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「 渡邉良重さま と 羊毛とおはな のコラボレーション作品集 箔押し加工 」

こんにちは、コスモテックの前田です。

今回、キギと創造株式会社( 旧社名 株式会社キギ )のアートディレクター 渡邉良重さま・大坪メイさまからご依頼いただき、渡邉良重さま( キギと創造 )とミュージシャンである 『 羊毛とおはな 』 のコラボレーション展に合わせて発売される作品集( ポスターと箱 )への箔押し加工をお手伝いさせていただきました。

コスモテックは今までキギのお仕事では山本海苔店さまのブランドカタログ・D-BROSカレンダー 『 BOYS & GIRLS & 』( 下記掲載 ) など、前衛的なデザインの箔押し加工に挑ませていただいたこともあり、「 今回お声がけいただいたお仕事は一体どんな箔押し表現なのだろうか? 」 と胸が高鳴る反面、大きな緊張感に包まれておりました。

また、『 羊毛とおはな 』 は私が大好きなミュージシャンということもあって、お手伝いするのを楽しみにしていました。

◉ コンパクトサイズの版を上手く生かす

コスモテックは今回ポスター12種類、そして箱( 立体ではなく、型抜きし展開された状態 )への箔押し加工をお手伝いさせていただいたのですが、全13アイテムすべてに 90×90mm 以内のコンパクトサイズの箔押し版 1枚を使い回して箔押ししております( 13アイテム共通 )

今回の箔押し加工で使用した金属版
手のひらサイズほどですが ずっしり重みを感じる


薄紙のポスター、そして厚紙の箱…
紙の厚みが全く異なるアイテムであるため、ポスターと箱に同じ箔押し版を使用するにあたって、版づくりの段階から箔押し版の深度( 深さ具合 )と金属版の材質選びには気を配りました。

厚みの差が明らかな2種類の紙どちらに箔を押しても美しい箔押しが成立するような版の仕様を目指しました。

また、箔押し版はすべてのアイテムで共通ですが、箔を押す位置がすべて異なるという点が今回のポイントです。箔押しの位置をアイテムごとに変えるのは同じ位置に押し続ける場合と比べて、当然ですが調整に手間暇がかかります。

大坪メイさま( キギと創造株式会社 )より事前に共有いただいた
ポスター12種類の箔押し位置 箔押し位置に水色の丸が付けられている
箔押し機の土台部分( 箔押しする紙をセットする場所 )
ポスター12種類+箱 計13アイテムの箔押し位置の調整の痕跡
紙の角を土台につくった直角部分に当てて箔を押す


しかし、たとえ共通デザインのコンパクトサイズの箔押し版でも、印刷された渡邉良重さまの絵 12種類それぞれへの箔押し位置を変えるだけで1枚ごとのポスターの箔押しの印象が大きく変化します

◉ キギと創造株式会社の箔押し立ち会い

写真奥 渡邉良重さま ・ 写真手前 大坪メイさま
印刷( された美しい絵 )と箔押しの位置関係を熟考中の様子 


箔押し加工時にはキギと創造株式会社 アートディレクターの大坪メイさま、そして渡邉良重さまが加工立ち会いにお越しくださり、その場で直接12種のポスター × 箔押し加工位置の確認を行いました。

箔色はお問い合わせをいただいた時点では赤みのある金つや箔を希望されていらっしゃいました。私は加工立ち会いの前日までにご希望のあった赤みのある金つや箔の他に逆に青みのある金つや箔やイメージのガラッと異なるブロンズ色の箔などを事前に透明フィルムに箔押して準備することにしました。

立ち会いの前日までに事前に準備しておいた
透明のフィルムに箔を押したもの
立ち会い時 急遽箔押し位置に変更があったものも数点…!
箔押しした透明フィルムをポスターにあてがって全体のバランスを計測中の様子
立ち会いならではのライブ感 その場ですぐに微調整!


この箔押しした透明フィルムをその場で印刷物にあてがうことでお客さまは 印刷 × 箔色 のイメージを実物に近い形で確認することができます。

実際に箔を押してみないことには分からないこともあるかもしれませんが、できる限り助けになるアイテムを用意してお客さまと共に作品を作りあげたいという気持ちでご準備させていただきました。 挑戦あるのみです。

◉ 大きく薄い紙にポンと箔を押す 難しさ

今回のポスターに使用している紙はとにかく薄く、箔押し加工するうえでも難易度は非常に高いものでした。紙の薄さゆえに、加工時の紙の取り扱いには特に注意が必要なのです。さらに大きなサイズとなると、なおさらです。

箔押し機に紙を手作業でセットし、箔押し加工後に手で紙を引っ張って取り出すという一連の動作の中で、紙( ポスター ) に入ってはいけない折れ目や傷が付いてしまうことが起こりやすいためです。

薄い紙がゆえに紙の取り扱いには慎重さが必要
印刷されたポスターの山 紙が薄いため一見すると少ないようで実は多い
ポスターの種類ごとに山を分けて 全12種類の山をつくった
一番上に置いているのは印刷位置と箔押し位置を合わせるために使用するポジフィルム


そのため箔押し機に紙を通す動作にも細心の注意を払い、加工のスピードをあえてダウンさせて、そーっと・ゆっくり・じっくり箔を押すように心がけました。

薄紙のポスターへの箔押しをしながら、昔 箔押しの匠 佐藤が 「 大きい紙、薄い紙はお姫様のように丁寧にやさしく扱うのがコツだな 」 と言っていたことをふと思い出しました。

また、今回のように大きな紙( 今回の場合 仕上がりB3 - 515×364mm )に対して、ポンと 90×90mm 以内のコンパクトサイズの箔を押すことはあまり経験がなく、私にとっては新鮮な感覚でした。

大きな仕上がりサイズの中にポン! と押した箔
気持ち赤みのある金つやを使用
金つや箔で表現した植物の絵
ものすごく繊細なタッチの図案


大きなポスター内にポンとワンポイントの箔が添えられるだけで作品の印象がぎゅっと引き締まるように感じて、コンパクトな箔押しならではの贅沢さや効果を感じました。 箔を押していない余白部分も生き生きとして見えるような… そんなふうに感じたのです。

デザインやアイテムごとに箔押し加工の押し位置を変えること13回。
すべて一点一点丁寧に手作業で箔押しさせていただきました。きらりと光る、箔押しならではの存在感を、ぜひ実物をお手取って愛でていただきたいです。

今回もお手伝いさせていただき本当にありがとうございました!
箔押し加工でお手伝いさせていただいた実物はこちら( 下記 )の展示でご覧いただけます!

「 羊毛とおはなとあなた 」
羊毛とおはな × 渡邉良重 with Viscum Flower Studio


会期  : 2024年8月1日(木)~2024年9月2日(月)
会場  : OFS GALLERY
open : 12:00~20:00( 最終日は18:00まで )
close : 火・水
詳細  : 下記

【 箔押し加工 】
有限会社コスモテック 現場リーダー 前田瑠璃
〒174-0041 東京都板橋区舟渡2-3-9
TEL:03-5916-8360 / FAX:03-5916-8362

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