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都会で30年からの沖縄

初めての一人暮らしとふと自分に置き換えてみて改めて気付かされた。

東京の大田区で生まれ育ち30年の時を得て一人暮らしが始まる。

別にその間に環境に変化がなかった訳ではなく

19か20歳まで実家にはいたが、社会に出て最初に家を出る事になったのは、

一人暮らしの彼女と一緒に住む事になり週末は地元の友人達と遊ぶ事が多く、その時は実家に戻っていたりもした。

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中途半端に都会に近い場所が生まれ故郷だと、

意外と地方の人とは違う悩みを抱える事もある。特に私の様なお爺ちゃんお婆ちゃんまで東京生まれの江戸っ子の家系で育つと

夏休みの田舎は隣の家であり、社会人になれば年末年始の帰郷は電車で2駅先だった。

今となれば何とも思わないが、特に学生の頃は変な嫉妬心があった。

話しが少しそれてしまったが、東京にずっといる事により彼女と別れた時は実家に帰れてしまうので、

一人暮らしをする理由もなく25 の時に結婚をする事になった。

当時企業に勤めていたのだが、自分の一人暮らしが突然訪れた

新店の店舗責任者として沖縄の出張を告げられる事となる。

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家族がいて部下がいて、

ましてや30過ぎて仕事でのこととは言え

もはやワクワクが止まらなかった。

初めての一人暮らしが突然の沖縄となれば尚更だ。

さすがにこの歳になって、さらに自分の置かれている諸々の環境を踏まて、感情をそのまま表に出せるわけもない

しかし隠している自分がまたやけに笑えてくる。

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社宅のワンルーム。どこにでもあるワンルームである。


とはいえ私にとっては最高の秘密基地。

謎の優越感に浸りながら、全てが初めてな事に浮かれていた。

引越し初日。

蒸し暑い4月。

よし初めての自炊してみよう。

スーパーに行く私。

道中歩きながら東京にない湿度に南国気分を感じつつ、

この街は坂が多いなと息を若干切らしながら到着。

家の近くにあるスーパー。カナデとユニオン。

全然知らない名前に妙に少し動揺。

家族と行くライフ以外は全くの無縁だっただけに。

入口にある妙に違和感のある公衆電話。

タクシー呼ぶ電話らしい。

ゴーヤがたくさん並んでいたが、人生で自炊をした時のない私にとっては、この大きな深緑の物体に近づけるほど容易なことではない。

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沖縄で初めての自炊となればとウロウロしたあげく

選んだ物はポークと卵

確実に失敗の無い物で、最悪このまま食べれるこの素材は私にとってのヒーローだ

ポークチャンプは一体これでいいのかと、自問自答しながらも

そこそこ美味い。自炊で3割どころか5割増しになった

こうして始まった一人暮らしだが

一つ問題が

沖縄ってほんとに湿気が多いみたいで、

靴箱の中とクローゼット中がまさかのカビ発生

人生初の一人で発狂した。

地元のタクシーのおっちゃんにカビ問題について相談してみた。

おっちゃんの家は加湿器が24時間付けっぱなしらしい。

緊急で加湿器を買う事に。

余計な出費やなーと思いつつも致し方ない結果と決意して購入した。

おっちゃんの言う通りやった。

加湿器を一日中付けていると空の容器が水で満タンになる。

驚きを隠さずにいた矢先に次なる問題が

家の中に何かいる

そーっと近寄ると

ヤモリがいる。

虫や昆虫はどちらかと言えば苦手。やばい。

これも実はタクシーのおっちゃんからその時仕入れた情報なのだが、

どうやらヤモリはヤールーと呼ばれていて沖縄の人にとって家の守神らしい

苦手な私は異様な行動に出た

『どうか脅かすことはしないで家守ってください』

念じていた。無理矢理自分の脳内を洗脳させる荒技に出た。

驚くものでそれから数日後には若干ヤールーが少し愛おしく見えてきた。育ったきた環境の違いはここまで自分を左右するのかと感心した

30を過ぎてから人生飛びっきりの一人暮らしを約2年させてもらった。

この年だからこその刺激もあった気がするが、

ワクワクする事も経験できたが

家事や洗濯をしてくれて

一緒に笑える家族の有り難みを感じられた長い様であっという間の一人暮らしでした。

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