売掛金の回収期間を短縮する際にも、相手の立場に立って考えることが鍵となる
今日は「売掛金の回収期間を短縮する方法」について考えてみたいと思います。
最初に取引条件を決める時、普通は
・売る側の希望条件
・買う側の支払条件
をすり合わせて決定します。
しかし、多くの中小企業を見ていると、買う側の支払条件に合わせていることが多い気がします。
本来、こちらとしては「当月分は当月中にほしい」「できれば前払いしてほしい」のですが、先方の条件が「月末締めの翌月末払い」だと、それにしたがっているケースが多いのではないでしょうか。
もちろん、商品やサービスがユニークかつ魅力的なもので、他ではなかなか手に入らないという希少性があれば、強気の商売も可能です。しかしながら、なかなかそう上手くいく訳ではありません。
その時はやはり「価格的なメリットを出す」のが一番です。
10年前、4月から期間1年間で、あるサービスを受けるという契約を結んだ時のこと。
費用は月20万円。でも、先方からオファーがあったのは「3月中に1年分一括前払いなら、200万円でOKです!」というものでした。年間のトータル支払額で見た場合、40万円、2ヵ月分がお得になる計算です。
一方、当時の弊社の場合、毎月の固定費は100万円未満。このため、2ヵ月分以上の経費を一度に支払うことにはちょっと抵抗感がありました。それでも、やはり40万円値引きの魅力には勝てず(笑)、最終的には一括してお支払しました。
このケースはやや極端な事例かもしれませんが、
・商品引渡しの30日後が支払期限
・ただし、10日以内に支払う場合は2%の割引を行う
というような条件であれば、取引先の中で何社かは早めに払ってくれるところがあるかもしれません。
売る側は「売上金をもらうことが起点」になるので、いつ入金されるかが大事です。一方、支払う側には「最終的には支払うという終点」があります。
この違いは無視できず、エンドが決まっている支払う側にとって、「同じ払うなら、できるだけ安い方がよい」というのはやはり大きな魅力です。
ただし、支払う側からすると、自社の支払パターンを崩すのは「面倒くさいなあ」という気持ちがまず働きます。
このため、「面倒くささを乗越えてもらうための魅力は何か」を相手の立場に立って考えてみることが売掛金の回収期間を短縮するポイントになります。
もちろん、相手先の資金繰りの都合もあり、値引きしても相手が早めに払ってくれるとは限りません。また、値引きすることによって、トータルとしては受取り額が減ります。
このため、乱発するのはいけませんが、値引率と売上回収の短縮期間によっては資金繰りの改善に寄与します。また、売上金をできるだけ前倒しで回収することで、「次の事業投資に回す→新たな売上の種を蒔く」ことも可能になります。
相手の立場に立って考えてみて、一工夫加えて支払条件を提示することで、資金繰りを改善できる方法はあるのではと思います。