脳卒中を体験できて嬉しいと考えていたバカな私。①
前回は、
というお話しでした。
シャワーは出続けたままで、私の顔と体に降りそそいでくるのだが、すべてがスローモーションに見えるため、私の腕や体に降りそそいでくるすべての水滴や、タイルに跳ね返っている水滴の動きまでも、私には鮮明に見えていた。
一般の脳の持ち主では見ることができないような、美しくもあり不思議な光景を見れていることは、いいことだったが、私は、シャワーの蛇口をひねって止めたかった。
タイルは冷たいし、勢いよく出ているシャワーのお湯が耳や口や鼻の中に入ってきて、息がしづらかったからだ。降り注いでくるシャワーのお湯を避けるため、私は必死に顔を動かそうとしたが、ものすごい重力に上から押されているような感じで、頭はまったく動いてくれない。
もはや私は、自分の顔さえも自分で動かすことができなくなっていた。
そんな私は、自分が出せる限りの大きな声でシェアメイトの名前を呼んだのだが、なにも反応はない。
それもそのはず。
シャワーのお湯は出っ放しだし、時間は夜中の1時。そして、彼女は寝ている。
すべてのことが頭の中では理解できていたが、本能的に、
「このままではマズい」
と分かっていた私は、大きな声で、叫ぶように、彼女の名前を繰り返した。
3回名前を繰り返したところで私の声に気づいた彼女は、シャワールームの扉の外まで来てくれた。すべてが一瞬の出来事だったはずなのに、時間はゆっくりと流れており、彼女の声を聞いた私は、 「あぁ、来てくれてよかった・・・」 と、単純にホッとしていた。
長くなるので一旦区切ります。
長くなるので一旦区切ります。
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