「フォントワークス × コスモテック による箔押し文房具」
こんにちは、現場の前田です。
フォントワークスとコスモテックがタッグを組み、「 文字の楽しさ 」 と 「 箔押しの美しさ 」 を兼ね備えたコラボレーション文房具をお届けするという企画( クラウドファンディング )がいよいよ公開となりました。
そして、たくさんの応援メッセージ、誠にありがとうございます!
今回は、製作する箔押し文房具と加工について、ご紹介させていただきます。製作物は ①レターセット( 便箋・封筒 )、②ノート、③ブックカバー の合計3点です。
今回の箔押し文房具のアートディレクションとデザインは 株式会社ペーパーパレードさま によるものです。
フォントワークスの文字・コスモテックの箔押しから驚きの、挑戦的かつ実験的な仕様、デザインを考えて下さいました!
加工方法を含めた箔押し文房具の仕様を確定するために、あらかじめ 株式会社ペーパーパレードのお二人 守田 篤史さま・和田 由里子さまがコスモテックの箔押しの現場にお越し下さり、加工立ち会いを行いました。
文字 × 紙 × 箔 の組み合わせ実験 加工立ち会いを通して熟考
「 箔押しをランダムに乱れ押し( ※ )する際のほど良い感じの乱れ押し具合ってどんなだろうか? 」 「 2色の箔を同時に押すことってできないだろうか? 」 「 この箔色はわかりやすくてイイね! 逆にこっちはちょっとわかりにくいかも… 」 など、加工している横で率直なご意見をくださいました。
株式会社ペーパーパレードさま からいただくご提案やアドバイスは目から鱗。立ち会いのその場で箔押し文房具がどんどん洗練されていきました。
※ 手動 / 手差しの箔押し機を使用して、箔押しの加工位置を固定せず、無作為に加工位置を変えながら何度も何度も箔押しすること
箔押しをランダムに乱れ押し
動画提供 : 株式会社ペーパーパレード
① 箔押しレターセット
左:箔押し封筒 ・ 右:箔押し便箋
・ 箔押し便箋について
パッと見た印象では罫線が並んだ普通の便箋のように見えるのですが、実は! よく見ると非常に非常に細かーーい文字が罫線として連なっている箔押し便箋なのです!
箔押しの文字表現の小ささ限界ギリギリを攻め、しかも可読性を維持
「 本当に小さい! 」
見よ、米粒よりも小さいのだ!
ただ小さいだけでなく読みやすさも追求した箔押しの文字
罫線の文字にはフォントワークスのさまざまな書体が使われていて、よく見ると文字の形や、文字の放つ印象が異なることがわかります。
便箋の種類は4種類あり、4種類それぞれにテーマが設けられております。
かわいい × mojimo-kawaii → 罫線 「 音引といわれる伸ばし棒の部分 」
きれい × mojimo-kirei → 罫線 「 百人一首より 恋をテーマにした句 」
おいしい × mojimo-oishii → 罫線「 野菜を美味しくとれる献立 」
マンガ × mojimo-manga → 罫線 「 ヒーローもののストーリー 」
左は mojimo-kawaii を使用 | 右は mojimo-manga を使用
左は mojimo-oishii を使用 | 右は mojimo-kirei を使用
それぞれのテーマに合わせた書体で株式会社ペーパーパレードさま がデザインしてくださいました。4つのテーマ( かわいい・きれい・おいしい・マンガ )、さらにはそれぞれの便箋内の書体によって変化する印象の違いも楽しんで頂けるのではないでしょうか。
米粒より小さな文字で書かれたオリジナルのヒーロー物語
シーンごとに文字を変えると、物語がより一層ドラマティックに!
今回、便箋製作に用いた紙は、『 OKフールス 』 です。
高級筆記用紙のため、書き心地は抜群に良いです。
加工では小さな書体の形や印象がより伝わるよう、書体がなるべくシャープに出るように箔押し加工で使用する金属版の材質の選択から圧の加減や加工の温度、箔の接着剤など試行錯誤を繰り返し、製作に臨んでおります。
これ以上文字を細かくすると可読性を損なってしまう
そのギリギリを攻めた株式会社ペーパーパレードさま の秀逸なデザイン
箔押し加工で表現するにあたり、文字の大きさや太さ、箔色によって箔の定着具合も変わってくるというのが調整の難しいポイントでした。
・ 箔押し封筒について
文字が全面に箔押し加工された封筒は便箋の加工で使用した金属版をそのまま再利用して加工しています。また、今回の箔押し封筒は、封筒に成形された状態での箔押し加工。
封筒のベロの部分は閉じた状態で両面にドンっドンっと角度を変えながらランダムに押しています。箔色は2種類の箔を使っているのですが、便箋で使用した金属版2版を1度に押しているため、1回で2色の箔押し加工が可能。
左は mojimo-manga の金属版使用 | 右は mojimo-kawaii の金属版使用
2つの異なる版で、2色同時箔押しを敢行!
箔押し封筒は便箋と同じ版( デザイン )を使用し、製作に臨んでおりますが、便箋とはまた違った印象や書体の見え方をお楽しみいただければと思います。
② 箔押しノート
表紙から中の本文まで箔押し三昧!
まるで箔の塊のような箔押しノートは、本文( 罫線 )に箔押し便箋と同じ版( デザイン )と同じ紙 『 OKフールス 』を使用し、表紙にはコスモテックに保管していた白い紙や色紙を使って加工しています。
箔押し便箋と異なる点は、ノートの本文用紙として使用している 『 OKフールス 』 の両面に箔押し加工を行っている点です! 『 OKフールス 』 のように非常に薄い紙の場合、紙の両面に箔押し加工すると、圧を少し強めただけで裏面に圧の影響が出てきてしまいます。
調整では裏面にあまり影響が出ないよう、且つ文字がしっかり読めるように! 書体の形を感じられるように! 繊細な微調整を繰り返し行っています。
箔色はスタンダードの金・銀箔から、マットゴールドの箔、ホログラムシルバー箔、170Aレインボー箔( 上の写真のマーブル模様のもの )など箔色のバリエーションもさまざまなので、どのような箔色が本文に使われているのかは届いてからのお楽しみ!となっています。
箔の乱れ押し表現をしたノートの表紙
左がコスモテックの現場の保管紙「 白 」 ・ 右が「 色紙 」
表紙の加工は、フォントワークスの書体それぞれの種類の品名と特徴が書かれた金属版を合計12版つくり、その内のまず6版を箔押し機の熱板にセットして1度に金箔押し加工。2工程目で、残りの6版を同様に熱板にセットして銀箔押しで、金箔と銀箔が重なり合うように、交差し、入り乱れる雰囲気が出せるように加工しています。
このような文字の金属版パーツを全12版準備
実はこの金箔と銀箔の各6版のパーツは加工立ち会いで守田さま( 株式会社ペーパーパレード )に即興で熱板にレイアウトしていただきました!
乱れ押しで使用する箔押しの金属版を熱板にレイアウト
箔押し加工はランダムに乱れ押し加工をしているため、ひとつとして同じものがなく、箔押しノートの表紙全てが一点モノの仕上がりになっています。
一枚一枚、慎重に且つ大胆に、箔の乱れ押しを行います
白い紙の表紙には金ツヤ箔と銀ツヤ箔の組み合わせ。
色紙にはマットゴールドの箔と銀ツヤ箔の組み合わせで加工しているので、紙の色や箔色の組み合わせによって、同じ書体でも文字の印象や全体のイメージが変化するところも見どころの一つといえます。
③ 箔押しブックカバー
キラキラと輝くインパクトのあるカバーに包まれたフォントワークスの書体見本帳は、カバーに 『 グラシン紙 』 を使用し、箔押しノートと同じ金属版を用いて箔押しの乱れ押し加工をおこなっています。
『 グラシン紙 』はペラッペラに薄い半透明の紙で、一見すると脆そうに思えるのですが、実際はその逆! 埃や湿気にも強く、本の日焼け防止にもなるなど、本の劣化を防ぐとても心強い紙なのです。
見比べてみると箔押し乱れ押しによって カバーの雰囲気が異なる
表紙のデザインがうっすらと透けているのが見て取れる
また、『 グラシン紙 』は半透明なので箔押しすると紙の裏面に箔の接着剤の色が透けて見えるため、表裏で書体の裏表両方を楽しむことができます。
加工では、守田さま( 株式会社ペーパーパレード )と箔の乱れ押しのイメージを確認しながら加工にあたりました。『 グラシン紙 』 は紙の厚みが『 OKフールス 』よりも薄いため、取り扱いも難しく、少しの衝撃で折れた跡がついてしまいます。作業には慎重さが必須です!
『 OKフールス 』 よりもさらに薄い 『 グラシン紙 』
箔押し加工をする際の紙の取り扱いは なかなか難しい
箔の乱れ押しをした 『 グラシン紙 』 のカバーを書体見本帳に被せてみると、書体見本帳の表紙に元々デザインされている黒い文字が 『 グラシン紙 』 から透けて見えることで、奥行きが出て、全体のボリューム感も更に加わり、より特別感のある書体見本帳となりました。
株式会社ペーパーパレードさまの加工立ち会いにより、精度やボリューム感が増し増しになった、フォントワークスとコスモテックのコラボレーション箔押し文房具。
是非とも現物を見て、感じていただきたい逸品です!
株式会社ペーパーパレードさま、加工立ち会いに足を運んでくださいましたこと、素敵な箔押し文房具をデザインしていただいたこと、本当にありがとうございました!
【 クラウドファンディング 】
文字の楽しさをすべてのひとに届けたい!
フォントと箔押しのコラボ文房具
TVやゲームにも使用される様々な書体を開発するフォントメーカーと、行列のできる箔押し屋さんのコラボレーション企画!
【 mojimo-Experience 第1弾 】 では、フォントワークスとコスモテックがタッグを組み、「 文字の楽しさ 」と「 箔押しの美しさ 」を兼ね備えたコラボレーション文房具をお届けします。
【 箔押し加工 】
有限会社コスモテック 現場リーダー 前田瑠璃
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