ポール・ブレイとチャーリー・ヘイデン
ある日のライブ日記。
このところ夜のゴールデンタイムにライブを聴きに行く時間がなかったので少々フラストレーション気味だった私は、「今日こそは見に行くぞ!」と決めてスケジュールが載っているフリー雑誌「HOT HOUSE」 を開く。
1ページ目にブルーノートの広告があって、その中に書かれてあった
「PAUL BLEY」の名前が目に 飛び込んで来たので今日はこれを見に行くことにした。
何でいきなりポールブレイなんか聴こうかなと思ったのか自分でもわからない。
でも まだ一度もライブを見たことがなかった。
しかしこのギグは彼のものではなく、ベ-シストのCHARLIE HADENの「INVITATION SERIES」とうたった70歳バースデイ企画で、4人のピアニストを迎えてデュオで演奏するものでした。
1日目はKENNY BARRON、2日目はETHAN IVERSON、3日目はPAUL BLEY、
そしてあとの3日間はBRAD MEHLDAU。
1st setはsold outだった為、2ndを並んだのだが既に長蛇の列。
中に入って座ると、隣の酔っ払ったオジサンが話しかけてきて、あんまりそういう気分じゃなかったのだけど、隣なので仕方ない。
どうやらジャズが大好きな人のようだけど酔っ払ってるからバーテンダーに嫌われているみたい。
そのオジサンは1stを見ていたようだったので、ライブについて質問してみた。
そしたら、「ノーコメントだな...あんまり良くなかったよ。」
オイオイ...私はそのライブを今から見るんでっせ。
話し相手を止めるとそのおじさんは帰っていった。
さて、2ndが始まって、ポールブレイが登場しソロを弾く。
その後チャ-リーヘイデンが加わった。
う~ん、何かすべてが淡々としている。
一貫して静かな演奏で特に盛り上がる場面もなく、なんだかとても
調子が狂うライブやなあ。
何か不倫している恋人みたいに、すごく親密な2人なんだけどオープンに出来なくて、でも内部では周囲にはわからない暗号のようなものがあり、密かに盛り上がっている2人。みたいな。
耽美的というか、なんというか、2人だけの世界に浸っている感じだった。こういうライブは逆に珍しかったので面白かったけど、見ている人にとって果たして楽しいと言えるライブかというと、ちょっと難解なイメージかも知れない。
この人達がビバップを演奏するところはちょっと想像出来ないなあ~
演奏しすぎてそれではもの足りなくなっていくところまでいったらこういう風になるのかしら。
淡々と演奏が終わり、そろそろ帰ろうかとしたら、
ポールブレイがファンらしき人との写真撮影に応じていた。
私がそれを横目に通り過ぎようとした時、ポールブレイと目が合った。
ファンと一緒に写真撮影という場面がとても似合わない感じだなあ。。。
何か人間臭さを感じないんですよね。私の中では谷崎潤一郎みたいなイメージ。
無表情でファンに寄り添っているポールブレイはちょっとかわいらしいけど、この日の音楽のように、すべてが調子狂うほど強烈な個性といった印象でした。
#ポール・ブレイ #チャーリー・ヘイデン #ニューヨーク #ジャズ