足にポコポコ血管が浮いてきた方、足の青や紫の細かい血管が目立つ方へ
いったいあなたの足には何が起こっているのでしょうか?そしてその治療や予防には何ができるのでしょうか?今日は下肢静脈瘤とクモの巣状静脈瘤についてお話しします。
・静脈とは何か、静脈はどのような働きをしているのか?
私たちの体には至る所に静脈がありますが、皮膚を通してみえているのは実はそのごく一部。人間の血管には動脈と静脈がありますが、心臓が絞って血液を送り出す動脈に対し、静脈は体内の血液を心臓に戻すのに非常に重要な役割を果たしています。
特に下肢の静脈は血液が逆流しないようにする一方通行の逆流防止弁と、血管の周囲にある筋肉の収縮により、重力に逆らって血液を送り返します。
ところが静脈の機能に問題があると、静脈は太く拡張し、目立つようになってきます。静脈弁、血液自体、または周囲の筋肉に問題が発生すると、血液は心臓に戻らずに静脈の中に溜まってしまいます。その結果、静脈内に圧力がかかり、血管壁が弱くなり、静脈が膨らんだりねじれたりして、下肢静脈瘤やクモの巣状静脈となって目立ってくるのです。
・膝下のあたりで皮膚からミミズ状にポコポコと膨らんでいるように見えるのが下肢静脈瘤。
赤、紫、青などの非常に細いにもかかわらず目立つ血管で、しばしばクモの巣のような形で中心から枝分かれしているのがクモの巣状静脈瘤です。
ある研究では20歳以上の最大60%が静脈が外見上気になると言われています。また外見だけでなく以下のような症状が現れることもあります。
足や脚の重だるい痛み、ズキズキ、焼け付くような痛み、ヒリヒリ感 足が攣る、疲れやすい、足が重い、足や脚のむくみ 炎症、かゆみ
・青く目立つ静脈は心配する必要があるのでしょうか?
これらの静脈瘤はあなたの健康にすぐに危険をもたらすことはありませんが、しかし、2つのリスクに気をつけましょう。
血栓:太い静脈に溜まった血液は、特定の状況下では凝固して炎症を起こすことがあります。血管に硬くしこりが出来て痛みや熱感がある場合には血栓性静脈炎と言って血栓が飛んで塞栓症(重要な血管が詰まること)になる可能性に繋がるので要注意。
静脈性潰瘍:血液の流れが滞ることで、皮膚の血流も低下すると、キズ(潰瘍)が治らなかったり、出血したりすることがあります。
このため、心配なことがあれば、医師に相談することが大切です。
・どんな人がクモ状静脈や静脈瘤になるの?
静脈の問題は誰にでも起こる可能性がありますが、女性は男性の2倍の影響を受けやすいと言われています。これは、女性のホルモンの変化が主な原因です。また、美容師や調理人、医療従事者など、長時間立ちっぱなしの仕事をされている方は、リスクが高まる可能性があります。その他のリスク要因としては、以下のようなものがあります。
加齢- 加齢に伴い、弁が摩耗し、弱くなり、弾力性が失われます。
体重と肥満 - 体重が増えると、静脈にさらに圧力がかかります。
妊娠 - ホルモンの変化と、血液量の増加、胎児による静脈への圧力が重なります。
怪我の既往症
手術
静脈機能不全の家族歴 - 両親が静脈瘤だった場合、発症の可能性はかなり高くなります
・静脈瘤の治療
足と脚、特にふくらはぎの血行促進を目的としたエクササイズ
着圧ストッキング 圧迫により静脈に血液が溜まるのを防ぎます
硬化療法 硬化剤の注射で細い血管を固めます
血管内焼灼術 症状が悪化した場合には日帰りで手術も可能です
・静脈瘤の予防のために出来ること
長時間の座りっぱなしや立ちっぱなしを避け、定期的に足を高くする。
毎日30分の運動をする。
着圧ストッキングを日常的に着用する
あなたの足の静脈はどうでしょう?一度確認してみてください。