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21年ぶりに女性正社員が非正規社員を上回る:企業と個人、地域が創造する未来の働き方

2024年上半期、日本社会に新たな風が吹き込みました。
女性の正社員数が非正規社員を上回り、21年ぶりに歴史的な転換点を迎えたのです。(総務省の労働力調査より)
この現象は、労働市場における変化の兆しであり、企業や自治体、そして働き手にとって大きな示唆を与えています。

この変化を支える背景や、私の生活の拠点である、広島県福山市の取り組みを交えながら、今後の企業や個人が進むべき方向を探ってみました。

女性正社員が増加する背景

若い世代の意識変革と「M字カーブ」の解消

25~34歳の女性正社員比率は、この10年間で11.8ポイントも増加しました。結婚や出産後も仕事を続ける女性が増えたことで、かつて日本特有とされた※「M字カーブ」が徐々に解消されつつあります。これは、育児休業制度の充実や企業の意識改革が相まって、女性のキャリアが持続可能になった結果と言えるでしょう。
(※女性の働き方を年齢ごとにグラフにすると、結婚・出産で退職する人が多くなるため、一度働く割合が下がり(谷になる)、その後子育てが落ち着いてまた働き始める人が増えることで、グラフがM字の形になる現象を指します)

人手不足の業界が女性を後押し

医療・福祉、製造業、情報通信業などの分野で深刻な人手不足が続く中、企業は女性を重要な労働力として積極的に採用しています。これにより、非正規雇用が主流だった業種でも、正社員化が進んでいます。

企業の職場環境整備

大手企業だけでなく、中小企業でも女性が働きやすい環境整備が進行中です。例えば、建設業界では女性用仮設トイレの設置やヘルメットの軽量化など、具体的な取り組みが実施されています。このような細やかな配慮が、女性の職場定着を支えています。

福山市の取り組み:地域から始まる変革

私が暮らしの拠点にしている、広島県福山市では、女性が働きやすい環境を作るため、独自の支援を行っています。
「女性活躍推進を目的とした社内就業環境の改善」に対する補助金制度は、その代表例です。

福山市の補助金制度の内容

  • 休憩室やトイレの整備:女性専用設備を整えることで、働きやすさを向上。

  • 育児支援ツールの導入:育児中の従業員が業務効率を保ちながら働ける環境づくり。

  • 女性リーダー育成:研修費用の助成を通じて、キャリアアップを支援。

女性正社員の増加がもたらす社会的メリット

経済の活性化

正社員化は、非正規社員に比べて高い賃金をもたらします。これにより、個人消費が押し上げられ、地域経済の活性化が期待されます。また、共働き世帯の増加により、育児や教育への投資もしやすくなるでしょう。

社会保障制度の安定

非正規から正社員になることで、厚生年金や健康保険への加入が進みます。これにより、社会保障制度を支える側に回る人が増え、制度全体の安定にも寄与します。

企業の人事担当者が今、取り組むべきこと

職場環境の整備

福山市の取り組みが示すように、女性専用の休憩室やトイレ、育児支援ツールの導入は、女性従業員の採用や定着率向上に直結します。

報酬の透明性を高める

年俸制やインセンティブ型報酬を導入することで、男女間の賃金格差を縮小。リーダーシップ研修を実施し、「管理職を希望する女性」を後押しする体制づくりも重要です。

世の中の変化に寄り添い、採用戦略も働き方も柔軟にアップデートしていくことが求められています。



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