<出張工作室レポート①>「オヤツ争奪!バギーカーレース」@SHIMOKITA COLLEGE
こんにちは。
FABコミュニティ「CO-SAKU谷」です。コーサクダニ、と読みます。
突然ですが、このたび「出張工作室」はじめました。自分たちのまちに「FAB工作室&食堂」をつくりたいのですが、いい物件は、そう簡単にはみつからなくて。そこで物件がみつかるまで、いろんなところに出向いて「出張工作室」を開催することにしたのです。
記念すべき初出張は、2月23日(祝)、下北沢にある学生寮「SHIMOKITA COLLEGE」さんのご協力をいただいて開催しました。
SHIMOKITA COLLEGEは、小田急電鉄株式会社、UDS株式会社、株式会社エイチラボの三社協働による居住型教育施設で、「下北線路街」に2021年4月開校予定です。下北沢のまち全体をキャンパスとしてとらえ、まちの人たちとともに地域の課題解決プロジェクトに取り組むなど、ユニークな学びをこれからどんどん提供されていくそうです。私たちも、館内を見学させていただきました。好奇心や学びの芽がごく自然に生まれ育まれていくような工夫が設備のあちらこちらに見られ、「暮らす、学ぶ、関わる、生きていく」といったことがシームレスにある感じ。私たちCO-SAKU谷がつくりたい世界観と、とても通じています。工作好きな学生さん、いたらいいなあ。
準備
・タミヤ「バギー基本工作セット」
・ソニーIOTブロック「MESH」(使うのはGPIOとMOVE)
・改造のための部品(モータードライバ、金具、パネル、ネジ、空箱など)
・いろんな道具
・秘密兵器
実はこの企画、場所や特定の機材・道具などに縛られず、一般家庭で準備できる素材・機材を使って、もっと気軽に電子工作を楽しめないか、そんなことを考え、一年前の今ごろにトライしていました。
タミヤの工作セットならお手頃価格で買えて、小学低学年でも自宅で手伝ってもらいながら組み立てができます。ただし、基本どおりに作るだけでは、前後にしか動かないし、何より、もっといろいろイジリたいよねぇ。
そこで、IOTブロック「MESH」のGPIOブロックやそのほかの部品を使って、左右に動くように改造することにしました。MESHは、プログラミング言語を知らなくても、文房具のように直感的にアイデアを形にできるもの。GPIOを使ってモーターやセンサーとつなぐと、できることがぐぐぐーんと広がるのが魅力です。
「 オヤツ争奪!バギーカーレース」とは?
CO-SAKU谷のコーサクは、作っておしまい、ではありません。作って、動かして、もっともっと「こうしたい、あれしたい」を自分でみつけてどんどんやってみる。ゴールは自分で決める。そんなことを大事にしています。
今回の「オヤツ争奪! バギーカーレース」では、自分が作ったバギーカーで、レース場に散らばるオヤツをどれだけ取れるか、を競います。参加条件は、2つだけ。
①車体には、タミヤ「バギー基本工作セット」のバギーカーを使うこと
②バギーカーの駆動は、ソニーの電子ブロック「MESH」を使うこと
オヤツを、バギーカーでレース場の四隅にある陣地に押し込んだら、獲得となります。オヤツ1つにつき、1点獲得できます。オヤツをゲットするために、バギーカーにアームをつけたり、操縦を工夫したり。
おや。レース場の中央に、なにやらタワーが!
これは、点数用紙が入ったガチャカプセルタワー。バギーカーで突進し、倒してカプセルをゲットします。高得点だけでなく実はマイナス点も潜んでいるので、車の出来も操縦技術も関係なく、運頼み。これが、結果的に勝敗を左右することに・・・?
バギーカーを作る
まずは、基本どおりにバギーカーを作ります。工作好きな小学4年生の手で、だいたい2時間くらいかかりました。基本どおりでも、けっこう難しい。
一日限りの出張工作室なので、時間があまりありません。なので、改造に時間をかけたい人は、基本形までは、事前に自宅で製作してもらうことにしました。今回の参加者は、小学2年生から中学2年生、そして大学生から大人まで、年齢はバラバラです。最年少の小学2年生は、当日に基本形から作り始めました。サポートはあったものの、短時間で完成させて改造組にジョイン! 好きなことは、年齢に関係なく、すごい集中力でがんばれちゃうものです。
改造する
タミヤのバギーカーは、基本どおりだと前後にしか動きません。左右に車軸を動かし、オヤツをゲットできるように改造します。
バギーカーをプレートと金具で2階建てにし、サーボや電池ボックス、GPIOをセットしていくわけですが・・・。前後にしか動かないつくりの車軸を左右にクイクイっと動くようにするのが、やや難易度が高いようです。
秘密兵器あらわる
ジャーン!
これは、今回のスペシャルゲスト、VIVITAエンジニアのかっしーこと柏本和俊さんが3Dプリンターで作ってくれた部品です。これを取り付けるだけで、車軸をこんなふうに↓左右にクイクイっと動かせるんです。すごーい。
少し脱線話を。
私は、数年前に、久川真吾さんというエンジニアの方に出会いました。久川さんは、大きな組織に所属するのではなく、同じくエンジニアである奥様と一緒に会社を経営されています。そして自分の開発製品をオープンソースにし、世界中の技術者が製品開発にジョイン。部品は3Dプリンター等で製作でき、世界中から調達可能。その時に見せていただいたのは、あるバイオ機器でした。必要とする人がいる場所で、そこにいるエンジニアがつくり、提供することができるんだと。ものづくりの知識も関心もさほど持ち得なかった私に、新たな世界へ目を向ける大きなきっかけをくれました。
2015年、総務省は「ファブ社会の基盤設計に関する検討会報告書」を発表しています。この報告書には、3Dプリンタやレーザーカッターに代表されるデジタルファブリケーション機器が、インターネットにつながり、デジタルデータになって、ものづくりの企画から生産、流通、利用のされかたまでに影響を及ぼす。年齢や性別や所属、立場の違いを超えて、新たな交わりとつくることを生み出す、といったことが書かれています。「ファブ社会」と言われても、この報告書を読んでもピンとこないかもしれませんが、久川さんのTEDをご覧いただくと、きっとハートを掴まれると思います。
さて、改造部品の話に戻ります。
この部品は、かっしーの自宅で作られました。かっしーは、とてもとても遠慮がちに提案をしてくださったのですが、私は、久川さんが話されていたことをこの小さな部品を見ながら思い出していました。
どうすればできるようになるか、新しい機器、知識、情報、どんどん活用して、みんなが提案してくれればいいと思うのです。こういうことに、子供も大人もチャレンジできるように、 CO-SAKU谷が拠点を持った時には、3Dプリンタやレーザーカッターも揃えていきたいと思っています。
脱線していたら、かなり長くなってしまいました。レース開催にいきつくまで、想定外(というか、予想どおり)のトラブルも続々発生。この続きは、次回のレポートで!
<お知らせ>
CO-SAKU谷の「出張工作室」、ウチに来てー、オヤツ争奪レースやりたい、というリクエスト大歓迎です! あんまり遠くへは行けませんが・・・。