【MD】小論文:「御巫は天盃龍にやれる(仮題)」【36,000字】
はじめに
マスターデュエルで【御巫】を使って遊んでます。日記を書いてたら天盃龍関係のメモが長くなってきたので切り出してまとめます。
長くなりすぎて「はじめに」の項を設ける羽目になりました。
【御巫】は【天盃龍】にやれるよ
マスターデュエルが楽しい
言いたいことはこれくらいです。なんか目次すら1画面分あるので更に要約すると下記のような内容です。
負けパターンを確認
「捲り」をどうするか
「天盃龍」をどうするか
「誘発」をどうするか
【御巫】を使っている人は少ないし、恐らく【天盃龍】側も【御巫】対面に困ってるということはないでしょう。まあ読み物だとでも思ってください。つまり読まなくてもいいということです。最後に参考にさせていただいたnoteを纏めておくのでそっちだけ見るのもいいと思います。
MDどころか遊戯王に触れてまだ2ヶ月目です。書いてる間に3ヶ月目に入りそうです。ました。【天盃龍】流行の流れに乗ってようやくマスター帯に入れたくらいなので別に説得力とかはありません。書き口が断定調なのは単に文章のリズムの都合ということで許してください。
ここまで読んでくれたらもう感謝。来月から【御巫】を使うって約束してくれたらもうブラウザバックしていいですよ。
1章 序論
1-1. 先行型【御巫】
【御巫】そのものの詳細な解説は省略します。テーマを解説するのはそれだけで記事1つ分に相当する偉業なのでここはありがたく先人の業績を引用させていただきましょう。こちらの記事はわたしがMDを始めて使用デッキを決めるために読み漁った記事の中でも特に参考になったものです。
実際に使用しているデッキについては軽く触れるに留めておきます。先攻に寄せた【御巫】です。サッと盤面を作って持ち物検査を押し付け、後攻はサレンダー増Gと手数で誤魔化します。
後ほどちゃんと触れますがEXデッキは甘えまくってます。とにかくCPがありません。
強いところ
①対象耐性+効果破壊耐性+戦闘破壊耐性+戦闘ダメージ耐性
《フゥリ》の対象耐性、御巫装備カードの効果破壊耐性、御巫モンスターの戦闘破壊耐性とダメージ反射能力、この組み合わせがかなり堅牢で突破手段が限られており、デッキによっては完全に詰ませます。
②《増G》《ニビル》受けが良い
《フゥリ》+装備魔法+《かみくらべ》の基本盤面は通常召喚だけでも作ることができ、特殊召喚は最大でも3回まで。そもそも《フゥリ》に詰むデッキは何枚引いたところでどうにもならないです。
③よく見るとカードが強い
デッキとしては環境外ですが個々のカードはよく見ると強いです。《フゥリ》《水舞踏》《オオヒメ》あたりが環境テーマにあったらおそろしいことです。出張パーツになるのもわかります。
④奇襲性が高い
変なカードばっかりの束独特な効果のカードがちょくちょく入っておりそれが大体キーカードです。OCGに登場したのが2年前、マスターデュエルではまだ1年とすこしの美少女テーマなので知名度が低いってことはないのでしょうが、処理の詳細はなかなかややこしいと思います。
身も蓋もない話ですが、こういう事情で相手がいろいろプレミしてくれます。対象に取れないのに《カオス・アンヘル》が出てきて自分のカードを除外したり、装備側の効果破壊耐性を見逃して《サンダーボルト》が飛んできたり。
なお自分のデッキなのに少し前まで《フゥリ》の対象耐性がモンスターだけだと思ってたわたしに人のプレミをどうこう言う資格はありません。
弱いところ
①全体バック除去に弱い
当然ながら装備魔法が急所です。対象耐性があるのでそう簡単には除去されないものの《羽根帚》《ライブラ》《大嵐》の類は天敵です。
②全てを担うキーカードの存在
複数の場所に妨害を散らす主流デッキと異なり《フゥリ》という要が0か1かの極端な盤面強度を一身に担うため、限られた対策カードを通されると一発で瓦解します。わかりやすいのは《一滴》による対象に取らない効果無効。もうひとつは対象耐性が及ばない墓地への《墓穴》で盤面の「御巫」が無効化されるケースです。
③罠が止まらない
罠を止める手段がありません。増やしたり減らしたり入れたり抜いたりしてる《ライスト》くらいです。【天盃龍】相手はともかくその対策で周りに罠が増えてるのは向かい風です。
1-2. 【御巫】 vs 【天盃龍】
デッキの特徴にサクッと触れたところで両者の対面です。ビートダウンという勝ち筋そのものに対してほぼ万全の耐性をもつ【御巫】と、豊富な1枚初動と大量の誘発捲りカードを搭載する【天盃龍】です。メインテーマは【御巫】が優位ですが余剰スロットは【天盃龍】が上手。消耗戦になれば墓地から立て直せる【御巫】に分があります。
まず最初に言いたいです。【御巫】の【天盃龍】対面は最高に楽しいです。
お互いにコンパクトな展開で間延びしない短期決戦に相手の意図と手数を読み合う熱い対話が濃縮されています。ドラゴンと美少女、環境最強とマイナー地雷、オーバーキル上等の超火力に攻守0の反射ビートダウン、矛と盾のような美しい対比です。
こんなに楽しい相手が環境に溢れており、しかも大体勝ちます。地雷デッキなので【天盃龍】側は【御巫】対面をこちらほどには楽しんで貰えてなさそうなのが残念ですが、現環境の【御巫】は本気でおすすめです。
閑話休題
【御巫】はギミックも構築もプレイングも独特です。一方の【天盃龍】はわかりやすいようにも見えますが大量の1枚初動と貫通札によりルート自体は非常に多彩です。後攻ということもあって考えることが多いだろうと思います。OCGでは実績ありとは言えMDでは実装されたばかり、ノウハウの蓄積も早いでしょうがまだまだこれからのテーマです。
予防線を張った上で言いますが、正直ワンキルの要求値が低すぎて逆に最大打点を詰める動きが疎かになりやすいんじゃないかと思います。一般的なフェアデッキに対して打点を伸ばすノウハウが通じにくい【御巫】との対面ではなおのこと最善手を打てなくなっているように見えます。わたし自身も何度も勘違いに気づいては訂正を繰り返してこの記事を書いています。
偉そうなことを言ってますが要するに「わからん殺し」です。カードの効果や裁定が知られておらず、数枚見ただけではデッキ構成も勝ち筋も透けてこないのはマイナーデッキゆえの情報アドバンテージです。勝負では遠慮なく活用しましょう。その上でお互い全てわかっていようとも「【御巫】は【天盃龍】にやれる」というのがわたしの結論です。これからそれを説明していきます。
想定【天盃龍】レシピ
仮想敵となる【天盃龍】のサンプルデッキレシピを紹介します。確率の話はこれを元にしていると思ってください。
このデッキそのものと当たったわけではないですが、「天盃龍握ってます」と言われてこれを見せられても「ふーん普通だね」くらいの感想になるんじゃないでしょうか。もしかすると実際に記事が皆様の目に触れる頃には「情報古くない?」になってるかもしれません。そうなりつつあります。
1枚初動14、《ファドラ》2、《金謙》1、残り23枚が誘発と捲り札です。《γ》+《ライスト》の強気セットに《ヴェーラー》《泡影》の無効寄せ。おそらくミラーはまだそんなに意識していないでしょう。
14枚の1枚初動が全てワンキルルートを持ちながら自由枠23。先攻を貰えるとは言えこんな構成のデッキにまともな確率勝負を挑んで勝てるわけないのがよく分かります。OCGで暴れた後だからでしょうが1枚初動の数まで既に洗練されています。わたしでも14枚にします。
「じゃあどうやって勝つんだ」という話をこれからするのですが、とりあえず自由枠のうち【御巫】をまともに妨害できるのは11~12枚だけです。《泡影》《ヴェーラー》が《フゥリ》を越えられず《うさぎ》も《フゥリ》を出す前の《水舞踏》くらいしか当たりません。しかも12枚も【御巫】に通せるレシピは珍しい方で、このサンプルレシピは少し厳しめに組んでいます。
一方、自由枠が広いゆえに環境に合わせて細かく調整するのが【天盃龍】の強さでしょうから油断はできません。最近だとミラー意識の《D.D.クロウ》やミラー以外意識(?)の《ドロバ》が怖いです。せめてどっちかにしてください。逆に《超融合》あたりが流行ってくれたらしめたものです。いつか《霊王の波動》が来たら…どうしましょうか。
御巫の勝ち筋と目指す盤面
「誘発」「捲り」「メインギミック」のうち「メインギミック」で優位です。つまるところ【御巫】側は誘発を掻い潜って盤面を作り、捲りを捌き切れば勝ちが見えてきます。完璧な作戦っスねーっ。
まず盤面はこれ↓を目指します。
内訳はこんな感じです。おおまかですが上にあるほど優先度が高いです。
《フゥリ》+御巫装備魔法
《かみくらべ》
《オオヒメ》
フィールドか墓地に《迷わし鳥》
《オオヒメ》に御巫装備魔法
《かみかくし》
後述しますが《天御巫の闔》については上振れすぎるので目標盤面には含めていません。
次の項から細かい分析を始めます。まず最初に「勝ち負け」の基準を検討しておきます。続いて上記の目標盤面を参考に各カードの役割を紹介しながら「捲り」への対処法をまとめます。次に【天盃龍】「メインギミック」との攻防を検討し、最後に「誘発」へ対処する展開のプレイングを考えます。
普通は使用デッキの展開を先に解説する気がしますが、【御巫】の展開はどれも短く個別に紹介するほどのものはなく、その代わりルートが多彩です。なのでまず相手ターンに何が起こるのかを確認し、展開目標から逆算していくことにします。
2章 勝負の分かれ目
2-1. 勝ち負けの境界線
まずはワンキルを通されて負ける盤面を確認しておく必要があります。「天盃龍」「燦幻」カードが動き出し、シンクロ展開が始まったときに盤面がどうなっていれば耐えるのか。裏を返すとどうなったらサレンダーするのかの基準でもあります。
ひとまず捲るカードはこれ以上飛んでこないものとして、シンクロ召喚が始まった時点の互いの盤面と通されるダメージをまとめると下の表のようになります。《チュンドラ》はリクルート効果を使用済み、《ファドラ》は蘇生効果を未使用という想定です。
このあと「捲り」「メインギミック」「誘発」それぞれ個別に検討していきますが、実戦では最終的にどうなったら死ぬのかを念頭に置いてそれを避けるように動く必要があります。当たり前ですが全てのやり取りは繋がっています。構築段階でどこかに力を入れすぎたせいで最後に帳尻が合わなくなるようなことがないように注意します。
【御巫】最小盤面の強度
まず《フゥリ》+装備魔法だけの盤面を考えてみます。どうにか《フゥリ》は立ったものの《かみくらべ》のサーチを止められたという場合ですが、これは【天盃龍】の1枚初動が普通に通っただけで負けます。テーマ内に《ドラギオン》という回答があるためです。
《チュンドラ》+《パイドラ》+《燦幻荘》
→《バイデント》→《パイドラ》蘇生→《トライデント》→《燦幻荘》破壊→《バイデント》蘇生→装備魔法破壊から総攻撃で12000ダメージ
《チュンドラ》+《パイドラ》+《ファドラ》
→《バイデント》→《ファドラ》蘇生→《チュンドラ》蘇生→《トライデント》→下級2枚破壊→《バイデント》蘇生→装備魔法破壊から総攻撃で9000ダメージ
《金謙》が出た場合を除き、この盤面で【天盃龍】の初動が見えたらなんとしてもシンクロ召喚そのものを阻止します。その方法がないならもうサレンダーして構いません。最も基本的なルートでワンキルに届くのでプレミを期待するのも無駄でしょう。
では装備魔法1枚の盤面でも生き残るのはどんなパターンでしょう。つまりは負け盤面の裏返しですが《チュンドラ》+《パイドラ》や《チュンドラ》+《ファドラ》ならまだ耐えます。
《チュンドラ》+《パイドラ》
→《バイデント》→《パイドラ》蘇生→《トランセンド》→《バイデント》蘇生→装備破壊から総攻撃で3000ダメージ
《チュンドラ》+《ファドラ》
→《バイデント》→《ファドラ》蘇生→《チュンドラ》蘇生→《トランセンド》→《バイデント》蘇生→装備破壊から総攻撃で5600ダメージ
【天盃龍】の展開がこんなに奥ゆかしいことはそうそうないですし、いずれも盤面は更地にされますがチャンスは十分残ります。墓地が肥えていればトップ1枚で一気に押し返すカードはいくつもあります。
《フゥリ》+ 装備魔法 vs
《チュンドラ》+《パイドラ》= 生存
《チュンドラ》+《ファドラ》= 生存
《チュンドラ》+《パイドラ》+《燦幻荘》= 負け
《チュンドラ》+《パイドラ》+《ファドラ》= 負け
装備魔法の上乗せ
ここに装備がもう1枚増えたらどうでしょうか。
単純に破壊すべきカードが1枚増えたことで《バイデント》1枚では突破できません。《トランセンド》もしくは《ブラック・ローズ》が必要です。《トランセンド》を墓地へ送るには《トライデント》もしくは《ブラック・ローズ》が必要です。それなりにモンスターの数が必要になってきます。
《チュンドラ》+《パイドラ》+《燦幻荘》では《トランセンド》が出ても墓地へ送れないのでダメージを通せません。この状況は相手からもわかりやすいため《ブラック・ローズ》で処理に回るか《鬼動武者》が出てきます。
《チュンドラ》+《パイドラ》+《ファドラ》
→《バイデント》→《ファドラ》蘇生→《チュンドラ》蘇生→《トランセンド》→《ブラック・ローズ・ドラゴン》→《バイデント》《トランセンド》が戻り総攻撃で5600ダメージ
《ブラック・ローズ》で装備を剥がす場合、更地になった後に出てこられるのは《バイデント》《トライデント》のみです。《ブラック・ローズ》を使わせたら概ね生存が確定します。
これでも《チュンドラ》+《パイドラ》+《ファドラ》にもう1枚モンスターが加わると流石に負けます。《燦幻荘》は《ブラック・ローズ》で破壊しても攻撃力を倍加させる対象がいないので大丈夫です。
《チュンドラ》+《パイドラ》+《ファドラ》+《ドラ・ドラ》
→《バイデント》→《ファドラ》蘇生→《チュンドラ》蘇生→《トランセンド》→《トライデント》→《トランセンド》破壊→《バイデント》《トランセンド》が戻って装備破壊から総攻撃で9000ダメージ
《フゥリ》+ 装備魔法 + 装備魔法 vs
《チュンドラ》+《パイドラ》+《燦幻荘》= 生存
《チュンドラ》+《パイドラ》+《ファドラ》= 生存
《チュンドラ》+《パイドラ》+《ファドラ》+《燦幻荘》= 生存
《チュンドラ》+《パイドラ》+《ファドラ》+《ドラ・ドラ》= 負け
装備が1枚増えるだけでかなり堅くなるのが解ります。これは《かみくらべ》で《天子の指輪》を呼んだときの構えでもあります。このあたりから優勢なのを実感できるようになります。
《オオヒメ》の上乗せ
続いて《オオヒメ》の盤面強度への寄与を考えてみます。
下級「御巫」と違っては単独で戦闘破壊耐性とダメージ反射能力を持ちます。【天盃龍】メインギミックでこれに対処できるのは《ブラック・ローズ》と《トランセンド》の墓地効果です。
相手目線の対処法が同じであることから分かる通り、《フゥリ》+ 装備魔法の基本盤面に《オオヒメ》が加わるのは装備を1枚増やした場合と全く同じ強度になります。
《フゥリ》+ 装備魔法 +《オオヒメ》vs
《チュンドラ》+《パイドラ》+《燦幻荘》= 生存
《チュンドラ》+《パイドラ》+《ファドラ》= 生存
《チュンドラ》+《パイドラ》+《ファドラ》+《燦幻荘》= 生存
《チュンドラ》+《パイドラ》+《ファドラ》+《ドラ・ドラ》= 負け
これでも十分に強力ですが、《オオヒメ》が立つなら更に装備1枚くらい上乗せを期待してもバチは当たりません。
【御巫】理想盤面の堅牢さ
つまり《フゥリ》+ 装備魔法 +《オオヒメ》+ 装備魔法 という盤面です。
この時点で《バイデント》《トランセンド》両方の墓地効果を使っても《オオヒメ》に届かないので《ブラック・ローズ》を頼ることになります。そうなると流石に《トライデント》とは両立しません。つまりもう《燦幻荘》も4体目のモンスターも気にする必要はありません。よほどのことがなければワンキルは通らないと思って大丈夫です。これを目指します。
《フゥリ》+ 装備魔法 +《オオヒメ》+ 装備魔法 vs
《チュンドラ》+《パイドラ》+《ファドラ》+《ドラ・ドラ》= 生存
《ブラック・ローズ》から《バイデント》《トライデント》が戻る5600ダメージのルートは更に《開門》+下級「天盃龍」を手札に残していれば8000に届きます。そこまでされたら流石によほどのことですが、確率的にはこちらがこの盤面を作ることは珍しくありません。
2-2.《オオヒメ》という存在
「思ったよりずっと堅いな」というのがこの表を作りながら思っていたことです。手元のカードをしばきながら一生懸命【天盃龍】の展開を検討していますが、考えれば考えるほど堅すぎて正直ミスってるような気がしてきます。
《オオヒメ》は盤面強度への寄与も堅実に1手分ですが、組み合わさって展開が伸びるカードが膨大でほぼ何を引いても手数です。片手間に《フゥリ》を立てて余った装備は《オオヒメ》へ。「理想」と呼ぶ盤面をあまりにも簡単に生み出します。
このおかげで互いに3枚初動くらいの上振れでぶつかり合うと【天盃龍】に対して確率で上回ります。1枚初動もないくせに何故かちゃんと戦える【御巫】の不思議な安定感を支えているのが《オオヒメ》です。
しかも、後述しますが「捲り」への対処能力まで持っています。柔軟で多彩な展開ルートを生み出し、何かにつけてプレイングをややこしくする原因でもあります。多分こいつは《サーキュラー》なんだろうと思います。もし【御巫】が環境級のデッキだったならこれを通したらGG。そういう次元のカードです。
3章 「捲り」を捌く
3-1. 捲りへの役割分担
勝ち負けの基準がわかったところで築いた盤面を残すための攻防、つまり「捲り」への対処を考えていきます。
作った盤面で【天盃龍】のワンキルプランをどう捌くか、ぞれぞれの役割対象を整理するとこんな感じになります。
「捲り」専用カードだけでなく【天盃龍】メインギミックカードも含んでいますが、とりあえず図中の《パイドラ》はモンスターによる展開、《チュンドラ》はシンクロ素材くらいの意味で解釈してください。自分で区切っておいてなんですが相手ターンに入ればワンキルに向かうパーツはどれも等しく手数です。
《かみくらべ》が有能すぎて整理したのに見づらいですが、ここから個別に役割をまとめます。
1. 《フゥリ》+御巫装備魔法
いわずもがな【御巫】盤面の最低ラインです。盤面に《フゥリ》と装備魔法が揃うとフィールドの「御巫」カード全てに対象耐性が付与されます。テーマ外の装備魔法でもよく、《フゥリ》自身が装備している必要もありません。
どんなテーマでも1枚初動から簡単に届く程度の有象無象の除去を拒絶するのが役目です。この対象耐性が用意できない場合、【天盃龍】で言えば《カイベルト》ですら破綻するので捲りを捌く以前に1枚初動があるだけで突破されます。《カオス・アンヘル》《リトルナイト》《バロネス》などの汎用で簡単に処理されるので【天盃龍】に限らず主流デッキ相手ではだいたい負けます。
対象耐性はフィールドのみなので墓地や除外ゾーンを狙う《墓穴》《ディス・パテル》などは通ります。
2. 《かみくらべ》
せっかく作った図をごちゃごちゃにしている元凶。多彩な役割を持つ重要カードです。簡単に言うとデッキの装備魔法をフリーチェーンとして使えるようになります。以下に具体的な使い方を説明します。
まず《羽根帚》《ライブラ》《大嵐》《一滴》などの魔法に対して発動を見てからチェーンして《天子の指輪》をデッキから装備することで無効化します。《一滴》は【天盃龍】がコストにできる罠が《泡影》くらいなのでだいたいチェーンできますが、《フゥリ》が立てば《泡影》は腐るので重ね引きしてたら優先してコストにされます。《レッド・リブート》はそれ自体が天敵なのでコストにされたほうがまだマシです。
ただの万能無効ではなくデッキから駆けつけてその場で止めるというのが強さです。相手は本命の魔法を通す前に使わせておくというケアが頭から抜けやすく、こちらはマスカンを狙い打ちできます。
しかも装備が1枚増えるので相手からすれば無効化された上にダメージを通すハードルが上がります。
次に《ブラック・ローズ・ドラゴン》による全破壊に対しては発動にチェーンして《愚鈍の斧》で無効化します。装備モンスターの効果無効化は「発動した効果」ではないので《燦幻荘》の耐性をすり抜けます。《ドラギオン》展開を捨てて出してきた場合はこれで完全停止です。
効果の発動自体はできるので同名ターン1を消費させてから止めることができます。こちらも発動を見てから急にデッキから飛んでくる奇襲性が非常に強力です。
3つめは主にチューナーである《チュンドラ》を狙って《誘い輪舞》を装備させることでシンクロ素材を奪う使い方です。バトルフェイズに入ってからだとシンクロ召喚効果をチェーンして逃げられるので基本的にメイン1の選択肢です。こちらも「発動した効果」ではないので《燦幻荘》は素通りです。
状況が固まりきっていない段階では再度チューナーを展開される可能性もあり、特に《幻禄》が残っていれば確実にリカバリーされます。相手の手数を見切ってから使えれば根本を断てる分だけ強力ですが透かされると1:1交換以上にはなりませんがそれで十分とも言えます。
もちろんシンクロモンスターを奪えれば1:2以上の交換になります。そのままでは墓地に行かないので《ドラギオン》の蘇生や復帰も許しません。
他にも《開門》《ドラ・ドラ》《パイドラ》のような展開カードを止める、「御巫」装備魔法を付け足す、リーサルターンには《脆刃》を持たせるなど多くの選択肢があり、使った後は墓地で装備魔法のサルベージまで構えます。
これで罠をも止められたら完璧ですが流石に高望みでしょう。このレベルの万能妨害は普通ならテーマデッキのフィニッシャー級、そうでなくともモンスター数体と引き換えに立てるものです。それがメインデッキに入り、簡単にサーチしてなんのコストもなく出せるというのはもの凄いことです。
呼び出す装備魔法がどれも1枚採用なので素引きのリスクがあります。必要に応じて特に重要なものは2枚目を検討してもよさそうです。
3. 《オオヒメ》
こちらは墓地の装備魔法をフリーチェーンで使える誘発即時効果を持ちます。デッキから取り出せる《かみくらべ》と違って下準備が必要で奇襲性も低いですがフィールドから剥がされた装備を再利用できるという強みがあります。
一番の役割はバック除去が通って丸裸にされたときに立て直すことです。あらかじめ《オオヒメ》自身に御巫装備魔法を用意できていれば《ブラック・ローズ・ドラゴン》にも対処できます。
他にも《誘い輪舞》《愚鈍の斧》《天子の指輪》が墓地に落ちていれば魔法やモンスター効果を妨害できます。特に《斧》は《かみくらべ》で一度止めたモンスターをリンク召喚やシンクロ召喚の素材にされると墓地に移動するため、《オオヒメ》で再利用できます。
本人の盤面への寄与は既に示したとおりです。手札からの展開能力も優秀で、《フゥリ》《火叢舞》《迷わし鳥》《伝承の大御巫》いずれかとの合わせ持ちで《フゥリ》と一緒に立つため初手に来たなら大事に通します。
4. 《迷わし鳥》
「御巫」が戦闘を行ったダメージステップ終了時にフィールドのカードを手札にバウンスする装備魔法ですが、【天盃龍】のシンクロ召喚効果はダメージステップには発動できないのでこのバウンスから逃げることはできません。展開プランをクリティカルに妨害する強力な1枚で、これを捲りから守るのがメインフェイズ1の目標です。実際に何をバウンスするかは後ほど個別の項を設けて深堀りします。
ところで通常罠の《かみくらべ》はダメージステップには発動できません。しかし攻撃宣言に対して《かみくらべ》を発動して《迷わし鳥》を探しに行く場合、シンクロ召喚をチェーンして逃げられることはまずないです。恐らく対象がこちらのモンスターなせいで妨害と認識できないからだと思いますが、効果処理でこのカードが出てきてからではもう逃げられずダメージステップ終了時のバウンスが確約されます。これを見抜いて避けるには相応の理解度がいるだろうと思います。仮に逃げられても《チュンドラ》のリクルート効果を使うにはいつかはダメージステップを通る必要があります。
《一滴》を貰った場合など、これを装備しているモンスターが戦闘破壊されるとバウンスは使えません。戦闘破壊によるモンスターの墓地送りは「ダメージステップ終了時」の開始時に行われ、「ダメージステップ終了時」に発動する効果はそれよりも後に処理されるためです。
このカードは戦闘する「御巫」に装備されている必要はなく、相手モンスターが装備していても機能します。例えば《閉ザサレシ世界ノ冥神》は問答無用のリリースに加えて対象を取らない全体モンスター無効を持つ「御巫」の天敵です。《フゥリ》をリンク素材で除去して《オオヒメ》は効果を無効化して攻撃、ということをよくされますが、攻撃宣言時に《かみくらべ》で《オオヒメ》ではなく《閉ザサレシ世界ノ冥神》の方に《迷わし鳥》を装備させることでバウンスで道連れにできます。《フゥリ》と一緒に墓地に落ちていれば効果無効にチェーンして《オオヒメ》から持たせることもできます。
5. 《かみかくし》
対象に取った相手モンスターを装備カード扱いで「御巫」に装備させる罠です。罠を素引きしていたときに《フゥリ》のサーチ先を切り替えることで両立できるほか、どちらかを《三戦の号》からセットすることもあります。
《かみくらべ》の妨害と違って《燦幻荘》に阻まれるものの、対象モンスターはフィールドを離れないので墓地効果や各種条件による効果の発動を許さない優秀な除去です。《かみくらべ》と2枚揃っていればあればバトルフェイズに入ってからでもシンクロ召喚を後出しで2枚分まで上から潰せます。
墓地効果もそれなりに優秀です。《迷わし鳥》の墓地効果で出した御巫が処理された場合に除外から帰還させ、しかも次はちゃんと墓地に行きます。相手ターンを凌いだ次のフィニッシュプランに寄与するのが偉いので出せたら嬉しい1枚です。
装備を持った《ニニ》は概ね《かみかくし》互換となります。
6. 《天御巫の闔》(番外)
②の「効果を発動できない」効果について、公式Q&Aにも具体的な記載がありませんが遊戯王Wikiによれば「戦闘を行う」とは「ダメージ計算を行う」ことで、つまり「「御巫」モンスターが攻撃モンスターもしくは攻撃対象として宣言されたバトルステップにおいて、それに続くダメージステップ中に相手は効果を発動できない」という効果です。
これは発動を介さない永続効果なので《トランセンド》下でも機能し、「発動できない」のは相手プレイヤーなので効果無効系のモンスターも封殺します。逆にこちらも永続効果には無力なので《鬼動武者》は止まりません。
初期に【天盃龍】対策としてそこそこ言及されていた気がしますがバトルフェイズのシンクロ召喚は阻止できません。攻撃宣言がされてもダメージステップに入るまでのクイックエフェクト発動は《闔》の範囲外です。つまり《闔》があるからといって攻撃宣言時に発動した《かみかくし》等をシンクロで逃さず確実に通せるわけではありません。
実際に止まって嬉しいのは《チュンドラ》のリクルートです。【天盃龍】は《チュンドラ》が出なければ厳しく、出たからにはリクルート効果を使うので《闔》も出せれば腐る事はありません。《ファドラ》の蘇生もダメージステップ開始時には発動できませんが、そちらは「召喚・特殊召喚した場合」があるのであまり意味がありません。
《チュンドラ》のリクルート効果が止まるということはしっかり1枚分の妨害能力がありますが、サーチ方法が《オオヒメ》のみで《伝承》すなわち盤面の《オオヒメ》と択一になります。仮に《伝承》を素引きしても《フゥリ》を立てることのほうが優先順位が上です。そういう意味で、環境テーマのフィールド魔法と違って初動どころか展開補助にすらならず重ね引きが無駄になるカードを複数採用はできないというのが最大の問題点です。
こいつの本当の役割は③の効果を使ったターン1のない連続攻撃によるフィニッシュ補助です。ターンを返すと決めた【天盃龍】は的を無くすのが上手いので攻撃回数を嵩増しする効果は重要です。《火叢舞》で釣った《うらら》を5回殴るリーサルプランも採れるようになります。
これは「もう1度続けてモンスターに攻撃できる」なのでダイレクトアタックはできず、相手モンスターがいない場合はそもそも発動できないため装備を墓地に送るために使うこともできません。装備の墓地送りはできてほしい気もしますが、とにかく《脆刃》の2回攻撃でワンキルはできないので注意しましょう。
素引きすればちゃんと強いので【天盃龍】対面だけを考えるなら実質同名ターン1の1妨害と割り切って2枚目を採用するのはありです。
3-2. 捲り捌きの全体像
個別にまとめたところで改めて役割対象図を再掲します。
これを妨害数で数え上げるとこんな感じです。
《かみくらべ》 ほぼ万能無効 1
《オオヒメ》全体破壊耐性など 1
《迷わし鳥》 モンスター除去 1
《かみかくし》 モンスター除去 1
しかもフィールドのカード全ては対象に取れず、モンスターカードは効果破壊耐性と戦闘破壊耐性と戦闘ダメージ耐性を持っています。理想盤面を作れば【天盃龍】といえどそう簡単に勝たないのはここからも伝わると思います。
一方でこの布陣の穴も見えてきます。
《一滴》に対処できるのは《かみくらべ》だけです。《羽根帚》と《ライスト》を重ねてなお《フゥリ》には届きませんが、《羽根帚》からの《一滴》にはお手上げです。ただし《一滴》のコストをケチって《羽根帚》チェーン《一滴》をやると《かみくらべ》に咎められます。
《ドラギオン》の破壊は止まりません。これに立ち向かえるのはそこまでに守りきった装備魔法の数だけです。何枚あればどこまで耐えるのかは既にまとめたとおりです。
深刻なのは理想盤面に届かなかった場合に《オオヒメ》もしくは《かみくらべ》がないと【天盃龍】の捲り札にほぼ無防備だということです。展開においてこれを確保することがひとつの橋頭堡となります。
4章 「天盃龍」との攻防
4-1. 【天盃龍】初動と《かみくらべ》
ここからは「メインギミック」の話をします。
負け確の状況をどう回避するか。ここからは《かみくらべ》がセットできた盤面を元に検討します。これが最低限ですがどこまでやれるでしょうか。装備魔法は1枚です。
この状況で「天盃龍」「燦幻」カードに対する《かみくらべ》の選択肢は4つあります。
《パイドラ》等の展開モンスターを《愚鈍の斧》で止める
《燦幻荘》《開門》によるサーチを《天子の指輪》で止める
《チュンドラ》等のシンクロ素材を《誘い輪舞》で奪う
《フゥリ》に《迷わし鳥》を装備してシンクロ素材のバウンスを狙う
実際にはここから捲りカードを使われる可能性もありますが、【天盃龍】の初動が見えた時点でまずは捲りすら必要なく負ける可能性をケアするしかありません。
既に《迷わし鳥》があるなら4は除外できますが、なかなか複雑な話です。「何でも無効1枚分」と言えばそれまでですが《燦幻荘》をすり抜けるので撃ちどころは絞れません。【天盃龍】の1枚初動は全て《かみくらべ》との1:1交換で止まりますが初手へのお祈りブッパに甘えてもいいものでしょうか。
おさらいですがこの盤面では最終的に《チュンドラ》+《パイドラ》もしくは《チュンドラ》+《ファドラ》まで抑え込まないと負けます。呑気に《かみくらべ》を1:1交換で使っていては絶対に勝ちません。現実的な目標は「シンクロ召喚そのものを防ぐ」こと。つまり展開の根本を止めに行くか《迷わし鳥》で急所を撃ち抜くかの二択です。
これを【天盃龍】の初動ごとに検討していきます。結論から言うと貫通されるリスクを取ってでもその場で止めるのは《チュンドラ》と(手数がある程度見えてきた後の)《パイドラ》だけでいいです。
実際には初動時点で《かみくらべ》が残らないこともよくあります。具体的な実戦ノウハウというより《かみくらべ》を引き合いに【天盃龍】展開ルートの弱点を探るのがこの項の目的です。
1. 《燦幻荘》初動
【天盃龍】の展開ルートにおいて召喚権を使わずに単独で盤面にモンスターを供給できるのは《チュンドラ》《燦幻荘》《開門》です。何らかの初動を止めた後にこれらが出てくると貫通されて一気に劣勢です。特に《燦幻荘》は《フゥリ》+装備魔法の基本盤面が勝つか負けるかを左右するので要注意の1枚です。
後攻6枚の手札に直接《燦幻荘》を引く可能性は28.1%です。《燦幻荘》から入ってきた場合、サーチはともかくフィールドに置かれるのを止める手段はないので《かみくらべ》を使ったあとにシンクロ素材を1セット用意されればもう負けです。
【天盃龍】目線でもメイン1の《泡影》《うらら》をケアできる展開の基盤であり、早いうちに《燦幻荘》を置くのがセオリーです。そのため後出しの手数として飛んでくることは殆どなく、手を読むための情報としては役に立ちません。どんな組み合わせでもまずはこれから入るからです。
いきなり《燦幻荘》を出された場合、残りの5枚に貫通札(他の1枚初動)を持っている確率は85.1%です。先攻展開で誘発を使われた場合など見えている札があるなら1枚ごとに77.6%→66.8%→51.5%と下がっていきます。なんにせよこれで1枚初動しかないことを祈るのは流石に甘えです。
ひとまず泳がせて次の動きを伺ったとします。《燦幻荘》のサーチ先の基本は《パイドラ》です。これをサーチして出してきた場合、次は《開門》をサーチするはずです。ここを止めたらどうでしょうか。それを貫通できるのは《チュンドラ》《開門》です。手札に《開門》があるなら《パイドラ》はサーチしないかもしれませんが、その2枚があれば結局全員揃うので微妙なところです。
《燦幻荘》のサーチを使った場合、初手のうち2枚の手札が見えたことになります。《パイドラ》を止める場合の裏目を《チュンドラ》に絞ると残り4枚で貫通される可能性は29.1%。他にも見えているなら23.0%→16.2%となります。《開門》がないと信じるならここは止めてもいいかもしれません。一旦様子見でも構わない場面です。
《燦幻荘》のサーチを使う前に手から《パイドラ》が出てくることもあります。サーチ先は同じく《開門》。ここはどうでしょう。これは他の手札に関わらず止めたところで《燦幻荘》から《チュンドラ》でワンキルセットが揃います。よって《かみくらべ》をここで使うのは無意味です。《迷わし鳥》ルートを本命にしながら隙を伺いましょう。
《燦幻荘》から《幻禄》や《チュンドラ》をサーチした場合は手札の《開門》に加えて通常召喚権の消費先があることも警戒します。かなり潤沢に手数を引いているので少なくとも《開門》が見えるまでは何を止めても無駄です。様子見して次の隙を待ちます。
手札コストで《チュンドラ》《幻禄》あたりを落としながら《ファドラ》をサーチすることもあります。これはメイン1のうちに盤面の「天盃龍」を増やすための動きです。つまり《トランセンド》を先に立てることを目指している可能性が高く、大体は様子見しておけば隙を晒してくれます。
ここまでをまとめます。
《燦幻荘》は様子見
→手札から《パイドラ》なら様子見
→《パイドラ》サーチなら《パイドラ》を止める
→《幻禄》《チュンドラ》《ファドラ》サーチなら様子見
様子見とはつまり《迷わし鳥》によるバウンスを狙いながら隙を伺うという意味です。「基本」と呼んでいる盤面はそもそも1:1交換では到底間に合わないところまで追いつめられていますが、《迷わし鳥》が決まれば全てをひっくり返せます。そうでなくとも様子見しておけば展開のなかで1:2以上の交換を狙える瞬間があるかもしれないということを意識しておきます。《かみくらべ》があるかぎりサレンダーはしません。
2. 《パイドラ》初動
後攻で《パイドラ》を引く確率は39.4%です。《燦幻荘》があるならそちらから入ってくるものとして、《パイドラ》のサーチ先はほぼ《燦幻荘》です。ここを止めた場合の貫通札は《チュンドラ》《開門》です。今回は《開門》も考慮に入れる必要があるので残り5枚で貫通される確率は58.8%です。《パイドラ》を止めれば貫通されても《燦幻荘》は出ませんが、《開門》→《チュンドラ》→《ファドラ》まで確定するのでやはり負けです。ここはまだ分が悪いです。
《燦幻荘》よりも優先して《開門》をサーチされることもあります。その場合は手札に通常召喚用のモンスターを抱えているのを警戒します。バトルフェイズの《開門》で《幻禄》サーチ→自力で特殊召喚→手札から特殊召喚で2枚分の手数になります。この場合はその《開門》が急所になります。
ただ、こちらが手札0で盤面のカードも全て見えているような場合は単に誘発へのケアが不要で《燦幻荘》の優先順位が下がっただけかもしれません。《一滴》のコストをケチるための《開門》という可能性もあります。不確定要素が残っているうちは様子見が丸いです。
《燦幻荘》は様子見
→手札から《パイドラ》なら様子見
→《パイドラ》サーチなら《パイドラ》を止める
→《幻禄》《チュンドラ》《ファドラ》サーチなら様子見
《パイドラ》は様子見
3. 《チュンドラ》初動
制限のかかったOCGと違って後攻で《チュンドラ》を引く確率は39.4%です。通常召喚で出てくるのはかなり弱い初動で、少なくともドラゴン族・炎属性モンスターは手札にないと見ていいでしょう。《燦幻荘》《開門》があるなら先に《パイドラ》を探しに行くはずで、つまり貫通札はありません。《チュンドラ》はメインフェイズにはリクルートを使えないので《誘い輪舞》で着地狩りすればひと安心できそうに思えます。
しかしこれは《チュンドラ》の被りが裏目です。《チュンドラ》を通常召喚することで2枚目の《チュンドラ》を特殊召喚できた場合、片方を封じても展開は止まりません。手札に2枚目がある確率は24.3%→20.2%→15.8%です。生存確定ではありませんがここは止めておきましょう。非常にわかりにくいですが実はこれがマスカンです。
召喚権を使う初動としては弱い《チュンドラ》ですが、これを通すと逆にいろいろなものを温存されることになります。バトルフェイズに入って攻撃宣言→《パイドラ》リクルート→《開門》サーチをされると《迷わし鳥》のバウンスが死にます。開門で《幻禄》とバウンスされたモンスターが返って来ますし《チュンドラ》はそれすら必要なく自力で返ってきます。その先《トランセンド》が出るまで攻撃する必要もありません。ダメステにサーチを行う《パイドラ》を止める手段がないのが致命的です。
《燦幻荘》は様子見
→手札から《パイドラ》なら様子見
→《パイドラ》サーチなら《パイドラ》を止める
→《幻禄》《チュンドラ》《ファドラ》サーチなら様子見
《パイドラ》は様子見
《チュンドラ》は止める
4. 《幻禄》初動
《幻禄》が3投されることは少なく大体2枚です。後攻で引く確率は《燦幻荘》と同じ28.1%です。これから入るなら狙いは《パイドラ》から《燦幻荘》へのルートです。
手札に《パイドラ》《燦幻荘》はありません。《チュンドラ》があるなら《幻禄》の発動前に出てきそうです。フィールドの《幻禄》はチューナーを狙われた場合の復帰プランなのでできることなら温存すべきだからです。
手札に来た《幻禄》は《燦幻荘》への距離が《開門》と同じですが、《開門》には召喚縛りがなく《幻禄》は温存したほうが強いです。【御巫】を見たとき《鬼動武者》が頭に浮かんで縛りを避ける可能性もあります。ひとまず《幻禄》の通常召喚から効果を発動したら貫通札なしと見なします。
《幻禄》を発動せず《チュンドラ》が出てきた場合は厄介です。どちらからも《パイドラ》→《燦幻荘》に繋がるのでここで動くと負けです。
こうなると最初の仮定が揺らぎます。つまり《幻禄》通常召喚から効果発動でこちらの手数を誘ってから《チュンドラ》を出すというプレイングが成立します。《幻禄》はリリースして発動のため《斧》では止まりらないですが、《うらら》の有力な当てどころで、《かみくらべ》があるせいで【天盃龍】目線ではこちらに誘発の有無をラグから確認することができません。
ここは駆け引きのポイントですがいずれにせよこちらは様子見することしかできません。《幻禄》のリクルート効果を使わせただけ良しです。一般的には弱いとされる初動ですが、これも自身を特殊召喚する効果を温存されることには注意しましょう。バウンスで手札に戻ったらチューナーとして返ってきます。
相手が《幻禄》を発動した場合、《パイドラ》が出てきたら効果発動を見てから《斧》で止めます。たまに《ファドラ》が出てきますがその場合は《チュンドラ》《開門》が手札にあると見るべきです。様子見を継続します。《チュンドラ》が出てきたらマスカンです。止めましょう。
《燦幻荘》は様子見
→手札から《パイドラ》なら様子見
→《パイドラ》サーチなら《パイドラ》を止める
→《幻禄》《チュンドラ》《ファドラ》サーチなら様子見
《パイドラ》は様子見
《チュンドラ》は止める
《幻禄》は止まらない
→《パイドラ》リクルートなら《パイドラ》を止める
→《ファドラ》リクルートなら様子見
→《チュンドラ》リクルートなら《チュンドラ》を止める
5. 《開門》初動
恐ろしいことにまだ別の初動があります。3投の《開門》を後攻で引く確率は39.4%です。これも狙いは《パイドラ》→《燦幻荘》です。
《燦幻荘》への距離が最も遠い《開門》から出すということは《パイドラ》《燦幻荘》は手札にありません。バトルフェイズまで温存したほうが強いこのカードが初動ということはあまり選択の余地がなさそうですが、召喚縛りを避けるための判断で《幻禄》を持っている可能性は排除できません。これは《チュンドラ》の被りと同じ確率で24.3%→20.2%→15.8%になります。止めてもいいですがこれは流石に状況有利なのでリスクは取らなくていいです。《パイドラ》を見てからで間に合います。
そうそうないことだと思いますが《チュンドラ》をサーチして通常召喚で出てきたらやはりそこで止めましょう。
《燦幻荘》初動は様子見
→手札から《パイドラ》なら様子見
→《パイドラ》サーチなら《パイドラ》を止める
→《幻禄》《チュンドラ》《ファドラ》サーチなら様子見
《パイドラ》初動は様子見
《チュンドラ》は止める
《幻禄》は止まらない
→《パイドラ》リクルートなら《パイドラ》を止める
→《ファドラ》リクルートなら様子見
→《チュンドラ》リクルートなら《チュンドラ》を止める
《開門》初動は様子見
→《パイドラ》サーチなら《パイドラ》を止める
→《チュンドラ》サーチなら《チュンドラ》を止める
6. 《ドラ・ドラ》初動
ピン挿しなので後攻で引く確率は15%です。ほぼ《幻禄》ですが《幻禄》のリクルートが残りデッキトップからの墓地送りもあるのでより強力です。こちらは《斧》で止まりますが対応方針は《幻禄》と同じく様子見です。《パイドラ》《チュンドラ》が出てきたら止めます。
《燦幻荘》は様子見
→手札から《パイドラ》なら様子見
→《パイドラ》サーチなら《パイドラ》を止める
→《幻禄》《チュンドラ》《ファドラ》サーチなら様子見
《パイドラ》は様子見
《チュンドラ》は止める
《幻禄》は止まらない
→《パイドラ》リクルートなら《パイドラ》を止める
→《ファドラ》リクルートなら様子見
→《チュンドラ》リクルートなら《チュンドラ》を止める
《開門》は様子見
→《パイドラ》サーチなら《パイドラ》を止める
→《チュンドラ》サーチなら《チュンドラ》を止める
《ドラ・ドラ》は様子見
→《パイドラ》リクルートなら《パイドラ》を止める
→《チュンドラ》リクルートなら《チュンドラ》を止める
注意点:《禁じられた一滴》への警戒
実戦ではそもそも《かみくらべ》は捲りへの対処で使い切るという話はしてありますが、これだけは個別に言及しておく必要があります。【御巫】にとって最も危険なカードは《一滴》です。他に何が残っていようとこれが通れば一気に形勢が傾きます。
お互いに事故のない初手を引いたとして【天盃龍】の【御巫】対面で最も手っ取り早い勝ち筋は《一滴》を通すことです。速攻魔法のためバトルフェイズにも発動できて、コストを盤面から調達できるので温存する意味があります。「天盃龍」展開を始めたからと油断して《かみくらべ》の発動にチェーンして対象をコストに《一滴》を発動されると防衛ラインが消し飛びます。
見えていない手札が残っている段階では常にこれの存在を頭に入れて慎重に立ち回る必要があります。そのため実戦ではここまでに決めた方針以上に様子見が多くなると思ってください。先に動いたほうが負けます。
そうなるともう何も動けないですががそれで構いません。《かみくらべ》が残っている限り【御巫】というよくわからない相手に1ミスも許さない状況を強いているのはこちらです。大きく構えましょう。本来きちんとコストを支払って使われる分には通りのいい1:1交換でしかないカードで、むしろコストを払わせた上で1枚で止めて装備まで増やす《かみくらべ》が異常です。
状況不利でやむを得ず先に動いたときに出されたのならそれは仕方ありません。きっちり温存して的確に使った相手を称えましょう。
4-2. 《迷わし鳥》の重み
「様子見の先」の話をします。再確認ですが初動時点で《かみくらべ》は残りません。しかしそれであっさり負けるようならこんな長文は書きません。《フゥリ》《かみくらべ》《オオヒメ》と並ぶ最後のエースカードが《迷わし鳥》です。
役割:展開崩し
カードゲームにおいてバウンスは最強の除去ですが、所詮は同名ターン1の1:1交換です。しかし《迷わし鳥》は展開を直接殺しに行きます。
誘発を捨てた手数で「誘発」に対抗し、《かみくらべ》が「捲り」を捌き、小手先の除去を《フゥリ》が全拒否した先の最終局面です。最後の手数を刈り取る1:1交換には勝敗そのものと同じ重みがあります。その1枚のために今までの攻防がありました。
《迷わし鳥》のバウンスが決まれば再び素材を増やすには《開門》が必要です。ただの1:1交換ですが貫通札があったはずが後のない1枚初動に、1枚初動が1枚初動ではなくなります。
【天盃龍】は攻撃しなければならないデッキです。《トランセンド》で発動を封じられない限り、必ず《迷わし鳥》の発動チャンスがあります。
撃ちどころ① シンクロ素材
最初に裁定の再確認ですが、《迷わし鳥》のバウンスはダメージステップ終了時に発動できます。ダメージステップは発動できる効果がそれなりに限定されており、「天盃龍」のシンクロ召喚効果が使えません。一方《チュンドラ》のリクルートはダメージステップ開始時です。
攻撃宣言→《チュンドラ》の効果を発動→特殊召喚→召喚時効果の処理→ダメージ計算→ダメージステップ終了時《迷わし鳥》発動→バウンス
この一連の流れの中でバウンスから逃げる方法はありません。
シンクロ素材の組を崩すための狙い目は唯一のチューナーである《チュンドラ》です。《パイドラ》+《チュンドラ》から《ファドラ》をリクルートしたのを見てから《チュンドラ》を戻せばチューナー不在でシンクロできなくなります。墓地に行かないので《ファドラ》で蘇生できないのが重要です。
レアケースですが非チューナーの方を戻すこともあります。《チュンドラ》+《パイドラ》+チューナーになった《幻禄》のようなパターンです。どうやってその盤面になったのかは覚えてません。
《チュンドラ》《幻禄》には自力での特殊召喚があるのでこれが残っている場合は別のターゲットを狙います。何にせよフィールドのモンスターを減らせばそれだけワンキルのハードルが上がります。
【天盃龍】目線でこのバウンスの損害を最小限に抑えるには《チュンドラ》から《幻禄》をリクルートしてチューナーの再展開を構える必要があります。こちらからすればそれでもしっかり1:1交換が成り立つので悪い話ではありません。これでドラゴン族縛りがつくので《鬼動武者》は出てきません。
撃ちどころ② 《ファドラ》
シンクロ展開の中で2枚分の役割を持つ《ファドラ》は危険な存在です。蘇生効果を使っていない《ファドラ》をバウンスできれば1:2交換となります。ただしこちらは危険性の分だけ《幻禄》から復帰されるのが《チュンドラ》よりも重いことに注意です。
撃ちどころ③ 《燦幻荘》
フィールド魔法である《燦幻荘》はバトルフェイズには貼り直せません。【御巫】にとっては《トライデント》が絡む場合に限った打点要素なので危険性は《ファドラ》より下ですが、破壊ではないのでパンプは許さないことは覚えておいて損はないです。サーチ効果はメインフェイズ限定なので未使用でバウンスしても1:2交換ということにはなりません。
撃ちどころ④ 《バイデント》
《トランセンド》が立てば《迷わし鳥》は封じられますが、《バイデント》を立ててから《トランセンド》を立てる前に攻撃を挟むならこれを狙います。数え間違いなど何らかのミスがないとほぼ起こらないことですが、墓地にも行かないのできっちり1:2交換になります。
4-3. 《トランセンド》の対処
様子見のもうひとつの目的、隙を伺う話をします。
《燦幻荘》が出たときに【天盃龍】がバトルフェイズに入らずメイン1から《ドラギオン》のシンクロ召喚を始めることがあります。これはメイン1のうちに《トランセンド》を立てるのが目的です。《燦幻荘》でメイン1の効果耐性、《トランセンド》でバトルフェイズの発動封じと繋ぐことで多くの対応札を封じるケアルートです。
《トランセンド》自体はチューナー+非チューナーの1セットから出てくるためハードルは低く《開門》を温存することもできます。バトルフェイズに入ってから攻撃宣言3回のアテがあるということになるので最低でも下級を2体、《トランセンド》の墓地送り手段まで考慮されているなら3体のモンスターがでてくることを警戒しなくてはなりません。
ただ、多くの場合これは相手側のプレミです。バトルフェイズに入れば《トランセンド》は脅威ですが、《燦幻荘》があっても《かみくらべ》から呼び出す装備魔法は素通りしてしまいます。メイン1終了時にでも《誘い輪舞》で《トランセンド》を強奪しましょう。
わたしが用意したサンプルレシピはともかく、最近は《トランセンド》が1枚しか入っていないレシピが多いです。墓地へ送ることもなくこれを奪い取れば流石にほぼ機能停止します。
ただ、こちらとしてもバトルフェイズに入ってしまえば効果を発動できないのでメイン1のうちにどうにかする以外の選択肢はありません。他にも下級「天盃龍」を展開する手数があるはずなので冷静にワンキルラインを見定める必要があります。
そもそも《かみくらべ》がないときにこれをされると後はなすがままです。それは割り切るとして、《トランセンド》に向かう気配を見せたときに《バイデント》の時点で焦って動くのはもったいないのできっちり引きつけましょう。
4-4. 《鬼動武者》の対処
こちらは相手が《ドラギオン》展開を諦めた場合の選択肢です。概ね《ブラック・ローズ》との択一で役割も近いので捲りの方に含まれる気もしますが、とにかくここで確認しておきます。
ダメージステップ中の効果発動を封じながら相手モンスターの効果を無効にするレベル7のシンクロモンスターです。環境的には【ユベル】がメインターゲットだと思いますが、当然「御巫」の耐性を突破するために出てくることもあります。
効果が発揮されるのは《闔》と同じくダメージステップです。つまり攻撃宣言時の効果発動が可能なので《かみくらべ》から《斧》を装備させることで効果を無効にして反射を通すことができます。他のレベル7シンクロと違って非チューナーの機械族なので素材にされるとしたら《リトルナイト》です。それを嫌うなら《誘い輪舞》で奪ってもいいでしょう。
これを通され場合は「ダメージステップ終了時」の《迷わし鳥》も使えません。ただ、そこからワンキルを通されることもそんなにありません。《ブラック・ローズ》と同様にこれを出させればとりあえず生存できる希望が見えています。
似た性能の《オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン》が採用されていることもあります。こちらは効果が「バトルフェイズ中」と《鬼動武者》よりも広いですが罠は使える上に「御巫」の永続効果を突破できないので出てきません。
5章 「御巫」の展開
5-1. 展開カードの全体像
最後のテーマ、「誘発」を掻い潜る展開について考えていきます。
まず【御巫】の展開カードが対象をどこからどこへ動かせるのかを纏めたのが下記の図です。【御巫】の展開はこの中から手札に来た数枚を組み合わせて使うだけで非常にコンパクトですが、組み合わせが多彩なのはなんとなく伝わると思います。
《増G》《ニビル》には強い【御巫】ですがご覧の通り《うらら》の受けは劣悪です。多かれ少なかれどのデッキもこうなるからこそ《うらら》が強いわけですが、それにしたって何もかも当たります。
これを見ているあなたが【天盃龍】で《うらら》を握ったとして、この図のどこに当てれば【御巫】が死ぬかわかるでしょうか?意外と難しいんじゃないかと思います。図が悪いのでは?
目的地はシンプルでルートがそこそこあるのが【御巫】であり、マストカウンターは手札の状況で変わります。これがつまり「展開ルート」として説明するほどのものが【御巫】の展開にはないということの意味ですが、その代わりアクセス手段はやたらと多いです。《フゥリ》と《オオヒメ》でそれぞれ纏めてみます。
5-2. 展開ルート分析
ここまでの考察で目的地ははっきりしています。とにかく《フゥリ》と《オオヒメ》です。この二人の着地率を最大化することを基準にルートを選択していきます。
展開ルート《フゥリ》
【御巫】展開の最低ラインを構成する最重要モンスターです。図を見れば一目瞭然、かどうかはわかりませんが通常召喚以外で《フゥリ》を場に出せるのは《火叢舞》《水舞踏》《迷わし鳥》の「御巫」装備魔法3種と《伝承》です。
手札もしくは墓地に《フゥリ》+手札に《火叢舞》
場にモンスター+場に《水舞踏》
墓地に《フゥリ》+墓地に《迷わし鳥》
手札に《フゥリ》+手札に《伝承》
これに繋がるのは《ハレ》《アームズ・ホール》《オオヒメ》のサーチと《伝承》《オオヒメ》の墓地送りです。特殊召喚ルートがぶ厚いので《アームズ・ホール》で召喚権を放棄してもそれほど問題ありません。
①《火叢舞》
これが手札に来てくれれば《フゥリ》は手札でも墓地でもいいという柔軟性が魅力ですが、墓地から呼べるせいで《わらし》が当たります。また《火叢舞》はそれ自身の効果でしか装備できず、《オオヒメ》で再利用できないのがネックです。
②《水舞踏》
相手モンスターをバウンスしながら《フゥリ》が出れば最強ですが先攻を取るなら基本的に2枚初動です。その2枚初動に手札誘発モンスターを組み込めるという個性がありますが、「御巫」装備魔法で唯一《うらら》と《うさぎ》が当たるので通りは最も悪いです。後攻なら誘発を吸う的としての強みがありますが召喚権を使う先攻ではそれもありません。
これを3投してるのは思考停止な気もしますが一応《γ》を打たれた後は1枚で展開できます。《ドライバー》を手札に戻してもコストにはできるので数え間違いに注意しましょう。
③《迷わし鳥》
2枚を墓地に揃えるのは一見ハードルが高いですが《オオヒメ》の展開ルートと重なるので結果的に一番頻出するのがこのルートです。先攻では《わらし》しか当たらないので墓地に揃えば通りも良好です。既に述べたようにバウンス効果も1妨害なのでなるべくこれがフィールドに残るルートを選びます。
出した「御巫」は場を離れたら除外されますがこのカードはまた墓地へ行って再利用できるのも強みです。ただし墓地の「御巫」に《墓穴》が当たるので3ターン目以降はセットされたカードにも注意しましょう。
④《伝承》
《オオヒメ》を出すことが優先ですが下級も出せます。これが墓地へ行けば更に任意の「御巫」カードを墓地に送れるので余らせるくらいなら使っておいて損はありません。墓地落としは別の効果なので特殊召喚の方は《うらら》で止められたりはしません。
これがあるのでEXデッキには気軽に出して「御巫」を墓地へ送れるモンスターを入れるべきです。特に《フゥリ》1枚から出せるリンク1があれば世界が変わるので今後に期待したいところですが、「サイキック族」指定のリンク1はまあまあヤバそうなので言うだけタダくらいの話です。
《ハレ》+《火叢舞》+《伝承》の手札を例にして誘発を考慮した《フゥリ》の展開ルートを考えてみます。
《火叢舞》で《ハレ》→《ハレ》で《水舞踏》→《水舞踏》で《フゥリ》
《伝承》で《ハレ》→《伝承》で《フゥリ》→《火叢舞》で《フゥリ》
ルートは2つあります。どちらがいいでしょうか。
1のほうが1枚分アドですがより確実に《フゥリ》が立つのは2です。1は《泡影》《ヴェーラー》《うらら》《γ》《うさぎ》《ドロバ》と非常に多くの誘発が当たります。2なら《うらら》と《わらし》だけです。1への《うらら》は《ハレ》《水舞踏》と明らかに重要そうですが、2は手札の《火叢舞》が見えていないので《伝承》は割とスルーされます。
展開ルート《オオヒメ》
こちらもデッキの大黒柱です。このデッキで《オオヒメ》を出せるのは《伝承》だけ。ルートは1本道、当たる誘発は《うらら》《γ》《ドロバ》です。
《儀式の準備》→《オオヒメ》→《伝承》
最終的に《伝承》が墓地へ行くので任意の「御巫」カードを墓地へ送れます。つまりこれを通すだけで《火叢舞》《迷わし鳥》による《フゥリ》展開まであと1歩です。
《フゥリ》《火叢舞》《迷わし鳥》《伝承》との組み合わせで《オオヒメ》《フゥリ》の両方が立つという爆発力が《オオヒメ》展開の魅力です。2枚初動ながら多くの誘発を躱してあっという間に理想盤面を築きます。テーマカードを詰め込むことでこの初動率を高められることが「純構築」の強みです。
なお、《オオヒメ》+《伝承》の初動では《フゥリ》をサーチするのが良いと思います。《迷わし鳥》をサーチして落とすと効果を確認されます。《フゥリ》ならまだ《火叢舞》から出すルートもあるので《伝承》の墓地効果への妨害を温存させる可能性がほんの少しあります。
5-3. 囮
《フゥリ》と《オオヒメ》の脇を固めるカードたちは展開ルートであると同時に誘発を引き受ける囮です。ここからは各カードの囮としての適正について検討していきます。
囮適正:A《ハレ》と《水舞踏》
展開例で触れましたが《ハレ》から《水舞踏》で《フゥリ》に向かうのは茨の道です。誘発が何でも当たるのでそうそう通りません。一方でこのルートそのものは着実に《フゥリ》に届くので相手としては無難な止めどころであり囮として非常に優秀です。
特に《ハレ》→《水舞踏》と繋がったときにサーチとリクルートの二択を迫れば流石にどちらかは手を打ってきます。《フゥリ》が立てば腐る《ヴェーラー》《泡影》だと囮としては若干の空振りですが手札が見えただけでも収穫です。
囮適正:C《儀式の準備》
初手に《オオヒメ》と両方来たらこちらは囮として打ち込むこともできます。まず現環境でこのカードから呼ぶのは《オオヒメ》くらいです。これを見ただけでは【御巫】なのか出張なのかまでは確定しませんが、デッキ枚数を見て60枚でなければほぼ【御巫】決め打ちで良いはずです。
厄介なことに、【御巫】自体はマイナー気味ですが《オオヒメ》と《伝承》だけは別です。召喚権を使わずに1枚から耐性持ちが出てきてついでに妨害まで構える完成された動きのせいで出張パーツとして名が通っています。それゆえ相手もこの展開は優先して止めてくる傾向はあるのですが、問題は《オオヒメ》だと目星がつけばそっちを見てから止めれば良いことです。
複数の誘発があればここに打ってくれることもありますが基本的にはスルーされます。その場合に無視できない裏目が《ドロバ》です。誘発を引き出そうとするジャブにぶっ刺さるのが《ドロバ》なので裏目になること自体は仕方ないですが、肝心の囮としての性能が大したことないのでハイリスク・ローリターンです。環境次第ですが今はこれは無駄に打たないほうが良いと思っています。
囮適正:B《アームズ・ホール》
装備魔法を使うデッキでも《イゾルデ》を出せる【焔聖騎士】とかには入りません。装備魔法が展開効果を持つ【御巫】くらいにしか入らないカードでしょう。何にせよ純構築では発動コストの墓地送りでデッキはほぼバレます。
通常召喚を放棄するというリスクが切羽詰まった感じを演出してくれるのかそれなりに止めに入ってくれます。実際にこれが通らないと負けるパターンもあるので良し悪しですが、墓地送りはメリットでターン1もないためローリスク・ローリターンの無難なカードです。あれば大体使います。
囮適正:A《強欲で金満な壺》
流石に止めてきます。例え《うらら》1枚しかなくても通したときのことを考えたら1:2交換以上が確約されるので使ってくれることが多いです。こちらはEXデッキが空っぽなので止められても損害は1:1です。なんにせよメイン1の初手にしか使えないので特に考えることもありません。
囮適正:B《オオヒメ》
《オオヒメ》《伝承》が揃っていてコストで落とすカードも目星がついているならこれを囮にできます。囮としての引力は非常に強いですが《γ》に当たると全てが台無しになります。ハイリスク・ハイリターンとも言えますが普通はこういう上振れハンドで無理はしません。何らかの方法で《γ》はないと目星がついたなら話は楽ですが、そうでなければ全部持っててしかも《オオヒメ》が2枚みたいなパターンでのみ有効です。
5-4. 展開の小技
ここでは細かいプレイングの注意点や小技を纏めます。
1. 墓地に同名の「御巫」を置かない
つまりは《墓穴》のケアです。《フゥリ》の対象耐性はフィールドのみで墓地には及びません。「後で釣るから」なんて理由で不用意にフィールドと墓地に同名を揃えると《墓穴》を手数に換算されます。《オオヒメ》《フゥリ》は重なってもできるだけ手札に残しましょう。
2. 《天子の指輪》の置き場
《天子の指輪》を素引きした場合は《オオヒメ》が立ったなら墓地へ送っておきましょう。(もちろん《オオヒメ》が出ないなら盤面に置きます)
本来《天子の指輪》は無効化する魔法を選べません。素引きした場合は《かみくらべ》から呼ぶことができず、これを装備した状態でターンを渡しても最初に発動された魔法を自動的に無効化するだけになります。
そして《天子の指輪》は装備された状態から自力で墓地に移動することができます。では《オオヒメ》が立った場合には盤面に構えるか墓地へ送って《オオヒメ》から取り出せるようにしておくかどちらがいいでしょうか。
盤面に構えた場合の裏目は《燦幻荘》です。フィールド魔法は表で置かれたタイミングで一旦「発動」になるので《天子の指輪》の無効化が消費されます。その後のサーチを止めることもできず完全な無駄撃ちです。
《燦幻荘》の素引きだけでなく《パイドラ》やそれに繋がる《幻禄》《ドラドラ》からもこの状況に持ち込まれます。ターンを渡す時点の確率で最大76.4%なのでだいたい無駄撃ちさせられると思いましょう。《チュンドラ》については《ファドラ》を呼んでもバトルフェイズでは《燦幻荘》のサーチが使えずほぼ意味がないので考慮しなくていいです。
一方、先に《燦幻荘》を置いて《天子の指輪》をケアしようとするとその時点で《ライスト》が使えなくなります。《大嵐》も少しだけ使いにくいと思います。
《天子の指輪》を盤面に置いて返す利点は《ライスト》を十分にケアしつつ《オオヒメ》の効果を他に回す余地を残せることです。具体的には《ライスト》→《羽根帚》→《ドラ・ドラ》初動からの《ブラック・ローズ》で更地にしてバトルフェイズ《開門》から再展開…といったすごい上振れに対処できます。
逆に致命傷になるのは無駄撃ちによって《一滴》を通してしまうことです。これはよほど現実的な確率で起こります。こちらをケアするため《天子の指輪》はできる限りフリーチェーンで使える場所に置きましょう。仮に《天子の指輪》の採用枚数を増やしたとしても方針は同じです。
ちなみに墓地に送る効果にターン1はないので自分のターン中に《オオヒメ》で釣る装備がないなら《天子の指輪》を2回墓地送りすることで合計1000回復できます。忘れずにやっておきましょう。
3. 《伝承》が浮いたら《誘い輪舞》
これも《オオヒメ》が出たときのテクニックです。手札の組み合わせで《伝承》の使い道がないときは《オオヒメ》からの妨害として構えるために《誘い輪舞》を落としておきます。
デッキにあれば《かみくらべ》で呼べるわけですが、《かみくらべ》の使い道は《天子の指輪》《愚鈍の斧》が圧倒的で《誘い輪舞》は三番手です。それならば《オオヒメ》を攻めの妨害に使うため積極的に墓地へ落としておきましょう。素引きした場合も《オオヒメ》のサーチコストで捨てることを検討します。
4. 《愚鈍の斧》の落とし方
似た話が続きます。とにかく妨害用の装備魔法は手札で腐らせるくらいなら《オオヒメ》で使うために墓地に送りたいわけです。
《斧》を落とす方法は限定的です。《オオヒメ》のサーチコストで捨てるのが手っ取り早いですが、それ以外には《水舞踏》でバウンスするモンスターやリンク1を出すための素材にあらかじめ装備させておくなどの方法があります。《アルミラージ》を入れましょう。
5. 魔法罠ゾーンの優先順位
《かみくらべ》《かみかくし》は強力な罠ですがどちらも魔法罠ゾーンに1つ以上空きがないと使えません。表側は広い【御巫】ですがこの制約のためバックヤードはシビアです。例えば《シャングリラ》が気まぐれで魔法罠ゾーンを優先して潰してくると急に変なことになるわけです。
4つしか使えない魔法罠ゾーンを埋めるカードには優先順位があります。
《フゥリ》の装備魔法
《かみくらべ》
《オオヒメ》の装備魔法
このあたりまで議論の余地はありません。最初の理想盤面として説明した通りです。ではここに《かみかくし》と追加の装備魔法があるとき4つ目の椅子に座るのはどちらでしょうか。
基本的には《かみかくし》です。《オオヒメ》がいる場合は装備魔法2枚の時点で《ドラギオン》2体で突破できず《ブラック・ローズ》などの全体除去に頼るしかないため、3枚目を追加して耐久性が上がるということはありません。
ただし3人目の「御巫」と一緒に立つなら装備魔法が優先されます。装備を持った3人目が出ることで《一滴》による突破のハードルが1段階上がるからです。最大の急所である《一滴》を許してはなりません。徹底的に潰します。
6. 手札を残すことの意味
もはや半分くらい与太話ですが「気持ちよく勝つ」ための小技です。
とにかく意味もなく手札を見せないことです。《儀式の準備》が重なっても1枚目が通ったら2枚目は隠します。デッキを1枚圧縮することなんて考える必要はありません。《オオヒメ》が2枚あっても加工の違いで悟られるような動きをしてはなりません。複数採用するカードの加工は揃えるべきです。
相手から見て不明な手札の存在はこちらの情報アドバンテージとなります。もしこちらの手札が0枚なら相手は手札誘発を気にする必要がありません。
わたしのデッキには《増G》しか入っていませんが、それこそ相手の預かり知らぬところです。【御巫】はそれほどスロットに余裕がないので《γ》や《うさぎ》まで入るのは珍しいですが、純構築系のレシピでも《うらら》《泡影》《ヴェーラー》あたりは入るのが普通です。そうでなくとも【天盃龍】環境の現在はやりたいことを多少引っ込めてでも《D.D.クロウ》や《ドロバ》を積むプレイヤーは少なくないはずです。
【天盃龍】使いはミラーも含めて全方位から対策され、数多の誘発を浴びながらワンキルを通す日常を送っているはずです。必然、常に手札誘発への警戒を忘れず、ケア展開を洗練させ、存在を嗅ぎ取る感覚を磨いています。誰もが認める環境最強デッキを握るならそうあるべきです。
わたしのデッキはこの状況とギャップを作っています。汎用の手札誘発を捨ててテーマ専用ギミックを重ねた手数で押し切ることに特化しています。汎用カードではなく【御巫】そのものの理解度を要求します。
手数で押し切るとはつまり手札を全てぶっ放すということです。《うらら》と《γ》を握られてなおケアすらせずに正面から貫通して《羽根帚》を弾くようなデッキです。ターンを渡すときには手札0枚なんて当たり前、被りなく手数を打ち切ることこそが最強の動きです。
そんな中で非公開の手札を1枚残すことには計り知れない意味があります。どれほどの手数で押してこようとも手札が残れば誘発を全くケアしないわけにはいかないからです。こちらにとっては下振れの死に札でもです。
《フゥリ》の耐性で詰ます地雷デッキで、見た目の妨害数は僅かで、永続罠を入れても置き場がないことは察せられます。「上振れを引かれただけ」「止めきれなくても展開は弱めたはず」「あとは誘発だけ躱してワンキルを通すだけ」存在しない手札誘発が相手の動きを縛ってくれます。
いつでも使える通常罠を置かれたことは相手にもわかっています。いわゆる「ラグ」で誘発の種類を読むことも許しません。できる限りのケアルートを模索させることができます。そしてそのケアが少しずつ状況を有利にしてくれます。
《燦幻荘》を先に置く。《幻禄》で《うらら》を誘い出す。《うさぎ》を恐れて《燦幻荘》のサーチを渋る。《開門》を守るために《トランセンド》に向かう。《ヴェーラー》をケアしてメイン1を切り上げる。そういう丁寧なケアが巡り巡って後の選択肢を狭め、最後は《幻禄》による復帰手段を失った《チュンドラ》に《迷わし鳥》が突き刺さるわけです。
手札を1枚残すことが、ときに1妨害にも匹敵する意味を持ちます。麻雀テーマたる【天盃龍】ほどにこの心理戦が相応しい相手もいません。楽しみましょう。
6章 補記
6-1. 不採用カード短評
長々とお付き合いありがとうございます。ややこしい話は終わりました。ここからは雑談とまとめです。
まずは不採用にしているカードに触れておきます。採用カードの方は言うまでもないような基本セットなのですが、不採用については露骨な妥協も含まれているのでちゃんと申し開きをしておきます。
1. 《アショカ・ピラー》
柱の御巫ピラちゃん。墓地から拾えず墓地も肥えないかわりに1枚から《水舞踏》で《フゥリ》が立つ《アームズ・ホール》です。なんでこんなテーマ外の無機物が【御巫】の1枚初動なんでしょうか。URなので見ないことにしています。
《水舞踏》があまり通らないという問題はありますが《ハレ》と違って装備魔法を見せる前に1枚で誘発を吸えるのはそれだけで強力です。破壊時の2000ダメージも【天盃龍】に関してはそれでリーサルが左右されることは少なそうです。環境に《魔封じの芳香》が増えているのも《アームズ・ホール》よりはマシという意味で少しだけ追い風です。
2. 《強奪》
《誘い輪舞》互換です。わたしのデッキは「御巫」濃度が高く《ハレ》のサーチや《伝承》の墓地送りに対応する「御巫」名称が重要です。《強奪》は《フゥリ》の対象耐性で守れないので取り戻されるリスクがある上、リーサルラインの調整に苦心する【御巫】では1000回復もかなり邪魔そうです。
《誘い輪舞》には同名ターン1とフィールド1の制限があるのでもし2枚目が欲しくなったら《強奪》も選択肢ですが、そもそも魔法罠ゾーンが狭いのでなかなかその日は来ないと思います。
3. 《宣告者の神巫》《虹光の宣告者》
召喚権を使う4枚目の《儀式の準備》に相当するギミックです。単純に手数なのと《シャルル大帝》に繋がるルートが強そうなので使ってみたいですがCPが以下略。《マグナムート》の存在を考えるとなるべく墓地に光属性を置きたくないという言い訳で自分を納得させています。
4. 《金満で謙虚な壺》
大雑把に言って《強金》互換ですが公開される情報が多いので今はまだ読み合い不利と見て不採用にしています。来シーズンは使ってみるつもりです。
5. 《御巫神楽》
一時期は壊獣と合わせて採用していましたが先攻を取ることにした現在のデッキでは初手に引くと弱すぎます。正規召喚しておけば《火叢舞》で釣れるというメリットもありますが《オオヒメ》からの展開ルート自体がアドを生むので何なら手札に戻って来るほうが強いです。長期戦で《伝承》を使い切ることもありますがそれでもなお《伝承》3枚目のほうが優先だと思います。
6. 《御巫の契り》
とにかく《帚》や《ライスト》に巻き込まれるのが弱すぎます。《一滴》対策やリーサルずらしは決して弱くないのですが競合となる《かみかくし》も強いので難しいところです。基本的に手札や墓地に装備魔法を温存すること自体が甘えなのでなかなか実力を発揮しきれません。《増G》と組み合わされば強そうですが…。
7. 《アラヒメ》
信じられないくらい弱い。
6-2. EXデッキについて
空っぽも同然、全く使っていません。元は本当に空でしたが《強金》を入れるための数合わせをしました。本当に甘えでしかないですがとにかくURもSRもCPがないので許してください。
こんな状態でもランクマを戦えるのは資産のない初心者として本当にありがたいことです。ともかくテーマ内にEXデッキのモンスターはおらず、組み込むとしても汎用カードから選ぶことになります。
定番は《イゾルデ》《ヒータ》《咎姫》《アンブロエール》《ジーランティス》《アクセスコード》のリンク召喚ルートや一旦更地にするための《アーゼウス》あたりでしょうか。何もわかりません。
この記事を読んで【御巫】を使ってみようと思ってくれた人は最低でも《アルミラージ》《リトルナイト》を入れてください。墓地に《迷わし鳥》を用意できるときに下級「御巫」を能動的に墓地に送る手段があるかどうかは全然違います。わたしですら《リンクルベル》を出すことがあります。あまりにも気まずい。リンク2でもランク3でもいいからとにかく制限なく2枚で出せるカードを入れるべきです。
KenGen転移アシゴギミック
TCGで開発された謙&玄と転移アシゴを組み込んだ【御巫】をランクマッチでちょくちょく見かけるようになりました。環境にもそこそこフィットするおもしろギミックでYouTuberの皆さんにもいい題材なので聞いたことがある決闘者も多いんじゃないでしょうか。この記事を書き始めた頃はもっと新鮮なネタでした。
レベル3戦士族の《毘龍之謙》《虎菱之玄》《ハレ》から《イゾルデ》を立て、御巫装備で《ハレ》を使い回しながら《コーディネラル》で《アシッド・ゴーレム》を送りつけてロックします。
これが《謙信》もしくは《信玄》と《水舞踏》の2枚初動から展開できて、その最中に1ハンデス+1ドロー+1ルーターの爆アドです。
《フゥリ》に向かうには誘発が当たりすぎて危うい《ハレ》を強く使うプランであり、早い段階で《泡影》《γ》を封じられるのも魅力的です。発動できれば非常に強い「三戦」魔法を強気に積めて、もともと条件を満たしやすい【天盃龍】以外の相手にも腐らせにくいというのは合理的ですね。
わたしも是非使ってみたいところですが誘発が全部当たるようになるので強いかというと懐疑的です。川中島コンビと「三戦」だけ入れて《イゾルデ》プランを採れるようにすれば十分だと思います。
6-3. 参考文献
基本的な展開ルートの早見表です。これを元に手元のカードをしばいてあーだこーだ言いながら検討を始めました。
こちらはOCGの【天盃龍】紹介記事です。《幻禄》が出る前の内容ですが各パーツの短評がわかりやすくて参考になりました。
【スケアクロー】使いの方の【天盃龍】対策です。使うデッキが違っても学ぶことがあります。
【御巫】を使った【天盃龍】対策記事です。わたしは純構築におけるメインデッキのプレイングを突き詰めていますが、こちらは【御巫】を基盤とした装備魔法のコンボデッキです。合わせてご参照ください。
汎用の【天盃龍】対策カード一覧として参照していました。わたしの【御巫】には結局何も入りませんでしたが【天盃龍】側が何を気にするのかというメタ読みの材料として大変役立ちました。
OCG環境の【天盃龍】への制限に関する記事です。これまで何が強くていま何が弱くなったのかという視点は大変参考になります。MDでもいずれ制限が入った先に何が起こるのかを考える材料にもなります。
6-4. おまけ: 【天盃龍】以外の対面
この機に【御巫】を使う人が増えてほしいので最後に他の対面についても軽く触れてアピールしておきます。
正直あまり芳しくありません。優位に立てる【天盃龍】には他のデッキへの対策カードが刺さらないという噛み合いの問題で、ちょうどいい構築の着地点を見い出せていません。後攻をすぐサレンダーする前提のデッキというのはプレイフィールとしてもあまりいいもんじゃないですが、とにかく【天盃龍】を狩ることだけを突き詰めた結果です。マスター3までは上がれましたが【天盃龍】の遭遇率が落ちてそこ止まりでした。ランクマッチそのものに向き合うならもっとマイルドにしたほうがいいです。
【センチュリオン】:有利
《フゥリ》で詰むので後攻でもメイン1最初の優先権でゲームセットしたりします。大型シンクロ体の群れが雁首揃えて《フゥリ》に指一本触れることすらできないので悪趣味な笑顔が浮かんでくるいい相手です。たまに《羽根帚》が入っているので《スカーレット・スーパーノヴァ・ドラゴン》+《コズブレ》で時間稼ぎされるのが負け筋です。
この【天盃龍】環境で永続罠を搭載したタイプが現れたのでそれは注意が必要です。注意も何も先攻で置かれたら負けですが。
【粛声】:五分
コイントスまでで終わりのゲームです。お互いに後攻はサレンダーしてるイメージです。
【ユベル】:微不利
大抵は《アクセスコード》《閉ザサレシ世界ノ冥神》のどちらかが入ってるので正面からぶつかると分が悪く、それを捌いてからは絶望的な泥試合です。融合体「ユベル」2種の素材になるので【御巫】に《超融合》を当ててくる珍しい相手でもあります。
不利なはずなんですが高リンク体はどちらも横並びの枚数勝負で捌けてまうために結構な確率で泥沼化します。お互いに知識とプレイングが出る好敵手ではありますが、残念ながらソリティアデッキなので後攻引いたらサレンダーしてます。
制限で弱体化されたばかりですがまだまだ強いのでここが【天盃龍】の対抗馬になってくれるかが環境を読む起点になりそうです。期待しています。
【斬機】:不利
《ラプラシアン》がぶっ刺さる上に本家サイバースの完全体《アクセスコード》が出るので先攻を取っても相当に不利な手数勝負です。ダメ元でやってみますがまあ流石に勝ちません。後攻は《サーキュラー》見たら即サレ。
【炎王スネークアイ】:微不利
《ジーランティス》で装備を丸裸にされる上に《オオヒメ》は帰ってきません。展開が長く妨害も厚いので後攻は即サレです。先攻も割と落としますが壊獣ラヴァゴ入れて後攻特化すればお得意様に変わります。
【R-ACE】:微有利
4枚もセットしておいてなにひとつ《フゥリ》に触れないので気持ちいいですが、【センチュリオン】と違って炎属性リンクの《ジーランティス》ルートがあるので《かみくらべ》が置けないと負けます。
【ラビュリンス】:無理
天敵中の天敵。1秒でも早く逃げます。
【ふわんだりぃず】:不利
《未知の風》が無理です。ワンキルに失敗してターンを返したら負けます。
【六花】:微不利
シーズン中盤にちらほらいました。ほとんどの妨害は《フゥリ》に当たりませんが《来々》のリリースだけが天敵です。ターン1があるだけ《未知の風》よりはマシですがモンスターの攻撃力が低めで反射が捗らず、【アロマ】と組んでる構築は回復もあるので早く決めないとジリ貧になります。【植物族GS】っぽいタイプは超がつくソリティアなので後攻即サレです。
【聖霊獣】:有利
動きが複雑すぎてなにもわかりませんが負けたことはないです。《フゥリ》が立てば《レイラウタリ》も《アークネメシス・プロートス》もイルカのバウンスも何も通らないので相性有利なんだとは思いますが、なにもわかりません。
どうやら割と【天盃龍】に対抗できてるらしいので期待していますが、絶望的なソリティアを仕掛けてくるのに勝てるから待つというのが虚しくて自分で相手するのは心理的に苦手です。後攻で初手5枚が事故ってたらドローを待たず次に行きます。
あとがき
【御巫】は妨害が少ないとも言われますが「誘発」「捲り」「メイン展開」のそれぞれに安定して回答を用意しながら余れば次に回せるという柔軟な構えには想像以上の堅牢さがあります。そのことが伝わっていれば幸いです。
それにしても想像より遥かに長くなってしまいました。【天盃龍】実装シーズンのうちに書き上げることをデッドラインにしていて、結果として実戦経験の機会がかなり削られたのが心残りです。箔を付けるためにマスターTier1へ行きたかったのですが最高でTier3でした。
もう上までスクロールして戻るのも面倒だと思うのでデッキレシピを再掲します。流石に【天盃龍】しか見なさすぎでした。正直マスターに上がれるかどうかもわからない状態で書き始めたのでもっといい調整があるのは間違いありません。
《増G》は先行を取られたときのお守りですがそのターンのうちに引いて嬉しいカードがありません。《水舞踏》を3積みするならもっと手札誘発モンスターを入れたほうが良いでしょう。来シーズンは未だ「机上論」であるこの記事を検証すべくランクマッチに励もうと思います。【天盃龍】使いが飽きてないことを願います。
とは言えこのシーズン34は【御巫】と【天盃龍】のおかげでマスターデュエルが楽しかったです。細かい裁定やバトルフェイズ各ステップの詳細まで確認することになり、このゲームの奥深さを知ることができました。
「この」とか言ってますがシーズン34が終わるまであと1時間ちょっとです。ちゃっちゃと書き上げてランクマ潜ろうと思っていたのに気づいたらハロウィンの夜に徹夜です。ちんたらしてる間にもどんどん環境が進んで焦りました。
明けても暮れても【御巫】と【天盃龍】のことばかり考える日々を3週間も続けるとなんかもう好きになってきます。単純接触効果というやつです(聞きかじり)。
【御巫】はわたしがマスターデュエルで最初に組んだデッキです。元はと言えば安く組めてついでに可愛らしいテーマをたまたま見かけただけで、別に他のテーマでも一向に構わない、いつか【M∀LICE】を組むためにカード資産を築くための踏み台でした。デイリーミッションが消化できればそれで十分、勝率なんて二の次三の次、強さに期待などしていませんでした。2ヶ月やっててまだCPがないとか言ってるのは別のデッキに浮気したからです。なおEXデッキからの召喚ができないのでデイリーミッションは消化できていません。
そんな【御巫】が環境最強テーマと互角以上に渡り合ってくれました。ずっと(*1ヶ月)ダイヤ帯でうろうろしていたわたしを初めてマスターランクに連れて行ってくれたのが彼女たちです。調子に乗ってウキウキで記事を書き始めましたが、真面目に分析してみるまで自分のデッキのことを何も知らなかったことを自覚することになり、恥ずかしく思っています。
考えてみれば紙の遊戯王では対戦経験のないわたしが初めての対人戦で握ったのも、初めて勝ったのも【御巫】です。生まれたときから隣にいただけの幼馴染が目も覚めるような美少女に成長していたことにある日突然気付いてしまった時の気分です。ちなみに幼馴染についても全部エアプです。
【天盃龍】も今や気分は宿命のライバルです。実際に熱い決闘を楽しめる好敵手で、しばらく【天盃龍】とマッチしないと物足りなくなってきます。記事を書き切るために今月はこれが最後と決めて潜った日には遭遇率が2割を切っておりとても寂しかったです。強いからこそ月末を待たずに皆Tier1へ登ってしまうのでしょうか。
わたしは頭の中だけで考えるのが苦手なのでこの記事を書くために【天盃龍】パーツを1枚ずつ買いましたが、そのタイミングで【御巫】はデッキ丸ごと買い揃えてしまいました。今後【天盃龍】がOCG環境から脱落して安くなるようなら残りを買い足すかもしれません。
MD環境では元気に大暴れしている【天盃龍】ですが、その打倒に燃える決闘者は騙されたと思って【御巫】はいかがでしょうか。サッパリしてるように見えて奥深い魅力的な連中ですよ。
おわり