3代目バチェロレッテ 武井亜樹氏と株式会社Kanatta 井口恵代表が語る、宇宙業界の魅力とキャリア
「宇宙」への興味も関わり方もまったく違う2人が語る、女性のキャリア。働く女性のリアルがわかる対談は、宇宙の魅力や挑戦する面白さを感じながら、女性ならではのキャリア形成について考える時間となりました。
武井亜樹
東京大学にて航空宇宙工学を専攻。
経産省に入省、1年で退職。
宇宙産業で複数の会社でフリーランスとして活躍。
人気恋愛リアリティ番組「バチェロレッテ・ジャパン」3代目バチェロレッテ。
株式会社Kanatta代表取締役社長 井口恵
横浜国立大学を首席で卒業。 2016年に株式会社Kanattaを創業。 宇宙業界で活躍したい女性のためのコミュニティ「コスモ女子」と女性のドローンパイロットのコミュニティ「ドローンジョプラス」を運営。 2024年には女性が少ない分野や新しい分野で、先駆者として道を切り拓いたとして、Forbes JAPAN Women Award 2024にて「パイオニア賞」を受賞。 女性のキャリア支援やジェンダー平等の実現に尽力している。
宇宙の魅力とは?
井口:先日UchuBizに掲載させていただいたインタビュー記事では、私が一方的に亜樹さんにご質問する形だったので、今日はもっとざっくばらんに二人でお話しできればと思っています。
女性ならではのキャリアのお話もぜひ深掘りできたら嬉しいです!
UchuBizのインタビュー記事はこちら
井口:まずはやっぱりこの質問からお聞きしたいのですが、亜樹さんにとっての宇宙の魅力とは?
武井:私にとっての宇宙の魅力は、まずその壮大さや美しさです。私自身、美しい星空にパワーをもらったことがきっかけで宇宙が好きになりました。
また、大企業の社長でも、宇宙の話をするときは童心に返って子供のようなキラキラした目で話し始めるんです。どんな立場の人でもみんなが同じフィールドに立てる感覚がすごく素敵で、これが宇宙の大きな魅力だと思います。
井口:確かに。それは宇宙業界の方々とお話しする際に強く感じます!
私が宇宙に興味を持ったきっかけは少し違って、宇宙業界で働く多くの方々のように、もともと宇宙が好きだったわけではないのです。業界の将来性や市場規模拡大の可能性に注目して、この業界に飛び込みました。
今は宇宙業界と地上のビジネスというように分けられることが多いものの、将来的に人類が宇宙で生活するようになれば、地球で必要なビジネスがすべて宇宙にも広がると思うんです。宇宙業界と他業界の境目がなくなる未来を想像すると、とても面白いですし、そこに大きな可能性を感じています。
武井:井口さんはもともとは会計士ですもんね?
井口:そうです。会計士だったところからドローンと宇宙業界で起業しました、とお話しすると、「もともとすごい好きだったんですか?」とよく聞かれます。でも実際は全然興味があった訳ではなくて(笑)。最初はどちらの業界も今後成長が見込まれていて、かつ女性の割合が少ないという点で注目しました。
女性が少ない業界で働くということ
井口:私は先ほどお話した通り、もともと会計士だったこともあり、女性が少ない業界で女性が活躍しやすくなるような土壌を作りたいと思いました。
亜樹さんも宇宙業界で働かれたり、その前も経産省にいらっしゃったり、 男性ばかりだったと思うのですが、その中で感じたメリット、デメリットはありますか?
武井:私は正直あまり男女の差を感じたことがないんです。というのも、元々東京大学で宇宙工学を勉強してる時も女性は私一人だったし、経産省もやっぱり女性は少ない。でも、高校の時は女子高だったので、全員女性だったんです。
だから、男女が両方いる中で、女子が割とマイノリティみたいな状況が今までなくて。 すっごく男性が多い中で女性が私一人しかいないか、全員女子か、という状況だったので、逆にあまり性別を気にせずに 生きてきました。
井口:自分一人しか女性がいないときは特に意識してなかった?
武井:はい。多分学生時代や20代前半のときは男女差感じづらい気がします。それこそ、井口さんみたいにお子さんが産まれたり、働き方が変わってくると男女の違いを感じる場面が増えると思うのですが。
井口:確かに、私も学生のときは男女差は感じませんでした。社会人になってからは、多い時は20人チームで私だけ女性という状況だったので、働きづらさというか、周囲の対応の違いが気になることはありましたね。
例えば、「女性が一人いるだけで職場が華やぐよ」と言われたり、クライアントに質問をする場面では「若い女性が聞きに行ったほうが教えてもらえるから」と質問係を任命されたり。全然悪気はなかったんでしょうけど、男性の同期と私で期待されている役割の違いに少しモヤモヤする部分はありました。
武井:そういうのは確かにあるかもしれないですね!女性がいると「華が添えられますね」と言われたり。
井口:そうなんです。でも起業してからは、マイノリティであることがメリットになる場面も増えました。例えば女性であることを理由にメディアに取り上げてもらえることもあります。 今回ForbesのWomen Awardも女性という切り口の賞があったから受賞できたと考えています。結局のところ、男女差はどうしてもあるので、それをメリットと捉えるか、デメリットと捉えるか、自分の捉え方次第だと思います。
女性ならではのキャリアのハードルと乗り越えるための工夫
井口:先ほどの話だと、亜樹さんはまだハードルは感じないですか?
武井:そうですね。でもやっぱり出産はキャリアがスローダウンする要因になると感じています。そういう意味で、今もし結婚はできたとしても、すぐに子供がほしいとは思えないです。男性はそういう不安は女性より少ないと思うので、やっぱり一番のハードルになっていると感じます。
井口:私も出産するまでは男女なんか関係ないって思っていました。創業時から「ジェンダー平等」を理念に掲げていたのも、どちらかと言えば性別なんて関係ないということを伝えたいと思っていたからです。でも 出産を通じて、やっぱり男女は全然違うなと思いました。
出産もそうですが、その後の子育ても、どうしても母親じゃなきゃいけない場面があるなと経験してみて分かりました。私の場合は娘がミルクを好んで飲んでくれたのでまだよかったですが、母乳で育てている場合など、片時も離れられないと感じてしまう方もいると思います。
そうなるとやっぱりキャリアのスローダウンというか、独身のときと同じ働き方はできないなと感じますね。
武井:だからこそ、今のうちにできることを全力で取り組み、将来に備えたいと思います。特に私はフリーランスとして様々な仕事を手掛けていますが、それは選択肢を増やすためでもあります。たとえライフイベントがあっても、働き方を調整できるようにしておきたいですね。
井口:私も20代の頃はとにかくがむしゃらに働いていました。その時期に基盤を作れたおかげで、子どもが生まれてからも柔軟な働き方ができています。
育児をしながらの仕事は体力勝負でもあるので、若いうちにハードワークを経験しておいたことも良かったです。女性は特に計画的にキャリアを考えることが大切ですよね。
宇宙業界への挑戦を考えている女性へ
武井:私は割と小さい頃からやりたいこととか、色んなものへの憧れがあったタイプなのですが、そういう憧れの気持ちは、大学に行っても社会人になってもずっと変わらないことに気づいたんです。結局やりたいことを先延ばしにしても、気持ちが変わらないのであれば、これからはやりたいことはなるべく早く行動に移そうと思いました。
特に宇宙業界は未知な部分が多い分、挑戦しがいのある分野です。女性だからこその視点や感性が活かせる場面も増えています。ぜひ、自分らしさを大切にしながら、この広大なフィールドに飛び込んでみてください。
井口:私は宇宙業界について全く知識がないところからのスタートだったので、未知の世界への一歩は勇気が必要でした。でも、やってみると意外と楽しいですし、業界の常識を知らないからこそ固定概念に囚われずに挑戦できたこともたくさんあります。
最初は専門的な話にはついていけませんでしたが、今も日々勉強だと思いながら前進しています。挑戦し続けることで道は拓けます!一緒に一歩踏み出しましょう!