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メルカリCEO山田氏が個人で設立した財団で奨学金開始!活躍中の理系女子が語るSTEMの魅力

株式会社Kanattaが運営する女性コミュニティ・コスモ女子は、ジェンダー平等の実現に向けてさまざまな取り組みを行っております。
今回は、日本のジェンダーギャップの改善に取り組む「山田進太郎D&I財団」の活動についてご紹介します。

株式会社メルカリの代表取締役CEOが創設した「山田進太郎D&I財団」は、8月22日(日)にオンライン配信イベント「活躍中の先輩が語るSTEM(理系)の面白さ」を開催。

当イベントでは、理系職で活躍する女性研究者や起業家をゲストに迎え、理系進学に至った経緯や、理系職の経験についてディスカッションが行われました。
イベントは全国各地から理系分野への進学に興味のある方や、今後の進路を考えている方などが多数参加。

山田進太郎氏の進行のもと、ゲストの方へ多数の質問が飛び交いました。

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●登壇ゲスト紹介

スプツニ子!さん
​​アーティスト/東京藝術大学デザイン科准教授
公式HP:スプツニ子!

高橋祥子さん
株式会社ジーンクエスト代表取締役社長/ユーグレナ執行役員
公式HP:株式会社ジーンクエスト

大隅典子さん
東北大学副学長・附属図書館長・大学院医学系研究科教授
公式HP:東北大学大学院医学系研究科 発生発達神経科学分野



●パネルディスカッション

Q:中学3年生の頃を思い出しつつ、どんなキャリア選択を経て、現在に至ったのか教えてください。


(スプツニ子!さん)
中学校3年生の時は、数学やプログラミングがすごく好きでした。
母親が大学で数学の先生をやっていたこともあり、女性が理系に進むことに対して何の違和感もなく、スムーズに大学まで進学しました。
世間では女性が理系分野に進むことに対して、学校の先生や親の反対にあう子がいると聞くと、私はすごく恵まれていたなと思います。

しかし、大学で学びながら感じたことは、理系分野はすごく面白くて世界を大きく変えている業界がたくさんあるのに、わたしのクラスメイトはなんで男の子ばかりなんだろうということでした。
そして、このような男女の偏りがあると世の中にとって良くないのでは?と思い、理系分野を問題提起的な側面で見るようになりました。

その後、大学院ではアートやデザインの勉強をしたのですが、理系分野について問題提起をする映像作品をつくっていたらネットで広がって美術館展示に繋がり、そのまま今の「スプツニ子!」として世の中に出ることになりました。

(高橋さん)
中学校3年生のときは将来何になりたいか決まっていませんでした。
父も祖父も医者だったので、医者になるか医者以外になるかの2択から考えはじめました。

ある時、父の病院を見学した際に、病気の人がたくさんいるのを目の当たりにして、そもそも何で人は病気になるのかというところに違和感を感じ、大学では農学部の応用生命科学というところで病気の予防のメカニズムを研究しました。

なんとなく漠然と、医療ではないけれど、生命に関わることをしたいと思って農学部に行き、それが今の遺伝子解析の会社経営に繋がっています。


(大隅さん)
中学生の頃は、テレビのキャスターや建築家にすごく憧れていましたが、高校に入ってからは心理学や言語学といった文系分野が好きで、進路に迷いがありました。

その後、大学は歯学部に行き、6年間の大学時代に臨床の現場も経験しましたが、自分よりも治療技術が上手な人がたくさんいる中で、自分にしかできない仕事をしたいと思い、研究の分野に行こうと思いました。

研究に関しては、当時遺伝子が流行りになっていたのと、両親ともに生物系の研究をやっていたこともあり、とても身近に感じていました。


Q:進むと決めた時や、進学してからどんなハードルや課題がありましたか?

(スプツニ子!さん)
中学・高校の理系科目は好きで得意だったというのもあったので、特にハードルも課題もなく大学に行きました。
高校3年生もアメリカンスクールだったので、飛び級して1年早く数学とコンピューターサイエンスを勉強しに行っていました。
ただ、いざ大学に行くと、先生やクラスメイトに女性が少なく、プログラマーとして働いていた時も「女なのにコードが書けるの?」という偏見は少なからずありました。

日本でも、特に地方でそういう偏見があると聞くので、そういう意見は信じないで欲しいし、好きなことに突っ走って欲しいというのはありますね


(山田さん)
大隅さんは色んな学生を大学で見ていらっしゃると思いますが、その辺の偏見みたいなのは実際にはどのように御覧になっていますか?


(大隅さん)
今はほとんど無いと思います。
やりたいという気持ちがあれば、みんな応援してくれるのが今の時代です。

ただ、中学・高校の段階で、先生や親御さんがどう思われているのかは分からないです。
大学との接点も少ないと思うので、大学がこういう風に変わっているというのが伝わっているのか心配ではあります。

そのため、今日みたいに直接「女性が理系分野に進んでも大丈夫なんですよ」と言える機会があるのはすごく嬉しく思います。


(山田さん)
親や先生が「女性に理系は向いていないのでは?」と娘に言うケースがまだまだ多いという課題を認識しているのですが、その辺はどうでしょうか?


(高橋さん)
私の場合は、父親は医者でしたが、母親は専業主婦でした。博士課程の大学院に行こうと思った時に反対されました。
理由を聞くと「女の子が博士課程にいって、就職できないし、結婚もできなかったらどうするの」と言われました。

まず、女の子が大学院行くことに反対するのもおかしいし、ゴールが就職や結婚なのもおかしいと思いました。色々と突っ込みどころは多いんですけど私の親のように考えている人が多いのも現実です。

実際に大学院に進学してから、私の大学は女性も多かったし、別に結婚がゴールではないけれど結婚もしているし、就職はしていないけれど起業はしている。振り返って大学院に進学することにメリットしかなかったなと思います。


Q:理系の仕事をしているなかで、女性だからと差別をうけたことはありますか?

(高橋さん)
女性だからといって差別をうけたことはないです。
時々、古い業界の中で働く時に「女の子だからね」という扱いを受けることもありますが、女性が少ない分、覚えてもらえるというメリットもあります。

ただ、家事育児は女性がすべきと思っている人はまだまだ世の中に多かったりします。今日参加されているみなさんは、そんな風潮に流されずにどんどん活躍してもらいたいです。


(スプツニ子!さん)
私はMIT(マサチューセッツ工科大学)で働いていた時に、教員の採用に関わっていました。MITは過去に白人の男性の教員ばかり採用していたことの反省から、多様な人種や性別の人を採用しようとしていました。女性や人種的にマイノリティな人の履歴書を率先的に見ており、少数派である分、理系の女性はどの大学からも引っ張りだこな状態でした。

また、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)も女性のエンジニアを探して採用しようとしています。世の中に女性エンジニアは少ないので、争奪戦になっていて、日本でも最近同じ現象が起き始めていると思います。


Q:将来何になりたいかわからない状態で、選択肢を広げる為に理系に進みたいですが、今後、大学の学部を決める時、どのように決めればいいのでしょうか?

(大隅さん)
理系を選択しておいた方が、あとの選択肢が広がるのではないかと思います。
ただし、一番伝えたいのは、大学に入学することはゴールではなく人生の通過点なので、大学の学部を決めるときは自分が行きたい所と、受験問題の傾向と対策が自分にあっているかという点になるのかなと思います。


(山田さん)
今日の最初の話でも、みなさん初めから何になりたいか決まっていたわけではなく、何かやりながら選んで行ったという感じだと思いますね、私もそうでしたが。
やりたいなと思ったことを色々調べてみて、大学に入ってから転部もできるので、途中でやりたいことが変わることもあるのかなと。


(高橋さん)
わたしが農学部に進学した理由は、幅広く生命に関わることをやりたいと思ったからで、具体的に将来何をするかまでは決まっていませんでした。応用領域が広い学部や、選択肢が多い学部に行ったので参考までにお伝えします。


Q:学生のうちにやっておいた方がいいこと 特に中学生のうちにおすすめのことがあれば教えてください。

(高橋さん)
何かにとにかく打ち込む経験をするといいのかなと思います。
打ち込む力がつくと、何か好きなことが見つかったときに絶対打ち込めるので。

わたしは吹奏楽をやっていましたが、毎日朝練も昼練もやっていました。
何かを頑張って、成功して、嬉しくてまた頑張る、というループを体験していると、勉強にも仕事にも活きるし、結局没頭したもん勝ちだと思っていて。
いかに没頭できるものを見つけるか、まだ見つかっていない人は、まだやったことがないことにチャレンジしてみるといいと思います。


(スプツニ子!さん)
高橋さんと全く一緒です!
わたしも学生時代にプログラミングに没頭していましたが、好きなことを突き詰めるというのは素敵だと思います。また、人と違うことに勇気を持つというのも大事だと思います。


(大隅さん)
中学生の時に、英語もやっておいた方がいいと思います。


Q:最後に、今後の進路を考えている方や、理系分野に進もうとされている方にメッセージをお願いします。

(スプツニ子!さん)
わたしはもっと多くの女性に理系に進学して欲しいと思っています。
理系分野はとても楽しいし、世界を変えていく可能性がある分野です。
決して諦めたり、わたしなんかと思わずに進んで欲しいと思います。


(高橋さん)
私の会社はゲノムや遺伝子を取り扱っているのですが、自社の研究開発部の7割が女性です。特にテクノロジーで社会課題を解決したいという女性が多く、新しいことができるとワクワクしながら仕事をしているので、みなさんも一緒に将来この理系の分野で仕事ができたら嬉しいです。楽しみにしています。


(大隅さん)
理系女性の人生設計ガイド」や「世界を変えた10人の女性科学者」の本にも書いているように、どんなに素晴らしい方々も、人生に挫折したり大変なことは色々あったんですね。
どうせ一回しかない人生だったら、好きなことや、自分が楽しいと思えることを将来の仕事にしていただきたいです。
理系が面白そうだと思ったらぜひ。


●山田進太郎D&I財団、STEM(理系)高校生女子奨学金について

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山田進太郎D&I財団は、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)を推進するために、2021年7月に創設されました。
D&Iとは、性別、年齢、人種、宗教などによらず、お互いを尊重し、誰もがその人の持つ能力を発揮し活躍できる状態のこと。
当財団はD&Iをミッションに掲げて、日本のジェンダーギャップの改善に貢献する活動を行っています。

財団の取り組みの第一弾として、高校入学の際に理系を目指す女性100名を対象とした「STEM(理系)女子高校生奨学金」をスタートしました。

STEM(ステム)とは、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)の頭文字をとった言葉で「理系」分野のこと。

山田進太郎D&I財団
山田進太郎D&I財団 公式Twitter
STEM(理系)女子高校生奨学金の詳細


山田進太郎氏よりメッセージ
なぜこの奨学金をやろうと思ったのかというと「好きなことをやろう!」のひと言に尽きます。日本ではまだ「女性が理系に進んでも…」みたいな偏見や、周囲からの反対受けるケースがあります。
結果として、日本では大学時点で工学部を例にとると女性比率が10%程度に留まっていますが、これはすごく勿体ないことだと思います。
理数系の成績に男女差はないというデータもありますし、世界的にみても女性エンジニアは増えてきています。
みなさんのような方々にとって、理系進学を望むのであれば進学の背中を押せるような奨学金をつくってはどうかと思いました。
今回の奨学金を通じて、好きなことを学んでその人が持てる力を存分に発揮できる社会になっていくことに貢献したいと考えています。
今後も理系の先輩に接するイベントや、奨学生同士の情報交換を行う場などを作って行ければと思います。

STEM(理系)女子高校生奨学金の応募
▼応募期間:2021年8月4日~10月10日


●さいごに

2021年3月に世界経済フォーラム(WEF)は、国別の男女格差を示す「ジェンダーギャップ指数」を発表しました。
そのランキングによると、世界156カ国の中で日本は120位。
世界的にみても日本のジェンダーギャップは大きな課題の1つとなっています。

実際、今回登壇された理系職で活躍する女性研究者や起業家の方の中には、進路を決める際に「女性だから」ということで反対されたというご経験談もありました。

しかし、実社会で働く中で「女性だから」という理由で働きにくさを感じるケースは少なく、逆に少数派だからこそ、世の中のニーズが高まりチャンスが広がっているという話は印象的でした。

今後の日本の社会を担う学生が「好きなこと」を仕事にできるように。
山田進太郎D&I財団が運営する奨学金の活動がこれからの進路を考える一人でも多くの学生に届き、夢の実現に繋がる機会になればと感じました。

これからも宇宙に関するイベントや勉強会、そしてジェンダー平等の実現に向けて、日々活動していきます。
今後とも、コスモ女子の活動をお見逃しなく!

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