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肌トラブルを避けるための徹底解説:化粧品の安全性ガイド 【後編】

皆さんこんにちは。コスメデインです。私は化粧品の現場で20年以上の経験を積み、さまざまなブランドや商品の処方開発に携わってきた現役の化粧品開発者です。

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前編では、化粧品の安全性を考えるうえで最も重要なことをお伝えしました。

後編となるこの記事では、皆様がとるべき具体的な行動についてお伝えいたします。ただ、誠に申し訳ございませんが、前編公開から1ヶ月以上経過してしまっているので、まずは、前編の振り返りからさせていただきますね。

1.前編の振り返り

前編では、化粧品の「安全性」とは何かという話題からスタートしました。私たちが当たり前のように店頭や通販で手に取るコスメも、実は国の最低限の規制だけでなく、「メーカー独自の安全基準(自社基準)」に大きく左右されているというお話でした。

化粧品の安全性は国の規制を超えた「自社基準」が左右する

まずは、化粧品が薬機法などの法律を守っていることが大前提。でも、そこから先は各メーカーが「この成分をどれくらい入れる?」「どういうテストをする?」といった独自の判断を重ねています。

大手メーカーは長年積み上げてきたデータや多角的な試験の仕組みを活用して、安全性を高いレベルで確保していることが多い。一方、中小メーカーは資金や人材が限られていて、十分な検証が難しいケースもある。それでも頑張って安全性を守っている中小メーカーもある、というように、メーカーごとの温度差があるのが現状なんです。

日本メーカーと韓国メーカーの違いにも触れましたが、日本コスメは「肌にやさしい処方」を重視して評価が厳しめ。逆に、韓国コスメは新しい成分を積極的に取り入れる分、メーカーによっては安全性評価に差が出やすい、という一面もありましたね。

防腐剤や抗菌成分の具体例

さらに前編では、防腐剤(パラベン、フェノキシエタノールなど)や抗菌成分(BG、PG、ペンチレングリコールなど)を例に、「コスメの品質を3年保つって、実はすごいことなんだよ」という視点で話を進めました。国が決める上限量のなかで、どれくらい防腐剤や抗菌成分を入れるかはメーカー次第。そして、同じ成分を使っていても、配合量が違えば刺激の強さや安全性も変わってしまう。

特に「防腐剤フリー」をうたう製品では、実は、2価アルコール(BGやPGなど)をたっぷり配合して菌を抑え込んでいる場合があり、かえって肌刺激が増すこともある。「フリー=安心」ではないよ、というポイントが印象に残った方も多いのではないでしょうか。

「自社基準」が形作る安全性の正体

こうした具体例を通じて、前編で強調したのは「国のルール(禁止成分や使用量制限など)に加えて、メーカー独自の基準がどれだけしっかり作り込まれているかが、安全性を大きく左右する」ということです。

研究の積み重ねや、試験のやり方、成分の選定、それに配合量のバランス。こういった複数の要素が組み合わさることで、見えないところにメーカーごとの差が生まれます。そして最終的に、「じゃあどのコスメを使うかは自分で判断するしかないんだ」というのが前編の結論でもありました。

配合「量」もチェックしたい重要ポイント

もう一つ忘れてはいけないのが、「配合成分が合わない」というより「配合量が高すぎて刺激になる」可能性もあるという視点です。たとえば、防腐剤や抗菌成分は必要最低限なら問題なくても、限度ギリギリまで入れれば、どうしても刺激が増すかもしれない。つまり、パッケージや全成分表示を見ただけではわからない「配合量の壁」があるんですね。「○○フリー」と書いてあっても、他の成分を大量に入れていれば本末転倒、ということを頭の片隅に置いておきたいところです。

さらに実践的な話へ

前編では「どうして同じカテゴリーのコスメなのに安全性がバラバラなの?」「防腐剤フリーって肌にいいんじゃなかったの?」といった疑問へのヒントをたくさん詰め込みました。
ここまで読んでくださった皆さんは、ある程度「コスメの安全性って意外と奥が深い」と感じていただけたはず。後編では、この学びをもう一歩先へ進めるため、「特定成分高配合コスメ」や「トライアルセットの活用法」といった具体的なトピックを取り上げ、どうやって自分に合ったコスメを探せばいいのか、実践編をお届けします!

2. 安全性自社基準の実例:特定成分を高配合

前編では、防腐剤と抗菌成分を実例に、化粧品の安全性についてご説明しましたが、後編ではもう一つの例として「特定成分を高配合したコスメ」を取り上げてみましょう。実は、「特定の美容成分」をたっぷり入れた商品にも、防腐剤や抗菌成分同様、メーカー独自の安全性基準が大きく関わっているのです。

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