私が学んだストレスフリーな毎日とは
私が駆け出しの頃からお世話になっているライブハウスのママが、こう言い放ったことがある。
「私はね、ストレスを感じる日なんて一日も過ごしたくないの。だからストレスを感じることからはすぐさま遠ざかるように決めているのよ」
心の中ですこーん!と音がした。まるで、心の灰色の部分がホームランボールのように飛んでいった気分だった。
当時の私は急に忙しくなり始めた頃で、周囲の環境が目まぐるしく変わっている最中だった。仲の良かった人が離れていき、親しくもない人が親しげにしてきたりと、人に振り回されてすっかり人間不信に陥っていた。そんな私を思いやってか、ママは遠回しに上手な生き方を指南してくれたのだった。
以来、私は彼女を見習って「ストレスを感じる日なんて一日も過ごさない」と決めている。人生は限りがある。その残りの人生の一日たりともストレスなんかで無駄にしたくない。
ジャズシーンでよく演奏される曲の中に“What are you doing the rest of your life?”(邦題:これからの人生)というミッシェル・ルグランの名曲がある。直訳をすると「残りの人生どうすんの?」だが、このタイトルに続く歌詞の内容は、「私はこれからの人生を、あなたが迎える大切な瞬間と共に過ごし、めぐる季節を共に生きていく」という気持ちがぎっしり詰まった言葉で綴られている。
この曲の主人公は、自分の残りの人生を愛する人とすみずみまで一緒に生きていくと決めている。私は残りの人生のすみずみまでストレスフリーで生きていくと決めている。そういう意味で、この曲と私はどこかシンクロしている。たぶん「残りの人生」って部分だけが。
だから私は、ストレスからは簡単に遠ざかるし、手放してしまうことを良しとしている。私は母が江戸っ子ということもあり、宵越しの金もとい宵越しのストレスは持ち越さない。「その日のストレスはその日のうちに」だ。よって、ストレスは溜まらない。
そういえば、私の父は87歳になるのだが、見た目がとても若い。しわもないし、禿げてもない。スマホを上手に使いこなし、LINEを送れば即レスで返ってくる。
そんな父に、どうしたらそんなに若々しくいられるのかと尋ねたら、
「ノーストレス!」
という答えが返ってきた。まぁ、父はノーストレスでも他人にストレスを与えまくっていると思うのだけれど。
ストレスフリーは覚悟ひとつで実現可能。しかし、ノーストレスは他人にストレス与えるかもよ、というお話である。
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