片足わずか1秒で脱ぎ履きできる革靴『エラスティックシューズ』〜①どんな靴なのか?
今日の紳士靴は、靴紐で締め上げることで足を靴に固定するような「レースアップシューズ」が主流だと思います。
しかし、そのような靴は『靴紐を結ぶ、解く、緩めるなどの少々面倒だ』と思ってしまい、つい靴紐を結んだまま脱ぎ履きをする方が多くいるように思います。(かつての私もそうでした。。。)
靴の脱ぎ履きが多くある日本のライフスタイルを考えると仕方のないことだと思います。
そんな中、靴紐以外にも靴の脱ぎ履きを比較的楽にし、足を靴に固定するようなデザインがいくつか存在します。
例えば、サドルと呼ばれるパーツを用いた「スリッポン」や、バックルとストラップの組み合わせた「ストラップシューズ」、ゴア(=エラスティックバンド:ゴムを織り込んだ伸縮性のある生地)を取り入れた「エラスティックシューズ」などなど。
その中で、まずは全4回に分けて、「エラスティックシューズ」について、述べていきたいと思います。
第1回目の今回は、そもそもエラスティックシューズとはどんな靴のことなのか?についてです。
「エラスティックシューズ」とは?
靴のセンター部分(一般的に靴紐が通る辺り)やその両サイド部分にゴアを組み込みむことで、脱ぎ履きする場合のみ履き口が広がり、それ以外の場合は履き口が広がらず靴紐を締め上げた状態と同じような感じで足を靴に固定するような靴を「エラスティックシューズ(Elastic Shoes)」と呼びます。
靴の形状だけで足にフィットさせることでレースアップシューズと変わらない履き心地を生み出し、さらにスリッポン(Slip-ons)のような脱ぎ履きのしやすさを兼ね備えていることが最大の特徴です。
ゴアが付いている位置によって呼び方が異なり、センター部分にゴアがあるデザインを「センターエラスティック(Center Elastic)」、両サイド部分にゴアがあるデザインを「サイドエラスティック(Side Elastic)」と呼びます。
サイドエラスティックは、靴紐を結ばずに足をすべり込ませるだけで気楽に履けるスリッポンの代名詞ローファー(loafer:怠け者)と似た意味を持つlazy(怠惰な)を用い、別名「レイジーマン(Lazy Man)」と呼ばれることがしばしばあります。
また、サイドエラスティックは一般的に履き口の高さによって呼び方が異なります。通常の短靴と同じ高さであればそのまま「サイドエラスティック」、それ以上であれば「サイドゴアブーツ(Side Gore Boots)」もしくは「チェルシーブーツ(Chelsea Boots)」と呼ばれます。
note:村上 紀之
参考資料:紳士靴を嗜む はじめの一歩から極めるまで 著者:飯野高広