「現場リーダー 前田瑠璃」
僕がコスモテックに入社してかれこれ16年の月日が流れようとしております。時代は、平成から令和へと移り変わったところです。
コスモテックのここ数年間で、僕が一番嬉しかった出来事があります。
2019年4月、平成の終わりを間近に控えた春に、コスモテックの現場をまとめる役割が、箔押しの匠 佐藤勇から、前田瑠璃に引き継がれました。
それは新元号 令和に変わる、ちょうど一ヶ月前の出来事でした。
前田、Chim↑Pom展覧会「 グランドオープン 」 ANOMALYにて
工場をまとめる者には、現場責任者、工場長、箔押しの匠… などの 肩書きがありますが、コスモテックでの新しい肩書きは、 「 現場リーダー 」 に決まりました。まだ若く、これからの伸びしろも十分な前田にはぴったりの肩書きだと思います。現場をまとめながら成長していってほしいとの願いも込められています。
前田は、もともと美術系大学出身。
「 手仕事が好き 」 ということで、約5年前にコスモテックに入社しました。
デザインも出来ますが、それ以上に手を動かして、ものづくりに没頭することが大好きです。恐らく 「 手仕事好き 」 の感覚は誰にも負けません。
匠 佐藤のもとで箔押しを一から学んできました。
前田自らがデザイン、加工を施して製作した
『 箔押し屋さんのご祝儀袋 』 をコスモテックサンプル直売所で販売。
大人気で完売御礼!
彼女の凄いところは、とにかく真っ直ぐで真面目なところ。
「 ど 」 が100個付くほど、ど真面目なやつです。
そんな前田を、職人気質の匠 佐藤も好きだったんだと思います。
ものづくりと向き合っている姿をそっと見守り、成長を楽しみにしている様子でした。
コスモテックサンプル直売所のPV内、メインで登場する女性が前田
前田がデザイナーの要望から試行錯誤して生み出した、
エンボスをぼんやり見せる手法
平成の終わりが近づく中で、製造業に従事する昔ながらの職人の中には、年齢的・体力的な、あるいは健康上の問題などを理由に廃業する加工所も数多く見受けられました。また、後継ぎがいないことを理由に、歴史ある事業の暖簾を下ろす会社もありました。
前田が箔押し加工で全面的に挑んだハイアットセントリック銀座東京
『 活字をつなぐクリスマスツリー 』
コスモテックとて例外ではありません。
長年コスモテックの箔押しを支えてきた匠 佐藤も年を重ね、ここ数年は世代交代の必要性を強く意識して過ごしてきました。そんな中で、次世代のコスモテックを作ろうと考えた時、前田はコスモテックの現場に新しい風を吹かせてくれる、そんな予感を感じました。
製造業の現場では、未だにいわゆる 「 男社会 」 気質が残っている会社が多くあります。女性の職人はまだ珍しい存在であり、さらに 「 工場をまとめる者が美大出身の女性である 」 ということは、僕の周りではまず聞いた覚えがありません。
女性だから、珍しいからリーダーに据えたということでは決してありませんが、女性ならではの視点で新しいコスモテックを共に作っていってくれることを期待している面も少なからずあります。
前田がデザイナーから全面的に任され、
紙と箔の組み合わせ10パターンを作りあげ、
加工したプロモーションカード
はじめてデザインフェスタに出店する際はブースデザイン含め、
ショップカードのデザイン・加工も行い、中心になって取りまとめた
僕は今まで匠 佐藤と、そして、コスモテックを慕い集ってくれる戦友である仲間たち共に、二人三脚で今のコスモテックを作ってきました。
今度はそこに 「 現場リーダー 」 となった前田が加わり、さらに進化したコスモテックを形作っていく番です。前田は匠 佐藤と比べてまだ若く、経験も十分とは言えません。「 現場リーダー 」 になったからといって、一から十まで全てを完璧にこなすことは不可能です。
しかし、こつこつと学んでいく意欲、そして、ものづくりへの愛情と情熱にあふれています。足りない部分は僕を含めたコスモテックのメンバーが補い、支え合って、今まで以上にお客様へ最高のサービス、加工をご提供できるよう精進して参ります。
こちらべにて、青木、前田、戦友である仲間たちと共に
青山ブックセンターにてデザインのひきだし31刊行記念トーク
( 名久井直子さん、編集長津田淳子さん、青木、前田 )
写真はライター・編集者の雪朱里さんTwitterより
匠 佐藤勇が築き、「 現場リーダー 」 前田瑠璃に引き継いだコスモテックは、新しい時代 令和を迎え、より一層パワーアップし、突き進んでいきます。
箔押し加工をお手伝いさせて頂いた『大洪水の前に:
マルクスと惑星の物質代謝』(堀之内出版)の奥付に名前が記載
これまで以上にものづくりに情熱を燃やし、お客様の期待に応えられる箔押し印刷工房を目指しますので、「 現場リーダー 」 前田瑠璃をどうぞよろしくお願いいたします。
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