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そのスキンケア、実は逆効果?本当の保湿とは

初めまして!元化粧品研究者のめがねちゃんと申します。大手化学メーカーでスキンケアやヘアケア製品の原料開発を担当し、多くの化粧品メーカーと交流してきました。

めがねちゃん Xアカウント

毎日のように新しいスキンケアアイテムが発売されていますが、実は法律上の制約によってメーカーが効果を伝えられないことってかなり多いんです。そういった背景もあり、SNSでは誤った情報やバズを狙ったデマが多く見受けられます。

様々な情報が溢れる中で、「何を信じたらいいの?」と戸惑っている方は多いのではないでしょうか。

これまでの化粧品研究の経験を活かして、お肌の悩みや疑問をわかりやすく解説し、正しい知識を持って自分にぴったりな化粧品を選ぶお手伝いができればと思っています。


今回の記事では、よくご相談をいただく「乾燥」についての解説をします。

SNSで発信をしていると「どれだけ化粧水やクリームを重ねても乾燥してしまう、、」そんな声を耳にすることがあります。ですが、化粧品の水分とお肌内部の水分は別物なので、たっぷり塗れば良いという単純なものではありません。

丁寧にスキンケアをしていても、逆効果だったらもったいないですよね、、。
今回は本当に取り入れるべきケアを保湿メカニズムと併せてご紹介していきます。

乾燥は、シミやシワなど様々な肌トラブルの原因となるため、保湿は全ての美肌ケアの土台といっても過言ではありません。保湿を基本から理解することで、皆さまのお肌に合ったケアを見つけていただければ嬉しいです。

1.保湿と乾燥のメカニズム

1-1.肌の保湿能力は角層で決まる

まず、保湿のメカニズムをひも解くために、お肌の構造をイメージしてみましょう。お肌表面には「表皮」と呼ばれる層があり、厚さはおよそ0.2mmほど。そして、表皮は4つの層で構成されています。

一番外側の「角層」は厚みわずか0.02mmという薄さで、内側の層から押し上げられた細胞が最終的に行き着く層です。ちなみにこの層の細胞は核が無く、死んだ細胞が10~20層積みあがってお肌表面に留まるように存在しています。

一見頼りなく見える角層ですが、お肌から水分が蒸発するのを防いだり、紫外線・摩擦・アレルギー原因物質などの外的ストレスから身をまもる「バリア機能」というとても重要な役割を担ってくれています。

もし「しっかり保湿しても乾燥が改善されない、、」と感じる方は、このバリア機能が低下している可能性があります。

この角層をもう少し分解してみましょう。角層は「角質細胞」と、その周辺の「細胞間脂質」の2つで構成されています。角層は、アミノ酸やPCAなどの「天然保湿因子」を含んだ角質細胞がレンガのように積まれており、その隙間を埋めるようにセラミドを主成分とする「細胞間脂質」が存在しています。

これらが水分と結びついて蒸発しにくい状態を作り、皮脂の膜によってさらに蒸発を防ぎます。皮脂はニキビや角栓の原因になる悪いイメージがありますが、お肌のうるおいを保つのに必要不可欠な存在なのです。

つまり、

・皮脂
・角質細胞間脂質(セラミドなど)
・天然保湿因子(アミノ酸、PCAなど)

この3つがお肌のうるおいや健康を守ってくれているのです。

細胞間脂質と天然保湿因子によって「蒸発しにくい水分」をつくることが、お肌の保湿とって重要なポイントになります。

1-2.蒸発しにくい水分とは?

角層に含まれる水分には、大きく「結合水」と「自由水」の2種類がに分けられます。この「結合水」がいわゆる「蒸発しにくい水分」で、お肌のうるおいを維持するのに重要な水分です。

結合水:
ある成分と結びついた水分のことで、蒸発しにくい性質を持つ。

自由水:
結びつきが無い自由に動き回る水のこと。
組織内で比較的自由に移動でき、蒸発しやすい性質を持つ。

結合水は、NMF(アミノ酸)や細胞間脂質(セラミド)が水分と結びつくことで作られます。さらに、細胞間脂質と結合水が層状構造を作ることで、「ラメラ液晶構造」と呼ばれる形態を形成します。

「ラメラ液晶構造」は、脂質と水分が何層にも交互に重なった“ミルフィーユ”のようなイメージです。生地とクリームがしっかりと層を作っているほど崩れにくいように、お肌でも脂質と水分の層がきちんと並ぶことで、うるおいを逃がさず外からの刺激を受けにくくなっています。
(ちなみに、層の隙間には自由水が貯めこまれていきます。)

細胞間脂質が水分と結びつきながら挟み込む

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