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BMTHの新曲"Kool-Aid"について思ったこと

Bring Me the Horizon(以下BMTH略)の新曲"Kool-Aid"が2024/1/5にリリースされました。

リリース直後から早くもリスナーの間では賛否両論の反響で盛り上がっています。
この記事では僕らの感想をまとめます。
長くなりそうだったのでXではポストせずにブログにします。
僕らの根底にあるものとしては、作品は自由に論じられるべきです。
その上で普段から出来るだけ音楽以外の評価要素を省いたフラットな目線・視点を心がけています。この記事も主観を出来るだけ省いて書きます。

結論①:Paleduskにはそれほど似ていない

僕らが先入観なし&情報ゼロで聴いた初見の所感としては以下になります。
・2:15〜ドラムのリズムパターンのハネ感
・2:15〜「Hey」を連呼するシンガロング
・2:26~ライザー音※1とボタン押下音
・3:18〜ラララ〜♪のアウトロの曲展開
上記の点にほんのりPaledusk味を感じたくらいでした。
これは言われないと気が付かないレベル、クレジットを確認しないと意識しないレベルだと思います。
ちなみに"Kool-Aid"のクレジットにはDAIDAIさん(Paledusk)の名前がしっかり記載されています。
サウンドの土台はとてもBMTHらしく、
アレンジもPaledusk過ぎないと言った感想です。
Paleduskに対してその功績・偉業を讃えられる事はあっても、
今回のような本人らも予想外の方向・角度から批判を浴びる事は不適切だと思いこの記事を書いています。(動機としてはこれが一番強い)
分かりやすく言うと
「Paleduskすげー!!」は
いくらでもあって良いが
「PaleduskがBMTHの音楽性をダメにした」は
違和感があるという事だけは言っておきたいです。
サウンドの面でいえば"LosT"の方が、よりPaleduskっぽいですし、"LosT"は最近リリースした他の楽曲と印象がガラッと変っています。
"LosT"や"AmEN!"のリリース時には音楽性が(悪く)変化しているという批判は目立たなかったように思います。

※1:ライザー
EDM等でビルドアップ時(だんだん盛り上げる所)に使われる音階が徐々に上がる効果音。

結論②:Jordan不在の影響は少し感じるが、BMTHらしいオリジナリティある良曲

BMTHらしいリフが各所に散りばめられていました。
BMTHらしいというかBMTH以外で有り得ない独創的なリフです。
"Kool-Aid"では特に1:50~のリフはBMTHならではのリフです。
直近のBMTHの音源で言い表すと"Parasite Eve(2:42~)"や、"Dear Diary,(1:38~)"あたりでも見られた、Lee Maliaらしいリフという印象です。

Jordan Fish脱退から日が浅いですが、
歌メロの突き抜けたPOPさキャッチーさと
独創的な電子音・シンセが薄れたのは否定する余地はありません。
Jordan不在期のThere Is a Hell Believe Me I've Seen It. There Is a Heaven Let's Keep It a Secret.に少し接近した印象を受けました。
また、There Is a Hell Believe Me I've Seen It. There Is a Heaven Let's Keep It a Secret.とSempiternalの間の音楽性だと感じました。
この印象は"DArkSide"に対しても同じです。
メタル回帰、歌モノから少し離れた音楽性になった事については、Post Human: Survival Horror時点で起きていたので、今回の論点の対象外だと考察します。
ただ、この頃は"Kool-Aid"のようなクリーンボーカルで歌い上げる事は、なかったので、確実に進化しているポイントであり、
現在と過去の音楽性の大きな違いだと思います。
何はともあれ、Jordan脱退後の"Kool-Aid"は、
バンドが今後も進化を続け、モチベーションを高く維持して活動してゆくぞ‼︎
という熱意と決意を感じる楽曲でした。

余談

僕らとしてはSNSで指摘されているPaleduskがもたらした影響とは別に、GIDEONの影響があるかも説を提示したいです。
ただし、これもあくまで露骨な引用・影響ではありません。
もしかしたら影響があったかもしれない程度の可能性のレベルに過ぎませんので、ご理解ご注意ください。
※「実はBMTHがGIDEONをパクってるぞ〜」と言いたいわけではマジで無い。
今回紹介したい興味深い類似点は、"Kool-Aid" 1:03~の音を抜いたLow感豊かなフレーズ・ダウンパートです。

GIDEONはあくまで生音を中心に据えてLow感や轟音を演出しているのに対して、
BMTHは電子音やエフェクトをかけたベースでも低音を付与しているので、
この点でも明確に異なっています。(GIDEONの影響あるかも?と言っておきながら前提を覆す発言ですが…笑)

GIDEONに少し似てるなと感じた他の楽曲としては、
The Ghost Insideの"Death Grip"が挙げられます。

"Death Grip"もGIDEONのアルバムリリース後に出たシングルですが、GIDEON影響下にある楽曲だと個人的には感じています。
こちらも割とありふれたフレーズ(意図せず被りがちなフレーズ)ですが、
・音数を減らして音を抜いた感
・強烈なミュートによるヘヴィネス
・リズムが詰まるようなグルーヴのあるギターフレーズ
このようなフレーズをBMTHが"Kool-Aid"にて使用した事で、
ブレイクダウンの代わりとして今後あらゆるバンドに引用される日が来るかもしれません。

その他の意見で多く見られたのは、"Kool-Aid"はMarilyn Mansonを想起させるというものです。

Marilyn Mansonオマージュ説には半分賛成、半分賛同しかねるといった感じでした。
所感としては以下になります。
・"Kool-Aid"のボーカルの掛け合い(0:27~)は、Marilyn Mansonの"This Is The New Shit"(1:05~)のフック・コーラスの2回し目に類似
 "This Is The New Shit"の
 Do we get it? (No!)
 Do we want it? (Yeah!)

 の所です。

・"Kool-Aid"のAメロのようなスクリームともメロディともつかないノイズエフェクト掛かった歌いまわし
・シンセ音が少々Marilyn Manson的(マジで少し。大半はBMTH的壮大な音像)
いずれの要素も初見では気が付きにくく、露骨な引用というよりは影響やルーツを上手く昇華させたオマージュとするのが適切だと思います。
MansonをMansonたらしめる、「Fooo〜」っていうあの裏声入れないだけ、だいぶオマージュレベルに留まってるかなと。

それよりMarilyn Mansonを久しぶりに聴いたら、むしろThe Golden Age of Grotesqueのギターの音作りとリフは、
BMTHの"MANTRA"に代表される音が潰れたようなファジーなギターエフェクト・リフワークにそっくりだなと気付きがありました。笑
もちろんあのBMTHらしいギターサウンドはMarilyn Mansonからのインスパイアだけではないですが、
Marilyn Mansonオマージュは、"Kool-Aid"に限らず昔からだな〜となりました。

まとめ

全世界のヘヴィミュージックのトレンドを牽引し続け、方向付けてきたBMTHが、他からの少しの影響でそんなに簡単に音楽性を変えないはずという前提があります。
もっと彼らを信じたい。(個人的主観)
That's the Spirit時のように主体的に自分たちの任意のタイミングで、
突然ガラッと音楽性が変わる事は頻繫にありますが…苦笑 
"It Never Ends"のリリース時はもっと批判されていたような記憶があります。
ちなみにその時は僕らも理解できずに、否定・拒絶してました。
毎アルバム、なんなら毎シングルごとに賛否両論を巻き起こすのがBMTH。
ヒット作の焼き増しをせず、革新的な音楽を模索し続けて来た彼らだからこその必然。
未来系のヘヴィミュージックは常に我々の感覚と許容の3歩くらい先に行ってます。(初見で分からないピンと来ない人らがいて当然)

Kool-Aidをめぐる一連の論争について
SNSでとある方が、ラーメンハゲの引用をしてたんですがまさにその通りだと思いました。
※晒すみたいにしなくないので、直接的引用は避けさせていただきます。

ヤツらは音楽を聴いてるんじゃない。情報を聴いてるんだ」状態になっていないか?と

情報による先入観なしに純粋に音楽そのものを楽しみたいものですね…。
僕らも気を付けようと思いました。
どうでもいいけどKool-Aidってお菓子なんですね。笑

お菓子(たぶん水で割る清涼飲料水?みたいなやつ)のパッケージキャラをDropDead的にキモカワにした感じでしょうか。
Kool-Aid」という言葉の意味はスラミングで
むやみに信じる、無批判に従う、うのみにする、信奉者である
という意味らしいです。
頭に「情報を~」が付きそうです。
BMTH得意のダブル・トリプルミーニング。
歌詞に登場する「D-Generation」はやはりデジタル世代なんでしょうか。
まさかこのような情報化社会批判の側面を持つ楽曲・タイトルが
論争を巻き起こす起因になるとは、なんとも不思議な皮肉…。だから言ったじゃん状態…。
火のない所に煙は立たぬ理論で、論争が巻き起こる所には必ず別の根本的要因があるはずです。
本件に関して言えば、一個人のリスナーがある曲を聴いて刺さらなかった事に対して、その原因を別の要素・情報と結び付けているという構造があるように思います。
私はBMTHの新曲は良くないと思った→Jordan Fishが脱退したから→BMTHの新曲が悪くなった
は多面的熟慮をもってすれば因果関係・結びつきが薄いでしかない事は明確です。
今回は
火がJordan Fish脱退
煙がBMTHの新曲は良くない(他のバンドの影響が出すぎている)
だったのかもしれません。
とはいえ、僕らのこの記事も情報の大海に浮く"情報"の1つでしかないという自己批判的な自覚は持っておきたいです。
この記事が正論として定着するのは不本意です。

僕らの意見が絶対的に正しいという事を言いたいわけではないですし、他の方の感想を否定する意図もありません。
動画でも度々言ってきましたが、僕らの見解もイチ意見として読んで頂けたらと思います。
作品について様々な意見があって然るべき、話題で盛り上がるのは最高に良い状況ですが、殴り合いはしたくないですし、見たくもないです。
みなさんの意見も併せて議論が出来れば素敵ですね。優しい世界を望みます。

ではGoodbye!!

written by カラス先輩、くろちゃん

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