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やはり対話が肝!オンラインでのモノづくり現場訪問イベントをやりまくって見えてきた5つのポイント

コロナ禍ですね。昨年のDESIGN WEEK KYOTO2020(2月開催)から、リアルでものづくりの現場に訪問して交流するということに制約がかかったため、オンラインでも同じように人と人とが交流して現場の状況が良くわかるような取り組みができないか?ということでウェビナーやらオンラインでの工房訪問、事業者での打合せ、商品開発やアイデア出しなど年間で100件を超える取り組みをしてきました。海外の大学に京都の職人さんたちと共に講義と絞り染めのワークショップをするということもやりました。
そういった経験を通じ、このコラムでは、ものづくりの現場をオンラインで訪問し、交流する取り組みを実施する上での自分なりのポイントをまとめてみました。(気がついた改善点は随時追記していくと思います)
※撮影などのプロからしたら大したことない内容ですが、これは基本的にものづくりの現場の方々が自分で実施することを想定しています。

1.使っているツールと設定

そんなに難しいものは使っていません。ただし通信環境が重要で、Wi-Fiが太くないと映像も音声も乱れるので事前確認が必須。
あとZoomは不定期でアップデートが入る上、アップデート情報が告知されないので、イベントの前には必ずアップデートを確認しておきます。
ものづくりの現場では現場の音がとても大きいときがあり、その場合は何を話しても全く聞くことができないため、ピンマイクなどの機材、そしてZoomのノイズキャンセリングの設定がポイントとなります。

■使用している基本機材
※これ以外にスイッチャーやリングライト、スポット照明などは現場に合わせて使っています。Zoomがベストかどうかは議論の余地がありますが、モノづくり現場との「交流」においては双方向のコミュニケーションのしやすさの点からZoomを選択しています。Zoomの弱点は画面の美しさなどの点ですが、そのあたりは他のツールで補うことで対処しています。

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■Zoom側での音の設定
現場によって音の状況は異なります。また音を拾いたいとき、拾いたくないときなど目的によっても変わりますので、Zoomの設定を必要に応じて変えると良いでしょう。
①現場の音をできるだけ「拾いたくない」とき

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②現場の音をできるだけ「拾いたい」とき

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2.進め方

世の中には「なんでも1人でできるもん!」みたいな人もいて、本当に1人でこれだけのことをできちゃう人もいますし、僕も現場の状況や予算によっては司会進行・現場の撮影・質疑応答を1人で行うこともありますが、あまりオススメしません。基本役割分担しておくほうが心穏やかに進行できます。

役割としては主に3つです。
①司会・進行をするファシリテーター(Zoomの操作も)
オンライン交流の全体の司会・進行およびZoomの操作を行います。内容に応じてZoomのスポットライト操作をしたり、チャットに来た質問を踏まえて現場に投げかけるなどを行います。
ちなみにチャットに来た質問をすぐに投げかけるのではなく、全体の流れを踏まえた上で適切なタイミングで触れることで全体の進行をコントロールします。
業界外の人の理解を深めるための背景や技術部分の補足説明を行なったり、作り手の凄さを伝えていくために質問を適切に投げかけて、作り手から言葉を引き出していきます。なかなか自分から「俺すごいでしょ」という人はいませんので、代わりにその凄さを引き出す質問を投げかけていくことが特に重要な役割です。当然ながら工程プロセスの理解と作り手の特徴・強みの把握、そして作り手以上の周辺知識や幅広い知見が求められます。

②現場での撮影者
現場でスマホ+ジンバルを持って撮影します。作り手との安全距離を保ちつつ、進行内容に応じて超絶接近した撮影を行なったりするため、ものづくりの工程や作り手の動きをアタマに入れておくことが必要です。

③現場の作り手

普段どおりにモノづくりをしていただくことに加え、撮影者と連携しながら見どころなどをうまく見せる・話すといった工夫が求められます。また単なる「オンライン中継」とは異なり、参加者と作り手が直接話すといったことも醍醐味の一つですので、質問にできるだけ丁寧にわかりやすく答えていくために、専門用語以外でも説明できるようになっておくことが良いですが、このあたりはファシリテーターも入ってなんとかしましょうw

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3.内容

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大まかな流れはこのようになります。この会社は何をどのように作ってどういう事業を展開している会社なのかといった概要や全体像を最初にアタマに入れてもらうのが①と②です。
それを踏まえ、実際に現場でどのように生み出されているのか、その作り手たちはどんな思いで作っているのかを実際に現場を訪問し、オンライン越しに作り手と交流することが③です。
このあたりが充実したものになると、④が大いに盛り上がりオンラインでの交流が促進されます。
ポイントは②や③のところでどうしてもZoomの動画では伝わりにくい部分があれば、そこを写真や動画で補足することです。事前にリハーサルを重ねておくことでZoomでは伝わりにくいところを明確化しておき、必要に応じてPCを用いて写真・動画を共有しながら説明すると理解が深まります。

また、ファシリテーターが必要に応じてスマホの画面を適切に拡大・固定することによって、見せるべきところにより注目してもらえます。

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Zoomカメラで見えにくい工程や商品などについては、写真や動画も事前に撮影しておき、それを必要に応じて画面共有していくと参加者の理解は深まります。

4.ちょっとした工夫で交流はより良いものに

ここまでオンライン「交流」について書いてきました。オンライン「配信」との違いは、一方的なコンテンツの配信ではないということです。配信だとTV番組やYoutubeと変わりません。むしろ機材や撮影技術などの点ではるかに劣ります。
つまり、参加者は現場への訪問者であり、作り手と交流を促進することに大きな意味があります。交流を促進するために、僕らが工夫していることは次のことです。

・お互いに自己紹介を促す
参加者も一言自分が何者であるのかを自己紹介する時間を取るだけで、作り手の方々も「お、こういう人が興味を持って来ているのか」「こんな遠くから参加してくれてるんだ」といったことが理解でき、話す内容も相手に合わせて変えていけます。つまりはコミュニケーションです。リアルに訪問していれば名刺交換などをして、自分が何者かをお互いに理解するといったことをするのと同じです。
表示名をニックネームなどにしている人も多いので、できれば「COS KYOTO北林@京都」といった表示名に変えてもらうのが良いでしょう。画面もできる限り、ちゃんとオンにしてもらうことで誰が参加しているのか、リアクションはどうかといったことを把握できると良いです。

・作り手側からも質問を投げかける
来場者に対して質問を投げかけて、答えてもらうというプロセスを入れるだけでコミュニケーションは促進されます。Youtubeやウェビナーなど、同じようにスマホやPCで画面を凝視するコンテンツが多いため、ついついZoomでも同じようにただ観るだけに陥ってしまいがちです。そこで
「◯◯さんは△△でしたよね。今の技術について、その観点から見てどうでしょう?」
「この製品を使ったことがある人ー?」
など簡単な質問でも投げかけて、口を開いてもらう、あるいはチャットに書いてもらう、リアクションボタンを押してもらうといった反応を促すことで、コミュニケーションが生まれます。つまりは出会いです。

・限界は理解しておく
オンラインツールはゼロ距離などのメリットはありますが、臭いや味などは伝えられません。それらの特徴や限界を踏まえて工夫を凝らしていくことでより良くなっていくと思います。

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5.リアルでもオンラインでも人の縁を結ぶことが大事

結局のところ、リアルでもオンラインでも、訪問する側と現場側の人たちの間にいかによいご縁を作れるか。それが肝心です。オンラインツールが世界中に普及したことによって、ゼロ距離での人と人とのコミュニケーションが一般化したというのがコロナ禍がもたらした夜明けです。
2021年6月24日-27日に開催するDESIGN WEEK TANGO 2021もその思想は同じです。京都最北部の丹後は東京からの移動時間が日本で最も遠いエリアの一つです。6-7時間かかります。世界でも有数の素晴らしいモノづくりがあり、美しい自然や美味しい食事がたくさんあると言っても、この距離を越えてリアルに会いに行くのはなかなか大変です。しかし、一度人と人とが顔を合わせ、会話し、心が少しでも触れあえば「会いに行きます!」「会いに来て!」という感じで心のハードルが大きく下がります。
つまり、「オンラインで知り合う」→「オンラインで交流を深める」→「リアルで実際に会いに行く」といったことを繰り返していくことで新しい関係性を構築する可能性が広がっていくのです。
僕らが単にオンライン「配信」と言わずにオンライン「交流」という言葉にこだわっているのはこういうところにあります。

ご参考になれば幸いです。また今後も気がついたことは随時追記していくと思います。

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北林 功(Isao Kitabayashi)
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