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Shoemaker stoolについて
普段私たちが作業している場所には、様々な道具が並んでいます。その中でも今回は、靴作りの世界で欠かせない『shoemaker stool』について少し探ってみたいと思います。
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shoemaker stoolは、靴職人が作業を行う際に欠かせないアイテムの一つです。特徴としてまず挙げられるのが、座面のカーブでしょうか。このカーブにより長時間座って作業しても、お尻が痛くなりにくいようになっています。また、木製でシンプルな構造ながらも一生使い続けることができるような丈夫さを兼ね備えています。
調べてみると歴史は古く、デンマークで15世紀から牛の乳搾り用に使われていたスツールを、靴職人たちが座り心地を良くする為にお尻の形にあわせて座面を削ったことがきっかけになって、現在のようなスツールの原型が生まれたそうです。実際に製品として製作されるようになったのは1930年代の短い期間だったみたいです。
デンマークを代表する詩人、童話作家であるアンデルセン※の生誕地近くで製造されていたようです。その後の1970年代初頭に北欧デンマークブランドのwerner(ワーナー)社の現オーナーである、lars werner氏が改良を重ねハンドメイドによる製作をスタートさせたとのことです。
靴作りにおいて、熟練の技術と品質へのこだわりはもちろん重要ですが、その裏でshoemaker stoolのような道具が静かに支えてくれています。快適な作業環境を提供し、靴職人が最高の仕事をするための条件を整える、そんな役割を果たしているように思います。
また、昔の靴職人たちのシンプルでありながらそれが正解だと思えるようなこと(今回はお尻の形にあわせて座面を削ったこと)を感じることができ、嬉しく思いました。
note : 村上紀之
※「マッチ売りの少女」、「人魚姫」などを含む童話集の編者。