私記15(近況)
1、俳人の夏井いつき先生のYouTubeチャンネルを見るようになった。「プレバト」での鮮やかかつ丁寧な指導のさまを感動しながら見ていたからYouTubeも楽しんでいる。無料で聴いていいのか…肝腎の句集をまだ読めてないので早いとこ手に入れて読みたい。
プレバトほんとにいい番組で、これまで見てきたなかにも名句がいっぱいあった。
空を引っかく 葉先から枯るる
自由律!「紅葉の写真で一句」というお題でノンスタ石田明が詠んだもので、石田は「紅葉の葉先が枯れて丸まっているのを見て、空を引っかいているからそこから枯れていくのかなと思った」というようなことを言っていた。きめ細かな視点と想像力。夏井先生は文法の修正とスピード感から「空引っかく 葉先から枯る」と直していたと思うが、それでもかなり褒めてたはず。そりゃびっくりする。
よく出ている人の俳句を見てると、育成されてる…!という感動がある。夏井先生は褒めるところしっかり褒めるし、言い方が的確で実に澱みなく、直すにしても「あなたの言いたいことがこうであるならここは余分、このほうが伝わる」という詠み手本位の直し方をしてくれる。すばらしい指導者だと思う。梅沢富美男氏の口やかましいのも浜ちゃんと夏井先生がさばいてくれるので見やすくてありがたい。梅沢氏の句もカッコいい。いま句集を出すために一回に一句ずつ50句選出している。ボツ作はその場で抹消。バラエティらしからぬストイックさ。
わたしがもうずっと忘れられないのが東国原英夫氏の句。石田明、フルポン村上、FUJIWARA藤本と氏で、「俳都」松山でひらかれた高校生俳句甲子園にプレバトチームとして出たときのもの。
鰯雲仰臥の子規の無重力
秋の高い空の鰯雲を見て、病床にあった子規の意識をそこに投影したという。「無重力」の一語に、俳人としての子規への敬意もあり重い病へのいたわりもあって実に見事だった。会場でも圧勝だったと思う。東国原氏の句は滋味というか視線に奥行きがあって繰り返し読みたくなる。
プレバトの俳句集めた本とか出てないのかな。かなり売れると思うのだが。
2、最近ベロベロになるやつをやってないなと思い家でひとりでベロベロになるまで飲んでそのまま寝た。吐くまではさすがにいかなかったが翌朝の頭の重さ、胃袋の拗ね方、味噌汁の沁み具合がすごく、水呑みながらもう二度とやんね〜と思うところまでの一連を遂げて満足した。酒飲んだあとの冷たい水、なぜああも美味いのか?TVerでバラエティ観てたはずだが後半まったく覚えてなかったのでもう一回観た。つくづく酔ってる間って無駄な時間である。
3、カラオケする番組見てて気づいたのだが、カラオケ用のアレンジになるとどの曲においてもその曲がもつ空気より「カラオケの情緒」が必ず勝ってしまう。「カラオケボックス」という場の記憶って思ってるよりすごい強いのかも。
4、むかし名古屋の古本屋で全四巻400円で買った昭和出版社の芥川龍之介作品集をもう一回読み直している。「邪宗門」マジでいいとこで終わってんな。今まで何人の読者に「え?続きは?」と言わせたことか。もういない作者の肩を揺さぶりたくなる。これ映像化したらおもしろそうな作品だな。どう着地させるのかも見てみたい。
5、散歩をしながら犬を数えるのが習慣化している。とくに妹と歩いているとき、最初の犬を見つけると「ワンドッグ」という。新しく見つけると「ワンモアドッグ」という。途中で「ファイブドッグス」「イレブンドッグス」などと合計を確認する。わからないときは「メニメニドッグス」といってごまかしておく。じっさい犬は多くて、最近は暑いので日の暮れかけあたりに外へ出るとたくさんすれ違うことができる。犬はほんとにいいかたちの生きものだ。
犬カウントが英語なのはただの語呂である。妹は英語が堪能だがわたしはあまりしゃべれない。ときどき英語のギャグの動画とかを大笑いしながら見せてくれるがわたしはピンとこないことが多い。見せてくれるのは嬉しい。