「ぼんやりエンボス加工」
こんにちは、箔押し加工担当の前田です。
今回は 株式会社アイワード のプリンティングディレクター浦さま ・ グラフィックデザイナーの 田中義久さま からのご依頼で Anne-Sophie GUILLETさんの 写真集 「 Inner Self 」 の加工をお手伝いさせていただきました。
製本された状態からのエンボス( 浮き出し )加工をしているのですが、今回のエンボス加工はひと味違います!
エンボス加工というと、通常はパキッとしっかりと盛り上げたエンボス加工を希望されることが多いのですが、今回は画像のようにぼんやりと周りに馴染んでいくようなニュアンスのあるエンボス加工を施しているのです。
この 『 ぼんやりエンボス 』 ですが、校正時はパキッとしっかり盛り上げた加工をしていました。 私は今までの経験から 「 エンボスだから、くっきり盛り上げた方がいいのだろう 」 と勝手に思い込んで加工していたのですが、本番の加工立ち会いの時にお話を伺ってみると、 「 もっとぼんやりした感じにしたい 」 というご希望でした。
予想を超えたご希望に 「 ぼんやり!? 」 と驚きましたが、今まで挑戦したことのない表現に燃えた私。
立ち会ってくださった田中義久さまのスタッフの方から 『 どの程度のぼんやり感 』 なのか、『 どのくらい盛り上げたらよいのか 』 など意見を伺いながら、また、圧力の強弱だけではぼんやり感は出せないので、いろいろ 『 試行錯誤を繰り返しながら 』 なんとか画像のような 『 ぼんやりエンボス 』 を表現することに成功しました。
今回お手伝いさせていただいたことで感じたことは、私目線の盛り上げ感とお客様の求める盛り上げ感は全く異なっていたこと、エンボス加工( 浮き出し )、デボス加工( 「 型押し加工 」 のことで、エンボスは盛り上げるのに対し、型押しは凹ませる加工のこと ) の強みは紙そのものに金属版を用いて、凹ませたり、盛り上げたりすることができるということです。
これはデジタル印刷にはない強みだと改めて感じました。
しかも、この強みはお客様と現場でコミュニケーションしながら加工することで、更にもう一歩踏み込んだ仕上がりになるのだと確信しました。
ただ、どのくらい凹ませたいのか・盛り上げたいのかは 『 感覚の世界 』 です。 どのくらい強く凹ませるのが良いのか、どのくらいくっきり盛り上げるのが良いのか、それともぼんやりが適しているのか、その判断基準は上記のように加工を手掛ける私の目線とお客様の求める盛り上げ感は異なって当然なのです。
一般的に 「 良くない 」 とされている仕上がりこそが実はお客様が求めている究極の表現である可能性も十分に有り得ることなのです。
だからこそ、印刷加工には校正が必要であり、コスモテックは加工立ち会いをオープンに捉えています。
お客様から 「 加工に立ち会いたい 」 というご希望をいただければスケジュールや状況の許す限り立ち会って頂きたいですし、ぜひコミュニケーションしながらお客様が求めるものを一緒に作っていきたいと考えています。
そして、お客様と現場、お互いが歩み寄ることで、今までにない新しい表現も生まれてくるのではないかと思っています。
【 連絡先 】
有限会社コスモテック 現場リーダー 前田瑠璃
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