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DESIGN WEEK TANGO 2021の運営を通じて感じた丹後のクリエイティビティとその源泉

「丹後のものづくりを100年後につなげる」をキーワードに、6月24日−27日に初めて開催したDESIGN WEEK TANGO2021。まだまだ整理しきれていないが、少しずつ言語化していきたいと思う。

織物・機械金属・農作物という様々な丹後のものづくりの21社が現場を開き、プロセスを説明し、現場で交流することで、どうやってできているか、どこで作られているか、なにを作っているかが明確に分かるだけでなく、その作り手の思いや背景を感じ、人と人との交わりを生み出していくことができるのが、一般的なビジネスを目的とした工場案内とは異なる点であり、DESIGN WEEK KYOTOを始めたときからのこだわりだ。

このような内容なので、もちろんイベントの主役は丹後のものづくりの21社の作り手の方々なのだが、イベントを運営することを通じて丹後のクリエイターの方々の素晴らしさも知ることができたので、今回はそのことについて書いてみたい。

よくこういうイベントを実施するときには都会からすごいクリエイターが来て…というパターンが多い。そのメリットはもちろんたくさんあるが、なにせ今回のイベントは100年後につなげていくための1回目なのだ。
そのため、できる限り地元・丹後の方々で運営していくことにこだわった。(言い出しっぺの僕は奈良出身の京都在住だが、6年ほど前から丹後に仕事で関わることになったことをきっかけに、丹後を命がけで盛り上げていくという宣言を5年前にしているので、広い意味で丹後の一員と思って欲しい)

ただし、まだまだ丹後のクリエイターの方々を知らない僕らは、まずはこれまでご縁をいただいていた丹後の頼りになる知人たちに相談し、紹介をお願いした。その相談相手の1人が京都府の地域アートマネージャーの甲斐さんだ。大京都などのアートイベント等の運営で丹後に幅広いネットワークを持っておられて、今回はフォトグラファーの田中さんや前谷さん、展示空間のデザイナーのniudo designさんなどのご紹介を始め、様々な面でご協力いただいた。
また、5年前の上記のイベントからご縁をいただいた岡村さんも頼りになる相談相手の1人でもあり、様々な面でご協力いただいた。コワーキングスペースのオカモノヤシキでは、準備で丹後に滞在している間には何度も泊まらせていただいたし、事務局の臨時オフィスや倉庫としてもお世話になった。それだけでなく様々な面で多彩な才能を持っておられる岡村さんにはトレーラームービーの製作もお願いし、素晴らしい映像を作ってくださった。(期間中のハイライトムービーもまもなく出来上がる予定)この聞くだけでテンションが上がってくる丹後な音楽も間もなく丹後に移住予定の八木さんが作ってくださった。(しんどいときはこの映像と音楽で何度も心を持ち直した)

ガイドブックのオープンハウスの紹介文は稲本さんにお願いした。稲本さんは京都在住時にはDESIGN WEEK KYOTOでも大変お世話になっており、丹後に移住されてからも今回ご協力いただいた。昔からのご縁という意味では京都在住時代から何度となく飲んだりしていたフォトグラファーでもあるOkdさん(隣の豊岡在住)にもご協力いただいた。実は与謝野町出身だったので(今回初めて知った)、丹後の活性化ということで写真撮影にご協力いただいた。
ローカルフラッグの梅田さんはまだ23歳というのが絶対ウソやろと思うくらいの動きでイベントを一緒に企画し調整してくれた。昨年の丹後でのイベントで一緒に取り組んでからのご縁だ。

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(クリエイティブ面でご協力いただいた丹後の方々。ガイドブックの最終ページにも掲載している)

印刷は峰山のたつみ印刷さんにお願いした。巽社長は京都の美術印刷でも大変有名なサンエムカラーで経験を積まれていたので、我々の要望にもとても熱心かつ前向きに取り組んでくださった。

このように丹後には素晴らしいクリエイターの方々がたくさんおられるということが今回の取り組みを通じて改めて実感した。
ではなぜ丹後にクリエイターが惹かれるのか。もちろん出身が丹後という方も多いが、それだけではない。美しい海や山、川といった自然環境の素晴らしさ、暮らしていくには困らないインフラ環境、適度な人間の寛容さ、そして今回DESIGN WEEK TANGO2021の主役でもある織物・機械金属・農作物の産業およびその世界的高水準の素晴らしさ、といったことも挙げられるだろう。

しかし、それだけではない。これは僕が感じることであり、そして丹後に心が惹かれる理由でもあるのだが、丹後は「深い」のだ。海や森の色の深さもそうだが、そこかしこに数千年も前からの人間の息吹を感じる。5000もの古墳があったことからわかるように「丹後王国」とも呼ばれた古代から、人がこの地で脈々とこの冬は厳しい自然環境の中で叡智を積み重ねてきた「深さ」を各所から感じられる。

創造性には多様性が欠かせない。多様な価値観の人が交流し、意見を交わしていく中から様々なアイデアが出てくる。そのために僕はこういったイベントを開催している。これはいわば「横の多様性」だ。
もう一つ、多様性には「縦の多様性」があると思う。これは歴史や文化、自然環境の中で積み重ねられてきたその地域における人の叡智の集積の多様性だ。この横と縦の多様性があることにより、アイデアは深みを増し、その土地ならではの価値を生み出していく。

こういった横と縦の多様性が丹後にはあり、それが上記の他の条件も相まってクリエイターを無意識に引きつけているのではないだろうか。

今回の運営をきっかけにその丹後の素晴らしさの一端を感じることができた。イベントは終わったが、大小様々な機会(セミナーやツアーなど)を実施することを通じて、今回のご縁と学びをさらにたくさんの人たちに知ってもらいたいと思う。

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北林 功(Isao Kitabayashi)
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