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ああ、追いかけるからあなたは逃げてしまわれるのですね。

こんにちは!

こしあんです。

わたしが以前、配達の仕事をしていた時のことです。

あれはちょうど、夕方の再配達をしていた時でした。

配達先の一軒家に到着し、いつものように「ピンポーン」と呼びベルを鳴らします。
しばらくすると留守番をしていたであろう女の子が犬を抱えて出てきました。

ドアは半分だけ開かれ、女の子は警戒しながらこちらを見ています。

私はいつも通り、「お父さんか、お母さんはいますか?」と聞き、「いなかったらまた後でくるかな」などとぼんやり考えていたいました。

そのときです、

予想だにしないことが起こりました。


なんと!

女の子の腕からするりと小型犬が脱け出すではありませんか。
そして玄関の隙間を素早く通り抜けて外に出ます。

二人とも一瞬何が起こったのか理解できず固まっていました。

我に返った女の子は「ヤバい!」と思ったのでしょう。
「おじさん!追いかけて!」と叫びます。

※以下小説風に書きました、お付き合いください。

数秒後、少女の声に呼応するように私は走り始めていた。
「なぜこんな目に!」という言葉をギリギリで飲み込む余裕はまだあった。
壊れそうな身体に鞭を打つ。
少女の願いを叶えるためにも止まるわけにはいかない。

「全力で走るなんて何年ぶりだ?」
そう思いながら日が暮れる空を見上げる。
暗くなる前に勝負をきめなければならない。

必死で後を追いかけ、視界の端に目標を捉える。

犬はこちらをチラッ、チラッと見ながら走る
まだまだ余裕がありそうだ。
私が近づいては加速し、離れればスピードを落とす。
「もう少し!」という所でまた、距離が開く。
口角は上がっているように見えた。

「クソ!嬉しそうにしっぽを振ってやがる!」
そう思いながら必死に追いかける。
肌に張り付くシャツが少し気持ち悪い。

だが、小型犬といってもやはり走るのは速い。
これはどうやっても追いつきそうにない。
「さて、どうする?」


そこで私は、ひょっとして「追いかけるから逃げるのでは?」と考えました。
意を決してしゃがみ込み「おいで~、こっちだよ~」と言いながら手を叩きます。

もう気分はムツ〇ロウさんです。
「今、自分にムツ〇ロウさんを降臨させるのだ」と言い聞かせ、一生懸命呼びかけました。


するとどうでしょう。

犬が近寄ってくるではありませんか!

私の脳内では映画ボディガードの「エンダーーー」が流れ、わんこを抱えてくるくる回る勢いでした。
犬を抱えた瞬間、「なんてかわいい奴だ」という感情すら湧いてきました。
(でも私は猫が好きです。)

逃げられた時のことを考えるとゾッとしますが、何はともあれ無事に確保できてほっとした日の出来事でした。


こしあん



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こしあん
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