエルレを見れたときのMiddle of nowhereもヤバかった。全然違う曲みたいだった。雑念をけんめいに振り払おうとしているような不安定さやぎこちなさが、食い入ってくる魅力になっていた曲だけれども、十年越しのあの舞台では、もうその揺らぎを乗りこなして、なめらかにのたくり、波打って、聴き手をぐんぐん飲み込んでいく余裕があった。爬虫類のぬめりで、体温はしっかり人間のもの。ちょっと呆気にとられるぐらいエロかった。
細美さん個人にもそういうエロさを感じるときがある。彼が筋骨たくましいからとか、しょっちゅう脱ぐからとかではない。細美さんの佇まいって、本当に特別だ。まわりの空気を押して直立させるような圧力があって、立体的で、画面越しでも体温や体臭(悪い意味でなく)が伝わってきそうな肉感がある。ほかの人のライブ映像とかを観ているときには感じない親密な近さが、彼のすがたにはなんとなくある。けれども同時に、彼には、そこだけほんの少し真空の気配を、感じるときもあるのだ。目がふっと吸い寄せられるような、静謐な。宗教的といえばいいだろうか。それは遠さだとおもうのだが。不思議。細美武士という名前の、なんというか、マジかよというような美しさにははじめからびっくりしていたけれども、この名が、あの空気をまとう人のものである事実は、ものすごい確率で醸成された詩であるように思えてしかたない。
勢いにまかせて気持ち悪いこと書いた気がするが、嘘は書いていない。またエルレのライブに行ける日の一刻も早いことを願う。