白杖使用者の嬉しかったこと

先日、大変久しぶりの公共交通機関の利用で、駅員介助をお願いし、駅員さんが電車に乗せて下さり、優先席に座っていた方がさっと立って空けて下さったらしい時、今回、初めて、「あ、席あきまし…空けてくれましたので」と言い換えて状況を伝えて下さった。おかげで、席を立って離れたと思われる方向へお礼の言葉を投げることができた。

また、駅構内の移動のエレベーターにて。
先に庫内へ入った人がいたらしく、降りる時、どうやらボタンを押しながら先に出るようにと、待っていてくれたらしい。
この時、駅員さんがはっきりとわかるようにその方に向かって「ありがとうございます」と発して下さったので、私も状況把握し、お礼を伝えて出ることができた。

大抵、駅員さんは状況を教えてくれず(席を立った人に会釈などだけして)、電車に入った時「あ、席空いてますので(空きましたので)」と言って黙って座らせてくれるので、居心地がよろしくない。
だから、相手に声が届いたかはわからないが、この体験は非常に嬉しかった。

エレベーターの庫内にしても、単独歩行の時もそうなのだが、音が立たないように静かに、しかしどうやらそっと開くボタンを押して私がそろそろと出るのを待っていて下さる方がおられるようだ。
(大抵、庫内を出てから私の後ろから出て去って行く音が聞こえることによって気付く。方角を見失う可能性もあるし咄嗟に振り返ってお礼を述べることができない)
駅員介助の時も、私を手引きしてくれている駅員さんがどうやら会釈だとかジェスチャー付きの小声だとかで開けていてくれるひととやりとりをしてしまうと、私が所在なく、ただただ黙って手引きされるしかなくなってしまう。

お礼や挨拶を伝えるタイミングを与えていただくことができる。
手引きして頂いている時も、私は手引き者の荷物ではなく、やはり向こうからもひとりの人間にも見えるだろう。
手引き者に代わりにお礼を言ってもらうだけでなく、私自身にもその機会が与えられる。私にとって、これは非常に嬉しい。

私だけだろうか。


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