2022属性曲 雑感 インテリ編


~ ANYWHERE ~

ひとりひとり、ソロコレのアルバム収録順に記述。

〇315STARS(インテリ Ver.)

 ・ユニゾンだとソロよりも高らかに感じる。低く悠長なだけでも切実なだけでもない。揃えるため、際立たせるため、それぞれのニュアンスが光る。
・恭二とミスターはざまは役のマインド的に声が際立つのかも? 恭二は挑みかかるような声、ミスターはざまは着々と式を積み上げて答えに迫るような堅さがあった。
・「夢の支配下」の雨彦はソロでも個人的にツボだったので全体でもはっきり聞こえてびくっとする。
・東雲や天峰(Aメロ中盤にいるような気がするけど間違ってたら失敬)の振り切ったテンションが心地いい。天峰は若さや性格的に納得だけど東雲も(中の人のラップ歴とはまた別に)高めかつハジけ気味で意外だった。とても好き。
 ・2番Aメロ「時に大胆かつ慎重な振る舞いが重要」のアッパーな東雲、「未来到来」のキリオ、「一歩を定めるマインドならもうまさに」のインテリ感と若さの高音をしっかり刻んでくる玄武(リスアニ!深町さんインタビュー参照)、「この手の中に」の恭二が好き。聞き分ける耳を人数分くれ。正確に把握したい。

〇伊集院北斗

・2番「この手の中に」の「か」高音が苦しそうで色っぽい。
・一方、全体的に語尾の吐息が多かったり、跳ねさせたりするところの色気は北斗が意識的に仕掛けている部分なのかもしれない。「ANYWHERE」の「ウェ~……(音を伸ばしつつ息多め)」、それからラスサビ前の「掌握しよう」が「し~よっうォ!」になっているのが好き。
・「そうさ一人じゃないと とびきりハジけるのも楽勝だよな!」(冬馬ソロ)があってからもう何年も木星の一員かつ315プロのアイドルとしてやっているからこそ、北斗はひとりの歌唱でもハジけられるのだろうか。なんとなくポーカーフェイスやロマシェよりもハジけているような気がする。ラップでない部分も。熱くなる、ハジけた己を出せる環境への安心感と信頼がこの歌声を形成しているように思えてならない。

〇桜庭薫

 ・日本語の発音が堅実ではっちゃけていないからこそ、ラップなどで言葉を詰めて歌う声が新鮮。この曲がなければこんな桜庭薫と出会えなかった。ありがとう。
・1番Aメロ「挑発的に健在」「現在」の「け/げんざい」はそこまで強くないが、1番Bメロ「悠然と」とラスサビ前の「最前線」は「ぜん」が強めでかっこいい。胸を張っているような風格。「顔を上げろ胸を張れ、俺たちがいるぞ!」と言う男がユニットにいるから、なんてことはきっと桜庭本人にとって関係なく、胸を張っている。そこがいい(全部想像)。
・内田さんの(色々なことができる方だからこそ桜庭に合わせて上品な響きを通している)ビブラートが非常に好き。「今、超えて」の「い~ま~」で天に突き上げられる。
・「この手の中に」を静かに力強く台詞のように発するのを聞いて、密度の高い「桜庭薫」を感じた。この手とは、静寂と歓声が取り合った手(=ライブ会場の観客だけでなく、アイドルとして表に出た桜庭の感じる情動の比喩? 本人の気質としての冷静さも高揚する心も両方が桜庭のもの)。そして常に銀のイルカが泳ぐ手のことでもありそう。様々な経験を積んできたから、どうなるか分からない未来に向かっても桜庭は次の一歩を定められる。そういう決意を感じる。
・もし桜庭が曲の通り、ディレクション順守で歌うタイプだったなら、アイドル7年目の貫禄を感じて胸が高鳴る。反対に、言葉にしないものも歌でなら表現できるものがあるタイプなら、その技術がここまで磨かれてきたこととそれを支えた環境(ドラスタ、P、ファン、事務所の仲間達など)に深い尊敬を覚える。

 追記:リスアニ内田さんインタビューで薫には「クラシカル」な歌い方を要素として入れているとあった。上の話でいうと前者。でもだんだん薫の表現は広がって後者の領域にも踏み込んできている。つまり歌で表現をするということ。歌という商品のための歌唱だけでなく、桜庭薫というアイドルの一表現として発する声になってきているのかも。それは良いことばかりでもないだろうけど、今までやらなかったことに挑戦し、やってきたことにも責任を持って磨きをかけるのが薫らしいと感じた。
 

〇神楽麗

 ・桜庭に引き続き、ラップ!?となるアイドルのひとり。聞いてみると違和感でなく新たな境地を開拓されてなす術もない。
 ・「掌握しよう」の語尾がフェアリーフロスのようにほわんと溶ける。他のアイドルは不敵に歌うようなところも、麗さんは飛翔している。もう地上にはいない。広い世界に飛び立っている。未知を掌握するために。
 ・「マインド」の「イ」が強かった。麗さんのマインドはどの枠にも収まるなだらかな形ではないかもしれないけれど、内に宿した思いの強さは簡単に捻じ曲がらないから、こういう歌い方なのだろうか。
 ・「この手の中に」は北斗と似て「か」が高い。まるで声変わり途中。
 ・「覚悟は胸にあった」の「か」く「ご」を強く発するところはポカフェで挑むように歌っていた麗さんと同じものを感じる。初志貫徹。なのに語尾の「た」にかかるやわらかなビブラートが美しくて、麗さんの余裕も滲んでいるような気がする(そういうエフェクトかもしれない)。歌うことの楽しさ、自分から届ける喜び、相手に応えるやりがいを麗さんはもう知っているからなのかも。

〇鷹城恭二

 ・第一声のハジけぶりに度肝を抜かれた。「夢の支配下」が「しはいかァ」、ラスサビ前「掌握しよう」の「あ」が(1番の同じ歌詞よりも)激しいなど、恭二の跳躍を感じるソロ。オリピFlying Hawkは曲のテーマとして寂寞(歌詞1番Aメロ「砂漠の風に吹かれて世界の片隅」など)も含まれていそうだったので、今回の曲でアッパーな恭二がはっきりと感じられて楽しい。FFFとは毛色の違うテンション。
・VOY@GER参加メンバー(恭二、玄武、クリス)だから、この曲は設定的に事務所越境の大きな仕事を終えてきた恭二の歌声なのだろう。恭二も北斗のように、アイドルをやる、前は躊躇っていたかもしれない「熱くなる」という経験を重ねてここに辿り着いている。それが恭二の誇りに繋がっていくとしたら喜ばしいなと思う。インテリ属性に宿る熱情は好ましい。恭二のANYWHEREを聴くと体の真ん中に火をつけられた心地がする。

〇蒼井享介

 ・315 Steelo!の時よりも落ち着いていて、かわいいけどシリアス。ポカフェの歌詞に感じた「挑戦」だけでなく悠然、軽やかといったテーマを感じる。特に2番Bメロ「侮っちゃいられない」は、享介にとって自分のこれまでを肯定して先に進むための言葉なのかも。「重たげなメランコリー抱え込んだままじゃ」ない享介の姿が見える。ポカフェより逞しくかっこよくなっている。
 ・母音で伸ばした後の区切り方と吐息が好き。聞いている限りではどの母音でも存在したので、伸ばす音が来るたびに歓喜。
 ・「戦略性」「衝動性」の「い」や「う」を伸ばして発音する(せんりゃくせー/しょーどーせー)滑舌も癖になる。彼があと2年で成人予定とはどういうことなのか。こういう歌い方、台詞の読み方は幼さだけを乗せているわけではなさそう。どういう18歳像なんだろう。
・「備えた」「夢の支配下」あたりは話すようにラップしてる。こういうところも315 Steelo!とは雰囲気が異なっている。今回の曲はどこまでも悠然と進むしポカフェのような逼迫感はそんなにないけど、挑む気持ちは入ってる。はっちゃけて歌うアイドルもいるなかで、享介はこういうテイストを選んだのだろうか。おそらくインテリ属性全員がレコーディング前にしっかり自分の位置付けを練っておきそう。

〇握野英雄

 ・「あ」と「え」で伸ばす音のビブラートが優しくてかっこいい。つまりサビ終わり「ANYWHERE」は「エ」も「ウェ」も「ア」もあって最高。「侮っちゃいられない」も「あ」から始まって「な」どっ「ちゃ~」(あ母音ビブラート)→い「ら」れ「な~」(あ母音ビブラート)い、だから耳が幸せ。「軽やかに踏み込もうか」も同じ理由で好き。「か」ろ「や」「か」に踏み込もう「か」。なよなよしてないのになぜこんなにもやわらかいのだろう。ラップもメロディ部分も口角を上げて歌っている英雄が目に浮かぶ。これが甘いというものなのか。おいしい歌声。
 ・「備えたッ」「夢の支配下ッ」などラップ部分で語尾をくっと切る歌い方してるのも好き。
 ・この『英雄』はBet your intuition!を経験している『英雄』だぜ! 優しく、温かく、そして時に自信たっぷりと愉しげに歌詞を歌い上げる。常に挑む場所を見据えているような、届ける先を視界に認めているような声。多分英雄も言う。「後ろの席まで見えてるぜー!」(天海春香リスペクト)
 ・「ショータイムを」の「タイム~ッを~」も好き。軽やか。
 ・「掌握しよう」もやっぱり「あ」が好き。「しょう!あーくッ、しーよっう!」の後に英雄が挑戦的に笑む一瞬を目撃した(未来予言)。

〇猫柳キリオ

 ・祝彩!のCメロラップと似たテイストで楽しい~! などと思っていたら、2番Aメロ「重要」の言い方にぐっと引きずり込まれた。「重要」の後に入る吐息が真剣でかっこいい。キリオはかっこよさも出せるアイドルなのだと実感できる。
???「追われるってのは気分がいい。自分が“あいどる“なのだと実感できる。”あいどる“は、常にその座を守らなければならない。守ることは攻めることより難しい。だが、それを成してこそ、”あいどる“!」
 ・「この手のな↑かに!」できゅぴぴーんと閃いた声色をしている。確信があるからあとは伝えるだけ、形にするだけ、そしてそれはキリオにとって苦痛どころか生業。そういう不敵さを覚える。「この手の」までは焦燥も感じるのに、「中に」で一気に音の上がりで視野が開ける。
 ・「光渦巻く」の歌い方が仄暗く思えてぞくっとした。この世はカオス。その模様を楽しめそうなキリオだけど、それはそれとしてまばゆい光には真っ黒な影がつくとスポットライトを浴びながらも思い至れそう。あいどるになって世の中の汚れを知り始めているキリオと、今まで汚れを見続けてきた雨彦が話すところを見てみたい。

〇冬美旬

 ・気だるげ、アンニュイ、少し妖艶。旬にとって余裕を表現する要素がそこにあるのかもしれない。ポカフェの断崖を必死に登り詰めるような悲壮感はない。仲間もいるし覚悟は胸にあるからかも。個人的ツボは2番Aメロ「躊躇などない」(a-iで韻を踏むところ)の吐息。
 ・ビブラートがロック。ハイジョの冬美旬として歌っている印象。僕は僕、まわりが騒がしいだけというスタンスは感じられない。自分はそれをどうしても嬉しいと思ってしまうし、モバのイベでどんどんやわらかくなっている旬を見ていると安堵してしまう。オリピソロGFの「一人じゃ見えない景色があるね」を何度も感じる機会に恵まれていると思うと余計に。
 ・ながにゃんの高音は張り詰めた響きで、尖ったガラスみたい。その声で今回のANYWHEREを歌って、ハイジョとも異なる「余裕」を出している。わたしはそれを旬としての表現が広がっているように感じた。次に来る49Eのソロがどうなるか楽しみ。

〇榊夏来

 ・ラップの語尾は下がらないまま、ピリオドみたいにぴたっと止まる。モバのヒップホップイベでもこんな感じだったのだろうか。なんとなくラップは正解がないイメージなので、自分なりの発信が周囲に受け入れられるかどうかにかかっている気がする。あの会場でもウケてたらいいな。
 ・声がやわらかい。のびのびしてる? なんだかナツゾラを思い出す。演奏だけでなく、思いきり声を出す「歌」という行為に楽しみを感じる姿が目に浮かぶ。それは伝えるほどハイジョメンバーが喜ぶはずなので、お互い属性曲の感想を話し合っていたらと楽しい想像をしている。
 ・空に溶けていくような高音もいいけど、最高音ではなさそうな2番Bメロラスト「先に立ってた」の「た」も好き。この曲を聞いて、夏来のロングトーンをもっと知りたくなった。

〇黒野玄武

 ・語尾は伸ばし過ぎず短め。ポカフェより余裕はあるにしろ、依然として挑戦的な歌詞のANYWHEREなのに玄武の歌声はどこか優しく響く。玄武の声をやわらかいと思う日が来るなんて思わなかった。WTイギリスの経験で(演者さんというより玄武の)培われた優雅さや軽やかさを感じる。もちろん随所にくっきりした語調や癖のある声は出ているが、7年アイドルをやってきて持ち得た自信や余裕を、叩きつける以外の発露方法で出されている気がした。一番それが強く感じられる箇所はBメロと「悠遠を描いた」「光渦巻く」。曲調が落ち着くところだから合わせている、というだけではないような。
 ・サビ「覚悟は胸にあった」の「む」直前に入る裏返りが最高。
 ・語尾が跳ね上がるのも独特の魅力がある。文字にすると「(最後の音)~っ↑」。ライブだとさらに顕著で楽しい。深町さんの生歌唱は同じ歌でも毎回全然違ってびっくりするので、この歌もたくさんの披露機会に恵まれてほしい。
 ・担当だろうがそうでなかろうがラスサビ前の「掌握しよう」で心を持っていかれそう。気持ち良さそうに歌っているのが微笑ましいし、力強さに勇気付けられる。

〇東雲荘一郎

 ・「あ」母音で高い音の時に喉の奥で引っかかる感じが癖になる。
 ・高くない時はインテリらしい落ち着きがある歌声だけど、ラスサビ「覚悟」が強く発音されていて東雲のはっきりとした意志が伝わってくる。ポカフェとは異なるアプローチで挑んでくる東雲。ベスゲなどで培ったアウトサイドな不敵さが混じっているような気がしてとても嬉しい。かっこいい。
 ・「挑め高揚」も好き。YOUが強い。こういう吹っ切れ方をする歌はユニットであまり出さない分、出せるのを楽しんでそう(ベスゲの甘雲カード台詞参照)。
 ・「この手の中に」のバリエが楽しい。東雲は「中に」で頭をのけぞらせながら白い首筋をカメラに晒すシーンが歌番組に映ってそう。衣装がかっちりして露出少な目だからこその恐ろしいショット。思わずうっかり番組を見ていたNot ファンがファンになってNOT ALONEになってほしい(?)。

〇岡村直央

 ・ウィスパーボイスにそわそわして、かわいいのに謎の後ろめたい気持ちが湧く。色っぽいとも違う、艶……? のような何かを感じた。
 ・発音の方向性は享介に近い。語尾の後ろに入る吐息も、サビ終わりの「ANYWHERE」で存分に堪能できる。
 ・「ショータイム」の発音などがひとつひとつはっきりしていて、なおくんがラップでも言葉を潰さないように気をつけているのがわかる。声の向こうになおくんがいる。
 ・ラスサビ前「ショータイムを」の「ム~↓を」のところ、歌いこなしてる感じが出ていてかっこよかった。大人びて聞こえる。すごいのは、「大人の歌」や「子供の歌」に終始せず「成長途中の子が歌う声」として成立しているところ。大人っぽさも子供っぽさも両方表現されている気がする。
 ・「この手の中に」が他の人と違っていてどきっとした。「なか↑に」でなく「な↑かに」。前者をよく聞く印象だったが、ラップのここはいくらか自由な音程なのかもしれない。それぞれの味付けを楽しめるパート。

〇硲道夫

 ・「夢の」や「ショータ『イム』」としっかり発音しているのがミスターらしい。歌詞・メロディ・ディレクションには忠実に従う。でも2番サビ「まだ知らない場所が」はがならずとも力強い声になっていて、ミスターの熱を感じる。
・ラップ部分の語尾はくっきり区切った発音をしているのに、語尾の音の閉じ方が上品? 語尾のひとつ前の音に軽くビブがかかっているからか、語尾はそこまで強く感じない。
・ミスターのことだから元々歌が上手なのではなく理論で技術を身につけていそう。この曲も含めて、ミスターには歌に出てしまうものが存在するのだろうかと気になる。歌い方の構成がひとつの式になっているような、整然とした発声は隙がなくて聞き心地がいい。
 きっとただロボットで歌うというだけならとっとが呼ばれていない。計画通りに発露させた技術を通じて、ミスターはざまの感情や表現が滲み出るような気がして好き。

〇山下次郎

 ・ラップの振り切ったやり方に、鳥籠の輪舞曲イベカード台詞「こういう役は、若くて爽やかな子のほうがよさそうだけど…需要があるってのなら、マジメにやりますよ。変に照れるより、ずっといいでしょ?」の精神が表れていて大好き。
・インテリメンバー全員に適した歌詞なんだろうけど、ANYWHEREがぴったりだとこんなにはっきり思えたのはミスターやましたが初かもしれない。「S.E.Mの山下次郎」をやっていくにあたっての決意や覚悟を、滔々とは語らなくても確かに歌で表現している感じがかっこいい。
 ・「夢の支配下」の「ゆ」と「はい」が耳に残る。誰がソロかにかかわらず、今回の曲でこの部分が一番好きなのかも。
 ・サビの高音(「今 超えて」「頂上の」「どこまでも」「まだ知らない」「場所が」など)が伸びやかに出ていて驚いた。もっとAメロあたりのしゃくりメインでくると思っていたので、ミスターやましたのすっと出る高音が聞けて嬉しい。出しにくそうな雰囲気もないし、こういう歌い方にした明確な意図がありそう。曲の清廉なサウンドに合わせていたり?
 ・ビブラートが綺麗。語尾にふるふるふるっと粉糖かけるみたいな感じで入るのが好き。

〇九十九一希

 ・囁き声でラップときて、Bメロからサビにかけて少しずつ熱が入っていくのたまらなく好き。サビ終わりの「ANYWHERE」までするっと聞ける。気付いたら鼓膜の内側まで浸食されている。比留間さんの表現をもっとたくさん知りたい。九十九先生はただ穏やかな人でも陰だけの人でもないので、劇中劇で主題歌ができるようなフルボイスイベがこの先あったら嬉しい。歌を聴くたびにそう思う。
 ・「最前線で」がしなやか。濁音が耳を刺激せずにふわっと流れてくる。気負うことなく旗手になれる8年目の九十九先生といったイメージでもあり、もう道を歩み出すと決意だけ固めた(まだ不安も想像するだけで多く知らない)サイスタ時空1年目の先生にも合致しそう。
・2番Aメロ「未来到来」が儚い。明るそうなワードでこのニュアンスはなんだろう? サビ前「先に立ってた」はちゃんと明るいというか希望が宿ってる声だった。「未来」が少し頼りないのは気のせい? これは2番になって「最前線で」の時よりも時間が経過して、様々な困難を経験し始めているから? 未来が不確かで、不安も希望もはらんでいることを日々で実感しているような声。妄想と先入観が過ぎるかも。
 ・九十九先生に関しては「この手の中に」は音の上がる「中に」よりも「この手の」の発音が好きになった。「手」の息のこぼし方が色っぽくて気に入っているのかも。本人にとっては無意識の声から生まれる需要もありそうだけど、大体はコンセプトを理解して臨みそうな九十九先生(19)だから、これも意図的な色気なのかと震えている。あるいはそれを勧めたPや音監さんがラスボス。ありがとうございます。

〇葛之葉雨彦

 ・インテリラップありがとう選手権で個人的に堂々の一位タイ。お前さんが持ってきてくれた仕事だからな、と普段はあまりやらないラップも涼しい顔でこなしたものがこちらになります。さらっとしているようにみえて人間が嫌いになれないどころか好きという「情」が出ていてたまらない(なんか声優しく聞こえていいな~程度の話)。ポカフェの悲壮感さえ感じる歌声や、人の汚れを何度も見ているが故の陰を纏ったソロと比べて、今回の曲は余裕を感じる。そういうオーダーの曲なんだろうけど嬉しい。
 ・「夢の」「悠遠を」「悠然と」の「ゆ」低音がたまらなく好き。耳の奥へ直に響く。全員verでもよくわかるところなので楽しい。
 ・「ANYWHERE」で「ウェ」から「ア」まで伸ばすところも色っぽくて好き。
 ・「この手の中に」が台詞でも高音でもない。音を上げてテンションが振り切れることもない、台詞にするほどはっきりと口にはしない、だから雨彦は歌にする。そんな気がする。

〇古論クリス

 ・「歌が苦手」の表現でビブラート少なめなのかもしれないが、時々語尾にふっとかかる震えにこれまで重ねてきた経験を感じる。たとえば1番Bメロ「落ち着いた顔して」はおそらくビブラートではないが、クリスさんの高らかな音圧で耳がぶるっとくる。その感覚が気持ちいい。クリスさんの伝えることに躊躇わない性質が、アイドルの仕事と合致する瞬間を目撃している感じ。くっきり言葉を発音する滑舌や伸びやかな高音のせいか、伝えられた歌声が素直に体へ入ってくる。人体と塩水みたい。広がる海の青に人がみな惹かれてきたように、クリスさんのANYWHEREもすっと耳を包んでくれる。なのにもっと知りたくなって、何度も聴く。まさに海そのもの。
 ・今回、クリスさんの歌声には余裕だけでなく高揚やわくわくが含まれているのかも。未知へ歩み出すのも、馴染みなさへの恐怖より興味が勝るから次の一歩も出せるといったイメージ。思考はインテリ、行動力はフィジカル並み(語弊)の情熱的なクリスさんが、ベッチュアを経てさらに「挑め 高揚」と歌うところに熱くなる。

〇天峰秀

 ・歌声に滲む自信が微笑ましい。天峰は難なくこなしてレコ仕上げてそう。クラファのテーマは“力強く、護ってくれる、頼もしい存在。だけど子供。”というアンバランスさ(石澤P, 2021.11.11ファミ通p28-29)なので、かっこよさを出しているつもりがかわいいと受け取られたり、何気ない本心が誰かを支える頼もしさになったりするのもクラファの魅力なのかもしれない。
 ・旬のエニウェと合わせたらなんとなく面白そうな歌声。どちらも持たざる者ではないのに自覚がない、そしてそれが歌声からもぼんやり感じられるあたり、興味深い。
 ・天峰はまだどの曲でどんな声を出すのか、表に出ていない部分や本人は無自覚で滲む要素などもまだ多くあるはず。いせゆーの「天峰秀」表現に含まれる不敵さやかわいさ、それが315プロの面子と合わさった時のハーモニーも楽しみ。シャッフル企画がもし今後もあるとしたらぜひ参加してほしい。
 ・「挑め 高揚」が楽しそう。挑むフィールドに立つこと自体を楽しんでいそう。
 
・余談:プレッシャーがかかればかかるほど燃えるインテリ属性アイドルなのだとしたらかっこいい。天峰はなんとなく眼前にある壁の高さに苦しむよりも、周囲とのやりとりで悩むことがありそう。だから自分が頑張らなくてはならない状況に弱くない。やればいいだけ。個人的にまだ理解できない歌詞のReason!! 2番Aメロ「自分しかできないことをやればいいだけ」をストレートに体現するアイドルかも(他アイドルにも適応するはずの歌詞だが、まだ自分はうまく解釈できない)。まさかアニメ未出演の新登場アイドルに回答を示されるとは思ってもみなかった。これまでの全体曲と矛盾するどころか新発見をもたらしてくれる出逢いにThanks for Tone’s Destiny……
 
 

フィジカルとメンタルの属性曲も感想を書き次第、属性ごとに投稿予定。