靴作りの道具#3『ニッパー』
今回は、靴作りで使用している『ニッパー』について述べたいと思います。
靴作りで使用する場面としては、主に吊り込みで使用した釘を抜くことです。
靴修理では、古くなったトップリフトやハーフラバーを剥がすことなどに使用します。
ニッパーについてChatGPTに聞いてみると、
「ニッパーは、金属やプラスチックなどの素材を切断するための手工具です。
一般的には、金属製やプラスチック製のハンドルを持ち、その先端には刃が取り付けられています。
刃の形状やサイズは、切断する素材や使用目的によって異なります。
一般的な用途としては、電子部品の配線を切ったり、金属やプラスチックのパーツを加工したりすることが挙げられます。
また、ワイヤーカットやモデリング、diyプロジェクトなど、さまざまな工作や修理作業に利用されます。」
とのことです。
基本は切断用の道具のようですが、力加減をコントロールすれば釘を抜く作業に最適だと思います。
(以前は釘抜き※と呼ばれる専用の道具を使用して釘を抜いていましたが、ニッパーの方が使い勝手が良いと考えています。)
では、なぜニッパーが最適なのか??
一つ目は、倒し切った釘が抜きやすいからです。
吊り込みの工程を終えると、さらにもうひと吊り込みの意味も込めて釘を倒して固定してしまいます。
その後、すくい縫いの工程に移る際に釘を抜かなければなりません。
倒し切った釘を抜くためには、一度釘を起こし、テコの原理で釘を引き抜くといった2段階の動作が必要です。
専用の釘抜きは釘を抜くことに対しては最大限の力を発揮してくれるのですが、釘を起こすことには向いていないと思います。
それに対して、ニッパーは先端が尖っていることで倒した釘と革の隙間を拾いやすいなどのこともあり、どちらの動作にも最大限の力を発揮してくれ、作業の効率が向上すると考えています。
二つ目は、切断の用途にも使用できるからです。
何か少しカットしたいなと思うことが、靴作りには存在します。
そんな時に本来の用途である切断ができるニッパーは大変助かると思います(特に厚みがあり切りずらいものなど)。
靴専用の道具ではないニッパーですが、使い方次第で作業効率を向上してくれる道具になると考えています。
note : 村上紀之
※下記画像が釘抜きと呼ばれる道具です。
持ち手を開閉することで、釘を掴み引き抜くことができます。