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双子のパラドックスとは?簡単に学ぶ特殊相対性理論

「相対性理論」とネットで調べて、一番最初に出てくる検索候補は何だと思いますか?
それは、
「相対性理論 簡単に」
です。(2024年6月時点)
それほど難しいものと思っている人が多いのかもしれません。
もちろんかくいう私もその1人でした。

そして、相対性理論とは「特殊相対性理論」と「一般相対性理論」の総称ですが、日常会話で相対性理論を使うときは(そんな場面はない!とつっこみを入れたくなりますが)「特殊相対性理論」をさしていることが多いです。

そこで、今回はそんな「特殊相対性理論」を明日から日常会話レベルで使えるようになるくらい嚙み砕いて紹介します。


“特殊”相対性理論ってなに?

特殊というととても難しいものと感じるかもしれません。
しかし、実はこの”特殊”とは「特殊な状況下」という意味で限定的な状況をさす表現であり、むしろシンプルでわかりやすいことを表しています。
物理学はもちろん、何か問題が起きた時や意思決定をするときに、シンプルに考えることはとても有効です。

部屋の片付けをするとき、どこに何をしまうか?を全部考え、その上でどういう掃除方法が良いかやレイアウトも考慮して・・・とすると、取り掛かるまでに時間がかかり、結果的に片付け終わるまでにかなりの時間を要します。
これをシンプルに、まずは不要なものを捨て、必要なものを元の場所に戻すとすると、やっていく中で効率の良い方法が見つかったりするものです。

物理学においても、摩擦やものの大きさを考慮しない場合があります。
問題文に
「ただし、空気抵抗は考えないものとする。」
という文言を見たことある方も多いかもしれません。

では、相対性理論における「特殊な状況下」とは何でしょうか。
それは、「重力の影響はない状況下」です。
重力の影響を考えないことで、よりシンプルに考えられるのです。
あの天才と呼ばれるアインシュタインも、特殊相対性理論を発表したのが1905年、重力を考慮した「一般相対性理論」を発表したのはその10年後である1915年であることから、その簡単さがわかりますね。

重力の影響がないイメージ

つまり、「特殊相対性理論」とは、重力の影響を考えない場合の時間や空間をどう扱うかを考える理論なのです。

光を初めて特別扱いしたのは、アインシュタイン!

特殊相対性理論で一番重要なものは「光速不変」という原理です。
読んで字のごとく、「光の速度は一定」(もちろん重力の影響を受けない場合)ということです。

鳥と光の相対速度の違い

19世紀に入ると、実験の精度も上がったことで、光の速度の測定も正確さが増してきました。
そこで、地球が太陽を公転するのと同じ方向に光を飛ばしたところ、光の速度(秒速30万km)は他の方向の光の速度と変わらなかったそうです。
それが一体どうしたんだ?当たり前じゃないか!!
と思うかもしれませんが、ぜひ人に置き換えて考えてみてください。


動く歩道

みなさんは「動く歩道」を利用したことはありますか?
空港や大きな駅などにあることが多く、乗ったことはなくても見たことある方も多いのではないでしょうか。
動く歩道を歩いている人から見て、普通の歩道を歩いている人の方が遅く見えるのはなんとなく想像できます。
さらにいうと、動く歩道に立ち止まっている人からすると、普通の歩道で立ち止まっている人は後退しているように見えます。


動く歩道と普通の歩道イメージ

普通の歩道の人を光、動く歩道を地球に置き換えてみると、地球は公転して動いているのだから、その地球に乗っている人から見たら光の速度は秒速30万kmよりも遅く見えそうですよね。
しかし、何度実験しても光の速度はどの方向から測定しても変わらなかったそうです。

さらに、そもそもその当時、光については様々な説が飛び交っており、当時の科学者たちは上手い具合に光の解釈を実験(光速不変)と理論に矛盾がないようにしていました。
ただ、矛盾をすべて解決するような説はありませんでした。

そんな中、それらの矛盾を全て解決するような理論を構築した科学者がいました。
それが、アインシュタインです。
彼は、「真空中の光の速さは光源の運動状態に無関係である」とし、特殊相対性理論を提唱しました。

弟の方がおじいちゃんに!?双子のパラドックスとは?

特殊相対性理論ではよく面白い事例を使います。

あるところに、20歳になった双子の兄弟がいました。
好奇心旺盛の兄はある日、宇宙へ旅行に行きました。
兄が5年間の宇宙旅行を終えて地球に帰還すると、同い年の25歳であるはずの弟は70歳のおじいちゃんになっていました。

同い年であるはずの双子の年齢が異なっている

これは「双子のパラドックス」と呼ばれています。
なぜ双子で同じ年齢のはずの兄弟が、おじいちゃんと孫くらいの年齢差になってしまったのでしょうか。
それは、「物体は、速く移動するほど、止まっているよりも時間の進み方が遅くなる」という特殊相対性理論で提言されたことに関連しています。

このことから、光速に近い速さの宇宙船に乗った兄の方が時間の進み方が遅くなり、地球に止まっていた弟が歳をとっていたのです。

しかし、この話には続きがあります。

兄はこう言いました。
「弟の方が地球と一緒に光速で僕から遠ざかっていたのだから、僕の方が歳をとっているよ」

?????

確かによく考えてみると、宇宙船視点だと地球の方が光速に近い速さで動いているということになります。
これが、パラドックス(矛盾)です。

双子のパラドックス


ただ、事実(思考実験なので、実際にあったことではないですが・・・)だけを見ると、弟の方がおじいちゃんになっているので、弟の主張の方が合っているように感じます。
実はこの双子のパラドックスは、いまだに解明されておらず、様々な説が唱えられています。
そのうちの1つは宇宙船が有り得ない動きをしているということです。

時間の進み具合の計算をするときに、ロケットが地球から遠ざかって、その後戻るために向きを変える時間を考慮していないのです。
つまり、0秒で180°向きを変えているということで、これは光速を遥かに超えていて、「光速より速いものはない」という特殊相対性理論に反しています。
それによって、矛盾が生じてしまっているという説です。

宇宙船の動くイメージ

他にも様々な説がありますが、一番は実際に宇宙へ行って帰ってきた双子がどうなるかを検証することかもしれませんね。

特殊相対性理論は相対性理論を理解するための最初のステップ!

いかがでしたか?今日から特殊相対性理論を会話に入れてみたくなった!という方も少なくないはず!!
特殊相対性理論は相対性理論、ないしは宇宙を語るための重要な鍵です。
ぜひ今回をきっかけに、物理に少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。

■もっと相対性理論を知りたい!宇宙のことを語りたい!という方におすすめ。

特殊相対性理論をより発展させ、重力の影響を考慮した「一般相対性理論」を説明しています。
詳しくはこちらをご覧ください。

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