【文系や初心者向け】4.品質の向上方法【品質出身者が語る】
このシリーズは、品質管理と統計学の基本から応用までを幅広くカバーし、初心者や文系の方々でも理解しやすい内容とすることを目指します。
品質の向上は、組織の持続可能な成長と顧客満足度の向上に不可欠です。この目標を達成するために広く用いられているのが、PDCAサイクルです。PDCAサイクルは、プラン(Plan)、ドゥ(Do)、チェック(Check)、アクト(Act)の4つの段階からなる反復プロセスで、品質改善活動を体系的に実行するためのフレームワークを提供します。
品質の向上方法
PDCAサイクルの概要
PDCAサイクルは、品質管理の専門家であるウィリアム・エドワーズ・デミングによって提唱されました。デミングは、このサイクルを用いることで、組織が問題を体系的に解決し、プロセスを改善し、より高い品質の製品やサービスを提供できるようになると考えました。
PDCAサイクルの各段階
これもまた皆さん、よく見るものだと思います。文字で書くと以下のようになります。
PDCAサイクルの利点
PDCAサイクルを用いることで、組織は以下のような利点を得ることができます。
体系的な改善: PDCAサイクルは、問題の特定から解決策の実施、評価、そして標準化までを一連のプロセスとして体系的に行うことができます。
柔軟性と反復性: PDCAサイクルは反復的なプロセスであるため、初回の試みで目標が達成されなかった場合でも、継続的に改善を図ることができます。
データに基づく意思決定: PDCAサイクルでは、改善のための意思決定を行う際にデータと分析結果を重視します。これにより、より効果的で合理的な改善策を導き出すことができます。
PDCAサイクルは、品質の向上だけでなく、組織の業務プロセス全般に適用することができる汎用性の高いフレームワークです。このサイクルを活用することで、組織は継続的な改善文化を育むことができ、長期的に競争力を保持し続けることが可能になります。
さて、ここまではよく聞く話だと思いますし、もしかしたら実際にやられているかもしれません。次は、リーン思考というものを説明していこうと思います。リーン思考と聞くと、少々構えてしまうかもしれませんが安心してください。言いたいことはとてもシンプルです。
リーン思考は、無駄を徹底的に排除し、顧客にとっての真の価値を最大化することを目指す経営哲学です。このアプローチは、もともとトヨタ自動車の生産システム、すなわちトヨタ生産方式(TPS)から発展しました。ちなみに英語の「Lean」に由来しており、「痩せた、無駄な贅肉を削ぎ落した」という意味です。
リーン思考の基本原則
リーン思考は以下の五つの基本原則に基づいています:
価値の特定: 顧客が製品やサービスに求める価値を明確に理解します。価値は顧客の視点で定義され、顧客が支払いをいとわないと感じる特性です。ポイントは、誰にその価値を届けるか?ということです。
価値の流れの特定: 製品やサービスが顧客に届くまでの全プロセスを可視化し、価値を生み出す活動とそうでない活動(無駄)を区別します。いわゆる7つのムダ - カザフ鉄道(加工、在庫、不良手直し、手待ち、作りすぎ、動作、運搬)ですね。
フローの作成: 無駄を排除し、プロセスをスムーズにすることで、始めから終わりまでの作業フローを連続的かつ効率的にします。
プル方式の導入: 仕事が完了したら、次に取り組む仕事を前工程から「プル」する (引っ張る) 考え方です。
継続的な改善: リーン思考は一度きりの取り組みではなく、継続的な改善(カイゼン)を通じて完璧を目指します。
ちょっと難しいと思いますが、皆さんに理解してもらいたいことは、「ムダをそぎ落としてお客様の求める価値を最大化する」ということです。
おわりに
PDCAもリーン思考も、どちらも知っているにとどまらずに、実際に運用するまでやってみてください。実際やられている方がいるのなら、もうひと段階レベルアップしてみてください。そうやって質というものはカイゼンされていくものなのです。
今回はチョット重かったかもしれません。しかし、品質的な思考を形成するうえでこうした試練は必要です。
次回もまたよろしくお願いします。
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