推しの名前を正しく書けるかで分かる「オタ活の量」|Rでファン分析1
「好きなものを文字に起こすときはリスペクトを込めてちゃんと正式な表記で書く」
「『少女歌劇レビュースターライト』ではなく『少女歌劇レヴュースタァライト』だ二度と間違えるなクソが」「コミカライズもまた迫力があって良き」「オケコンは目から滝だった」
これはマイルールのひとつであると同時に多くの人も同じようにしていると勝手に思っていた。しかし卒業論文用※に被験者の好きな音楽アーティストのデータを集めるうちそれはどうも違うようだ、ということがわかってきた。
「Mr.Chirdren」は「ミスチル」
「米津玄師」は「米津」、果ては「余熱健之」。お前絶対米津を「よねつ」って打ってるだろ。
※筆者はつい最近「ファンの増加はなぜ素直に喜べないのか」というテーマで卒業論文を書いており、好きな音楽アーティストやそれに対するファン行動などを尋ねる質問紙調査を調査会社を通して行った。いずれ書ければ。
とにかく結構なショックだったのだ。知らないかもしれない相手に「好きなモノひとつ挙げて」って尋ねられた時に略称や表記を変えたものを答えることが。自分のフォロワーを見渡してもそんなことをするような人は見かけない。
もしかして自分すごく狭い世界に住んでる?
いやそもそも推しをちゃんと書き記せないってソレ気合足りてなくないか?足りてないよなオイ?????
そう思って調べてみた。
**推しを正式名称で書くオタクは
そうでないやつと比べて気合が入ったオタク。**
こんな感じの仮説だ。
今回はこの「気合」を色々変えてみて両者の違いを調べる。
まずは質問紙において正式名称を書いている人とそうでない人を分ける。
質問紙では、
「あなたが好きだ・ファンだといえる音楽アーティストをひとつ教えて下さい。音楽活動であればどんなものでも構いません。 なければ「なし」とご回答ください。
例)Mr.Children, 欅坂 46, スタァライト九九組 , ヒプノシスマイク ......」
という具合に推しの音楽アーティストを自由回答で尋ねた。
この回答のうち先の例のように正式名称・記法で回答されているレコードにフラグを立てる。できるだけ比較をわかりやすくするため、「コブクロ」「スピッツ」のようなもともとカタカナで、どう考えても短縮できないような回答はデータに含めない。
サンプル数599のうち、正規表現・記法を用いて回答したのは391サンプル。
質問紙という回答者からしても正直ダルいものでもちゃんと表記する人とそうでない人がいることがわかる。
立てたフラグをもとに「正規表現組」「簡略表現組」ふたつのグループに分けてそれぞれファン行動やファン歴に差があるかどうかを比較する。
比較には「t検定」という統計的仮説検証手法を用いる。
簡単に言えば「両グループそれぞれの平均値に差がないかどうか」を検証するもの。”p値”=「平均値に差がない」確率が小さければ(5%以下)「平均値に差がある」と言えることにする。わかりにくければググってください。
年代差の比較
まずは正規表現組と簡略表現組に年代差があるかどうかを調べる。考えにくいが年齢が高いほどキーボード操作に不慣れで丁寧な表記を面倒に感じてしまう可能性があるかもしれない。
年齢の平均は
正規表現組は 38.06
簡略表現組は 38.93 とやや差があったものの
(t値 = -1.8034, 自由度 = 372.94,) p値 = 0.072(差がない確率は7.2%)と年齢が表現の仕方の違いに現れているとはいえないという結果になった。
オタク活動量の比較
回答したアーティストに関して、あなたが行った経験のあることをすべて選んでください。
□ CD を購入・所持している。
□ YouTube や Spotify などストリーミングサービスを使って音楽を聴いている。
□ 検索や SNS 等を使って、最新の情報を入手するようにしている。
□ ライブや握手会、ファンミーティングなどイベントに出向いている。
□ グッズを購入・所持している。
□ テレビ出演や雑誌記事などをチェックしている。
□ 出身地など関連の深い場所に足を運ぶ。
□ 関連したイラスト・小説を描(書)く。
□ 友人に紹介するなど他の人に宣伝・布教をしている。
□ ファンレターや差し入れ、出待ちをしている。
□その他(自由回答)
という質問に回答した数を足しあげて比較した。
経験があると回答した活動の平均数は
正規表現組が3.18
簡略表現組が2.57で
(t 値= 3.42 自由度 = 377.89,) p値 = 0.00070(差がない確率は0.07%)
であるから推しの名前を正規表現で表すオタクはそうでないオタクよりオタ活量が多いことがわかる。
「推しを正式名称で書くオタクは、そうでないやつと比べて気合が入ったオタク」なのか?
確かにそうだったのだ。
たとえアンケートというダルい場面でも推しの名前を正規表現で書き表すオタクは確かに書かないオタクよりも気合が入っているのだ。
では推しの名前を正規表現で表すオタクとそうでないオタクの違いはどこにあるのか?
両者はどこまで一致していて、どこから違うのか。
「好きなモノ」を正規表現で書き示すことはオタクにとってどんな意味を持つのか。
それはまた次回にでも。
今後もこんな感じでぬるぬるかけたらと。bye
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