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アパレル界の王様 KENZOさんは誰よりも腰が低かった

私はパリに留学していたのですが、そのころのことです。

「アパレル界の王様・KENZOさんは、誰よりも腰が低かった」ってお話をしたいと思います。

1984年くらいだったかな。私の留学していたころは、パリでアパレルの王様って言ったら「KENZO」の高田賢三さんだったんですよ。

先日ね…コロナで亡くなっちゃった賢三さん。本当にショックでした。(「KENZO」立ち上げ デザイナーの高田賢三さんコロナ感染で死去)

KENZOさんは、日本よりもフランスの方がずっと有名で。みなさんから慕われていました。

名門・文化服装学院の三羽ガラスの一人で、KENZO、コシノジュンコ、松田光弘…とね。

(実は私はこの方々と関わることになるんですけど…それはまたの機会に)

私は、KENZOさんのパリコレのスタッフをやってたんですよ。

で、そのパリコレでね、KENZOさんは、全員に気を配るんです!

モデルさんにもスタッフにもね。

その様子がね~!

みんな仕事が終わって次々と帰っていくなか、モデルの服を着せるフィッターさん一人ずつにまで、その人のもとへ行って。

その現場の最後の一人が仕事を終えるまで帰らない、っていうのかな。KENZOさんは最後の一人まで、ねぎらうんですよ。

見事だな~!と思ったんです。

このKENZOさんよりちょっとだけランクが低いと言われていた某有名デザイナーさん。

その方は、全員に「ありがとう」と挨拶くらいはしましたけど、その人のところまで行って…というのは、よっぽど上の人たちだけにでしたね。

その他にも有名デザイナーさんが出演してらして、私はその方たちのお仕事も手伝ったんですけども、私が「あぁぁ…」と思ったのは

完全に上から目線で、フィッターさんのことを奴隷のようにみてて。

フィッターさんがタバコを吸ってて灰皿で火を消すとき、「気を付けてね!」と言うくらいなら可愛いんですけど、おもむろに水を持ってきて灰皿にジャーッ!ってかけたりね…

そんなことをやってる日本人デザイナーさんも実はいらして。

まぁ、ご自分はお偉いし、立場上いいって思ってらっしゃるかもしれないんですけど…

でも実は、本当にみなさんから慕われているKENZOさんが、一番腰が低かったんです。

すごい人ほど腰が低いってことを実感しました。


そしてこれは裏話なんですけど…!

KENZOさんね、モデルさんが服をフィッティングして歩くような場で、はいつくばって、ワンちゃんみたいにウロウロしてるの!

最初、変な動きしてるおじさんいるけど誰だろう?!って思ったらKENZOさんで!

私が「KENZOさん、そこで何してるの~??」って声をかけたら

「針落っこちてたらね、モデルさん踏んだらケガするでしょ~。探してんだよ~」って言って、自分の手を磁石のようにして全部を触りながら、じゅうたんの中に針がもぐってないか点検して歩いてるんですよ!

ありえないでしょ~!

それこそ、下っ端のフィッターさんに「自分の身の周りに針がないか点検しろ」って言えば済むことなのに、違うの!

もうトップ中のトップの、みなさんから「王様~!」って言われているようなKENZOさんが、フィッティングルームの床を、両手を右左に動かしながら、万が一、マチ針がないか点検してたんですよ。

もう本っっ当に、尊敬しますね!

その姿をみて、「私はなんていい人のもとで仕事させてもらったんだろう」と思って。

そのあと、KENZOさんのもとで、一般のパート職じゃなくもっとお仕事したいと思って、乗り込んだんです…!

そして、モデル・山口小夜子さんのお仕事をさせていただくことになるんですけど、それはまたいつかお話しますね。

ともかく、アパレル界の王様は、誰よりも腰が低かったよ、ってお話でした!

読んでくださってありがとうございます!またね~!


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