フィルムシミュレーション「アクロス」とVSCOプリセットの比較
先日、X100Vのフィルムシミュレーション「アクロス」によるモノクロ写真をいくつかご紹介しました。
実は、これと並行して(ほぼ)同じ状況、同じ設定でオールドレンズでも撮影していました。
機材の組み合わせは、SONYα7S+VEB Pentacon auto 50mm F1.8。今回はこれにVSCO―フィルムライクに調整するアプリとしてあまりにも有名ですね―のプリセットを当てたモノクロとの比較をしてみたいと思います。
(VEB Pentacon auto 50mm F1.8 は個人的に大好きなレンズなので、これについてはまた書きたいと思っています。)
X100Vとは画角も異なれば当てているプリセットも異なるので、今回はあくまでも主に「どれがモノクロフィルムっぽくなるか」という観点での比較になります。
なお、いずれもプリセットをストレートに当てたのみ。パラメータは触っていません。それではどうぞ。
X100V+フィルムシミュレーション「アクロス」
SONYα7S+VEB Pentacon auto 50mm F1.8+VSCO Kodak Tri-X 400
SONYα7S+VEB Pentacon auto 50mm F1.8+VSCO Illford plus 50
見比べて感じることを思いつくまま挙げると…
① X100V+フィルムシミュレーション「アクロス」
・粒状感薄め(※粒子小・弱の設定が多分に寄与していると思われる)
・レンズの描写すっきり。上品、端正。隅まできっちり。
・3枚目では一番好み(水滴を載せた葉っぱの瑞々しさ)
② SONYα7S+VEB Pentacon auto 50mm F1.8+VSCO Kodak Tri-X 400
・粒状感一番強い。でもこれくらいがいい
・Illford と比べるとコントラスト弱め(2枚目・5枚目)。シャープ。
・1枚目は一番好き(空のトーン、川面のきらめき)
③ SONYα7S+VEB Pentacon auto 50mm F1.8+VSCO Illford plus 50
・コントラスト(シャドーの締まり)良い感じ。トーンが丁寧
・ハイライトの滲みが活きてる。
・全体的には一番好み(ただもう少し粒状感あってもいいかも)
といったところでしょうか。②,③共通になりますが、やはりオールドレンズの描写(ハイライトの滲み、球面収差、周辺部の解像力低下など)が「フィルムカメラで撮ったっぽさ」に強く寄与していることが分かります。そういう意味ではX100Vは少し洗練されすぎていて、退屈とさえ言えるかもしれません。X100Fまでのレンズだったらこうではないのかな。
個人的な好みとしては、②にコントラスト+α、または③に粒状感+α が良さそうです。
最後に、SONYα7S+VEB Pentacon auto 50mm F1.8による同じ写真に、VSCOで好みに調整したカラー写真を置いておきます。それではまた。