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中古レンズの失敗談

突然ですが、レンズを買うときって新品で買いますか?それとも中古もOK?こう問われると、中古で買うっていう人もけっこういるんじゃないかと思うんですが。
僕自身はむしろほとんど中古で、なぜかと言うと、やっぱり新品はそれなりの値段がするし、大概どうせ1年くらいのスパンで別のレンズを使ってみたくなるので基本は売って買ってのとっかえひっかえが前提(気に入ったら2,3年使うこともあるけど滅多にない)。となると中古でいいや、となる訳です。ただ、ヤフオクだとかメルカリだとかで個人から買うのは金額的にもリスクがあると思ってるので、マップカメラとかキタムラあたりの信頼できそうなショップから買います。個人から買うほど安くはないけど、販売店の保証は付いてくる、という。
それでこれまでそれなりに幸せなサイクルを回していたのですが、最近初めて躓いてしまいました。まあ結論的には自分が反省するべきことだったんですが、この件でいろいろ問い合わせたり調べたりして分かったことも多かったので、何かの参考になればと思い、書いてみます。

中古で購入。その後、不具合を発見

今回の主役はこのレンズ。

SAMYANGは韓国のメーカー(後で書きますが、これが良くなかったことの1つ目)。日本市場には2010年から参入している比較的古参?のメーカーで、14㎜ F2.8 なんかは写りとコスパで星撮りだとかなり有名(なはず)。最近だとキヤノンRFマウント向けにサードパーティとして一番乗りでAFレンズを発売したり、Eマウント向けのズームレンズの発売も噂されていますね。

購入先はマップカメラ。中古の美品で価格は25,800円。同店の新品価格が33,000円なので、約22%のディスカウントになります。
8/22に購入。その後忙しかったりしてしばらく使えず、初めて使ってPCで画像を確認したのが9/3。ここで異変に気付きます。

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んん?遠景にピントが合ってない…??

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やっぱり合ってない。撮るときは間違いなく無限遠に合わせてたし何かおかしい…?(note で表示される解像度で分かりますかね?)
でも飛行機の窓越しだったしその影響もあるのかな、と一旦思い直す。

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それも束の間、星撮りの写真を見ると明らかに像が結べてない(これはソフトフィルターも付けているので分かり辛いですが)。
思えばこの時点でさっさと初期不良と判断してショップに連絡すれば良かったのです。ただ、このときの僕は「ピント合わせミスったのかな…?オーバーインフとか…?」なんて考えて、もう少し検証してからにしよう、と判断してしまいました。これが良くなかったことの2点目。しかも決定的に。

初期不良を確信、ショップに連絡

判断を先送りにした僕が最終的に結論を出したのは、結局さらに2週間が経過した9/18でした。

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拡大すると明らかなんですが、全くピントが合っていません。AFはもちろん、MFに切り替えて無限遠側に全部回しても合わない(無限遠に合う前にピントリングが回り切ってしまう)。いわゆる「無限遠が出ない」というのか、前ピンというのか、用語は自信がないけど、とにかくそう確信しました。

そこでマップカメラの問い合わせ先に電話。これが9/20
結論としては、「初期不良の受付期間2週間を経過しているので返品は受け付けられない。また、当該レンズは中古保証も付いていないので、お客様自身の責任と費用で販売代理店(ケンコー・トキナー)に修理を依頼してもらうしかない」という回答でした。

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マップカメラの保証に関するページでは↑のように、
「保証対象商品:当店の販売価格1万円以上(税込)の中古カメラボディ、交換レンズ(一部例外あり)。」と記載されていて、対象商品は中古であってもマップカメラによる1年間の保証が付いてきます。
しかし、この「一部例外あり」の「例外」に当てはまると保証はなく、購入後2週間以内に連絡した初期不良に限り、返品可能ということなります。

そして今回のSAMYANG 24㎜ はこの「例外」になっていて、保証の対象外だったのです。
窓口で対応してくれた方は、初期不良自体は2週間以内に把握していたということも踏まえて上司の方に掛け合ってくれたみたいですが、やはり「1か月近く経っているのでNG」ということでした。悲しいですが、販売側としてはそうなりますよね…。

ここでの反省点は3つ。

・到着後すぐに動作チェックしなかったこと(これまでこんな経験がなかったのと、マップカメラだから大丈夫だろうという過信があった)
・保証の有無と初期不良の連絡期間をきちんと把握していなかった
・変だな?と思ったときにすぐ連絡しなかった(最初に異変を感じた9/3に連絡していれば普通に返品できた)

ただ、実際に中古レンズを見ていると Canon EF50mm F1.8 STM(中古美品税込13,800円)、PENTAX DA35mm F2.4 AL(中古美品税込10,400円)、Nikon AF-S NIKKOR 50mm F1.8G(中古美品税込19,900円)など、現行品であっても販売価格が低いものについては1年保証が付いておらず、「一部例外あり」の「例外」が思いのほか多い印象でした。この辺りは今後買うときにはよく確認が必要だなと思います。

ケンコー・トキナーに修理依頼

ということで、まずは修理見積りに出すことに。前述の通りSAMYANGは韓国のメーカーなので、国内の販売代理店であるケンコー・トキナーが窓口になります。
まずは窓口に電話して症状を伝えたところ、「修理受付窓口に現物を郵送してください。現物を見た上で見積りを連絡します。」との答え。これが9/229/27に発送して9/28にケンコー・トキナーに到着。

見積りが出てきたのが10/8でした。

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提案内容はなんと本体交換…。中古で買って1か月で新品を買い直すなんて冗談にもならないです。とりあえず電話で詳しく聞いてみると、

・不具合の原因は、打痕や破損などの外観上の異常がないことから、外的要因ではなく内的要因と推測される。
・SAMYANGのレンズはメーカーによって修理の基準が設けられており、外装の交換(例えばレンズフードの破損)で対応可能なものは国内で対応するが、分解などが必要なものは全て本国(韓国)に送って対応することになっている。
・ただ、本国に送って修理する場合には、その輸送費はユーザー負担。これが往復で約6,000円。さらに、海外メーカーということで対応がルーズで、本国に到着してから修理費用の見積りが出てくるまで2~3か月。そこでGOを伝えて修理に入っても、完了して日本に戻ってくるまでさらに3~4か月待つことになる(都合約半年程かかる)。
・以上の事情から費用と期間を総合的に踏まえて本体交換の提案をした。

とのこと。さらに、「では今回の場合はまずケンコー・トキナーに送らずとも、電話で症状を相談した時点でこの提案になるのは分かったのでは?」と問うと、(修理窓口に郵送するのにも900円ほど掛かってる。返送したら+1,100円で2,000円になる)

・前ピン状態の場合には、①外装上の手当てで修理可能なものと、②(今回の場合のような)分解しての修理が必要なものの2つがある。そのため、現物確認が必要なので郵送をお願いした。

とのこと。だったらまあ仕方ないですかね…。
ちなみに、上記の修理ポリシー(分解が必要な場合は全て本国に送っての対応になり、費用も時間もかかる)というのは、SAMYANGレンズ全てに共通とのこと(窓口の方に確認)。
ということは、もし内部的な不具合(AFモーターの調子が悪いとか、今回みたいなピント不良とか)が発生した場合には、基本買い替えまっしぐらということですね。これはなかなかリスクが高い。やっぱり海外メーカー、安く楽しませてもらってるとは言え、これを聞くと今後の付き合いにも躊躇が生まれますね…。

ここでの反省点は、

・安さに目がくらんでサポート体制の弱さを甘く見ていた(というか調べたりしなかった)

ということですね。しかしここまでとは。ケンコー・トキナーもメーカーなりに技術者がいてある程度対応するものだと思ってました。

ちなみに

ちなみに、中古品とはいえ初期不良2週間しか対応しないのってどうなの?それってヤフオクとかで「初期不良以外はノークレームノーリターンで」って言ってるのと同じレベルじゃん?という疑問についてですが。
気になったので念のため東京都消費生活総合センターに聞いてみると、

・もともと中古品を前提にした取引なので、スタート地点は「現状渡し」。2週間の返品対応も1年間の保証もあくまで販売店(マップカメラ)が独自にサービスとして上乗せしている対応に過ぎず、適切にサイト上で販売ページに記載されている限りは何も問題はない。

という回答でした。残念。
まあ、中古買うってそういうこと、ですね。

教訓めいたもの

ということで長々書いてきましたが、最後にまとめます。

・中古レンズを買うときは保証内容を確認しておく
・品物が届いたらすぐに一通りの動作確認をする(外観、動作、AFの挙動、ピント、写りなど)
・変だと思ったらとにかくすぐにショップに連絡する
・SAMYANGはサポート弱い。不具合が出たらイコール買い替えと考える

って感じですかね。こうやって読むと当たり前のことばっかじゃん、って感じですが。
あと敢えて言うなら、安いレンズ(概ね1万円から3万円)をたかだか数千円のディスカウントのために保証なし中古で買うくらいなら、新品で買った方が良いと思います。絶対。
これが高いレンズになると数万円変わってきてしかも販売店でも1年間くらいの保証は付けてくれるのでまあ許容できると思えるんですけどね。
安物買いの銭失いを地で行くようなことになって本当笑えないので、安いレンズは新品で。ということです。

以上、僕の経験談でした。どなたかの参考になれば。

※ちなみに今回のSAMYANG 24㎜ F2.8 は、本体交換してまで使い続けたいレンズでもないし、かといって早々にジャンクで売ってしまうのも悔しいので、しばらくは遊びのレンズとして使い方を探ってみます。無限遠は合わなくても、数メートル先までなら問題なさそうだし。
(※「前ピン状態」がどこからどこまで合うのか?はケンコー・トキナーでは調べてないという回答だったので、調べてもらうよう依頼しました。それくらいはきちんと把握しておきたいですからね…。)

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