ニコ・ファーブラー♯2
約3366年前、この世界は戦の場であった。大地は燃え、人は生から死に。ある日、戦は終わる。戦を終わらせたのはダイヤの国だった。彼らは平和を願う。ワンドとお茶を聖杯がわりとする。その他国はそれを受け入れた。
「平和を願い、ワンドと茶を象徴とした」──────
3366年後。
ゴロゴロと馬車が揺れる。荷台には沢山の麦を積んでいて、国と国へ運ぶ。その上に一人の男が寝転がっている。男は寝転がる。背中には大きなクラブの緑色の紋章が刻まれてある。その青年は優雅に夢を見ながら、寝ている。
その時、馬車は足を止める。馬車を引いていた男は寝ている青年を起こした。
君、国へ着いたぞ。
え? ひひ…… 。
おい、起きろって!
うあああ! 何事だ!?
寝ぼけるな、君の要望を聞いたんだ。あれは?
もう着いたのか、分かった。
青年は馭者に金貨を渡した。この世界は鈴のデザインが彫られた金貨を使う。
馭者は男に言った。
この国になにがあるのかね?
人の温かさだ。
そう青年は笑みを浮かべた。