
かつて中国のスーパー王者カルフール消滅寸前…わずか4店舗 中国経済低迷
2024年6月25日に発表されカルフール中国は国内で営業を続けている店舗がわずか4店舗のみとなりました。
中国カルフールの前世と今世
1995年、カルフールはウォルマートに先駆けて、中国に初めての店舗をオープンしました。その店舗面積は約8000平方メートルで、中国初の本格的な大型スーパーマーケットでした。
1996年、金融引き締めの影響で中国の百貨店業界は低迷しましたが、カルフールは依然として勢いを保ち、全国14の都市に26店舗を展開しました。2001年、カルフールのフランス本社は「今後、中国での事業拡大を年間10店舗以上の大型スーパー開店ペースで進める」と表明し、ほぼその目標を達成しました。
カルフール本社のこの発言は単なる空約束ではありませんでした。2002年から2006年にかけて、カルフールの中国における大型スーパーマーケットは35店舗から100店舗に増加しました。2008年には、外資系小売企業の中でトップに立ち、1店舗あたりの平均売上は2億5200万元に達し、最盛期には321店舗を展開し、売上高は498億元を超えました。
中国本土に進出した最初の外資系小売企業の一つとして、当時の中国小売市場において「覇者」の地位を確立していました。
しかし、2006年にはカルフールの売上成長率が初めて低下しました。競争が激化する中で、店長に権限を集中させる運営方式が問題を露呈し、例えば店長が仕入れ業者との価格交渉の余地が少ないことや、店舗ごとの業績にばらつきがあることなどが課題となりました。
2008年には、北京オリンピックの聖火リレーがパリで妨害された事件の影響で、大規模な消費者のボイコットを受け、業績が短期間で30%以上落ち込みました。

カルフール中国の失速:物流戦略の遅れとEC対応不足
さらに、競争相手が次々と自社の物流センターや輸送システムを構築する中、カルフールは独自のサプライチェーンを持たず、供給スピードが遅く、商品の差別化もできず、価格競争力も低いという弱点が浮き彫りになりました。
加えて、EC市場の台頭に対してカルフールは十分な対策を取らず、オンライン事業の展開も不十分で、ウォルマートなどの競合に後れを取ることになりました。その結果、2008年以降、カルフールは店舗閉鎖を進め、業績もウォルマートや大潤発(RT-Mart)に追い抜かれることとなりました。
2017年から2018年にかけて、カルフール中国はそれぞれ10.99億元と5.78億元の赤字を計上し、2018年末時点で総資産は115億元であったのに対し、負債は138億元に達し、すでに債務超過の状態に陥っていました。
カルフール中国大手家電小売販売会社「蘇寧」売却
2019年6月23日、カルフール中国の80%の株式が48億元で蘇寧に売却されました
しかし、蘇寧が買収した後も状況は好転せず、2020年上半期に一時的に1億元以上の黒字を計上したものの、これが最後の輝きとなりました。その後、蘇寧本体の経営問題が表面化すると、カルフール中国の経営もさらに悪化。2020年末には228店舗あったものが、2023年5月末にはわずか4店舗まで激減し、2023年の1年間だけで閉店率は80%にも達しました。
蘇寧がカルフールを買収した5年間の間に、戦略的な誤判断や外部環境の変化が、カルフールの閉店を加速させた主な要因となりました。
1.売場レイアウトの大幅変更
強みであった生鮮食品の取り扱いを大きく見直し、売場2階の雑貨・繊維製品エリアを蘇寧の家電売場に変更。その結果、カルフール本来の「大型スーパー」というコンセプトが失われてしまいました。
2.目玉商品の卵・野菜の消失
家電販売が主力の蘇寧は、日用品や食品販売のノウハウを持たず、低価格で消費者を引きつけていた卵・野菜・冷凍食品などが店頭から姿を消しました。
3.消費者の購買意欲の低下
2020年から2023年にかけての中国のゼロコロナ政策が小売業界に深刻な打撃を与え、消費者の購買意欲が低下。さらに、オンラインの共同購入サービスによる低価格競争、原材料の価格上昇、人件費や賃料の高騰が重なり、カルフールの経営は一層厳しくなりました。
存続の危機に直面する中で、蘇寧も打開策を試みました。
それはカルフールを中国の会員制スーパー サムズ を変身させようとしました。
蘇寧傘下のカルフールは2021年10月、上海浦東新区に中国初のカルフール会員制店舗をオープン。同年12月末に上海青浦区に2号店、2022年9月初旬は上海嘉定区に3号店、同年9月末にはカルフール中山公園店(4号店)
しかし、会員制モデルの試みはわずか2年も持たずに、すべて撤退することになりました。
次は山姆(サムズクラブ)やCostco(コストコ)成功の要因
カルフール失敗の要因
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