白杖使用者の日常―トイレパニック…
まさかこんなことまで言語化することになるとはまるで思わなかった…のだけれども。
ただ、大きな気付きのひとつでもあるので。
先日、ある施設に小一時間ほど話を聞きに行った。
居住宅のすぐそばのバス停から出ているバスで、現地の近くまでいくことが可能だったため、バスで。
用事が済んだあと、来た時と反対側のバス停に向かいながら、どうにも排泄の反応が…。
その辺りの店に駆け込むにも、どこにどんな店があるのかわからない。バス停まではあと少しある。
私は、はっきり言って、交代人格時代は、器の排泄反応は今から考えると恐ろしいほど無視することができた。
そして、他の交代人格達にも案外その傾向はあったため、移動中にどうしてもいっておかねば危機を感じるというほどのことは起こったことがほとんどなかった(いや、そもそも外出自体も少ないのだが…)。
それが、解離を手放すようになってから、こうした器の生理的反応も、無視することができなくなってきたように感じる。
たまに本当にもう少しで家だなどというときは、自己暗示を使って少々筋肉をコントロールすることはあるが…それでも、やはり身体(潜在意識そのもの≒自己治癒力)に負担をかけ、よろしくないことであるのでそんなに歯止めをかけられるものではない。
今回はその上、これからバス停まで辿り着いて、バスを待って、バスに乗って、少なく見積もっても30分程度はかかる。
悩んだ挙句、丁度行き当たった横断歩道を左折すると区役所があることを知っていた。
区役所の裏口から入ることになるので下手をすれば迷うし、区役所に入って~手洗い所の場所を知らないが、それでもそちらの方がマシだろうと、区役所へ寄ることへ。
何とか裏口を探り出し、何と建物に入ったはいいがその途端壁。折れ曲がって下へ降りる階段があったりエレベーターがあったり、なぜだか区役所のそのフロアへ素直に入るドアが見つからず、おろおろしていたら、ありがたいことに、どうやら区役所の職員らしい男性が声をかけてくれた。
事情を伝えると、腕を貸して下さり、区役所の中へ。本当にありがたいことに、区役所へ入ってすぐ手洗い所があったようで、しかも慣れていたのか、即座に「すみません、どなたか女性の方、女性のお手洗いの案内をお願いできませんか」と、恐らく職員ではないが区役所に来ていた方(女性)に声をかけ、手引きを頼んでくださった。
その女性も、本当に何ともありがたいことに、中まで案内してくださり、紙やフラッシュボタンの位置や手洗い場の位置まで教えてくださったので、本当に事なきを得た……
…と、いう…
本当に言語化するには恥ずかしいだけの話であったりする…のだけれども…
解離状態を過剰に使わなくなってから、生理反応を無視できなくなった、ということと、
それで尚更気付いた、
白杖移動中、道中で生理反応が起こった時に本気で死に物狂いで困る、ということ…
しかし、二次障害で体幹障害などにより排泄機能も更に止めることが難しい、または気付きにくい人たちもいるだろうし(この器の身体は恐らく、体幹障害・運動失調自体はあれど、排泄機能障害は恐らくない)、白杖使用者はいずれにせよ急いで歩くことは難しいが、運動機能障害や年配者などは、それこそ尚更、移動を急ぐことができない、我慢もできない、臨時で手洗い所を貸してもらえるところを見つける術もない(通りすがりの人を狙って声をかけて助けを求めることも難しい)、3重苦に陥ることになる。
今回の私でも、本当に区役所のドア前で職員の方が、その上更に女性客(区役所の場合客とは言わないか…)が協力して助けて下さらなければ、なすすべがなかった。
…こんな恐ろしいことは無い…と、こっそりと、しかし本気で、身に沁みて恐怖を味わった日だった。