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Like Toy Soldiers
記念すべき4回目は
Emiem の Like toy soldiers です。
おもちゃの兵隊がキーワードになったこの曲には
Toy soldiers という原曲があり、それをEminemがラップを加えて出来上がった作品です。
発表当時はアメリカのHipHop業界では対立などがあり、有名無名のラッパー達がどんどん倒れていった時代でした。
そんな時代を嘆くかのように表現されたMV。
見ていきましょう。
黒人と白人の男の子が遊んでいる。
黒人の少年が大きな本を取り出す。
「Toy Soldiers」
「おもちゃの兵隊」
そう書かれた本を2人は開いた。
男が映っている。
2人は読み始めるとどんどんその本の世界に入っていった。
Step by step, heart to heart, left right left
一歩一歩、息を合わせて、みぎひだり
We all fall downlike toy soldiers
おもちゃの兵隊のように倒れちゃう
シェイディ(Slim Shady)
よく見ると服が血だらけになっている。
正面には血だらけで治療を受けている黒人青年がいる。
何があったのかわわからないが動揺した様子で落ち着きがない。
家族を心配するかのように廊下を行ったり来たり。
Bit by bit, torn apart, we never win
少しずつ、引き裂かれては、辿り着けない
But the battle wages on for toy soldiers
でも争いはなくならない
治療が長く経過もわからないシェイディはストレスがピークに達し
廊下にあった医療器具の入ったカートを投げ飛ばす。
シーンが変わると暗がりの路地で椅子に座り伏せているシェイディ。
口ずさむシェイディ
I'm supposed to be the soldier who never blows his composure
兵士とは常に冷静でいなければいけない、それはわかってる
Even though I hold the weight of the whole world on my shoulders
世界中の責任ってものを背負ったとしても
I ain't never supposed to show it, my crew ain't supposed to know it
それを気付かれてはいけないし、仲間にも見抜かれてはいけないんだ
(若い頃のシェイディ)
俺はラップでアメリカ、世界の覇権を取るんだ。
自分を見つめ言い聞かせる。
そんな時知り合いのレーベルからデビューが決まる。
「F☆☆K SHADY」
プロデューサーが手渡したアルバム
「誰だよこれを作ったのは」
シェイディは曲を作りまくる。
全ては成功の為。
記者に囲まれ、あのアルバムについて質問が飛ぶ。
「シェイディのことをディスったアルバムについてどう思いますか?」
「このアルバムが出ることは知っていたんですか?」
「俺は自分と自分の仲間のことしか気にしてない」
「大体このご時世なんだ、知らない奴がディスったくらいで集まるなよ」
「見ろよこのアルバム」
「なんだよコレ」
仲間たちと遊び終え家に帰る。
家に着くと家族はすでに寝ていた。
娘に優しく布団をかけた。
次の朝、ニュースを見ているとある男が記者に囲まれていた。
どうやらシェイディのことをディスった男のようだ。
好き勝手言って文句をつけてきた。
「アイツの仲間に俺の仲間が侮辱されたんだ、
こっちだって黙っちゃいられないだろ。」
次のニュースの締めくくりで激化するHipHop業界への警告を
アナウンサーが発していた。
その日の夜、新曲を卸さないといけないシェイディはスタジオでマイクに向かっていた。
出来は上々、しかし何かが足りない。
何度収録し直しても納得いく形にはならなかった。
帰り道、仲間と集まるためにいつもの集合場所へ向かった。
そこで見たのは仲間の一人が車に乗った誰かから銃撃される姿。
それを目撃した瞬間、時が止まったかのようだった。
おもちゃのように倒れる命。
シェイディの思いとは裏腹に残酷にも息を吹き返さなかった。
葬儀が執り行われる。
棺桶を目の前にし、佇む仲間たち。
讃美歌を歌う子供たち。
シェイディはニュースの記者に向かってこう言った。
「もう懲り懲りだ、何の意味があるんだ」
「人の命の価値ってそんなものか?他人が判断するものか?」
「銃は簡単に人の命を奪うんだ、俺は言葉を弾丸にしてるのに
アイツらはホンモノの銃を使ったんだ、もうたくさんだ」
おもちゃの人形が倒れるように簡単に死んでしまう。
俺がそれを変える、この業界を変える。
誰もそんなことわかっちゃいないが。
最後に4人の人間が映る。
ここでは語らないが、興味があれば調べてみるといいと思う。
コーラスの子供の合唱と、ラップで現実を歌う声の混ざり方が
僕には衝撃で何かあるたびにこの曲を聞いてます。
これが Like Toy Soldiers です。
人が死ぬときは簡単に死んでしまう、おもちゃの兵隊のように。
そんな世の中を変えたいと思うシェイディ、がそれを公にせず
Eminemとして成り上がると誓った曲です。
誰にも知られてはいけない事ってありますよね。
それを胸に秘め、覇権を手にしたEminemは凄いですね。
今回は以上です。
思ったよりストーリーを考察できるMVが少ないなと思いました。
それでは!
豊田カローラ