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015. 体温に影響する天候やら運動量

COREを導入してトレーニングしているアスリートの多くは、気温が低くても運動していると深部体温が38.9℃を超える事を知っています。
トレーニング中の体温上昇量は、大抵の場合、天候よりもワークアウト(の強度)に影響されることが多く、それは体温上昇の要因となる“熱”のほとんどが、環境温度を吸収しているのではなく、体内から発生しているからです。

身体から発生する”熱”

人体は、位置エネルギー(カロリー)から力学的エネルギー(実質的な仕事)への変換効率がかなり悪いと言われており、例えば、サイクリストは消費カロリーの20%程度しかペダルを踏む力(パワー)に換えておらず、なんと残りの80%は熱として放散しています。

※筋のエネルギー効率=運動に伴う代謝エネルギーの約80%が熱に変換される

200ワットでペダルを踏んでいるサイクリストは、実際には合計1000ワットのエネルギーを使い、そのうち800ワットは熱エネルギーの形で熱放散しているという事です。もしパワーを300ワットに上げれば放散する熱エネルギーは1200ワットになります。

家庭で使う電気ヒーターの一般的な消費電力は1500ワットほどなので、例えるなら自転車を漕ぐということは体の中に電気ヒーターがあるようなものなのです。
我々は安静時でも約100ワットのエネルギーを消費していますがそのほとんどは熱エネルギーです。比較すると運動時は安静時の8~10倍の熱を発生させているのです。

環境温度の影響

私たちが周囲環境から吸収する熱は、一般的に私たち自身が発生させる熱に比べればほんのわずかです。例えば、100ワットでペダルを踏んでいるときの熱量と、よく晴れた日に屋外にいるときの熱量は、同じようなものです。

身体(内部)の熱を放散する

激しいトレーニングで体温が上昇した場合も、環境温度を吸収して体温が上昇した場合も、体はその熱を放散させる必要があります。放散のし易さは皮膚温に大きく左右されます。皮膚温が低ければ熱放散し易く、高ければ熱放散し辛くなります。

皮膚温は、気温・相対湿度・風速・着用しているウェアなどに大きく影響され、この皮膚温への効果がトレーニング中の深部体温へ大いに影響を与えます。

COREの”暑熱負荷インデックス®”

COREが提案している新たな指数“暑熱負荷インデックス”は、あなたの身体(体温調節機能)がどれだけ頑張っているかを数値化する事を目的にしています。深部温と皮膚温の両方を用い0から10の値(10は暑熱負荷が非常に高い)で示しています。

「気温低め・雲」の日に200ワットでペダリングしていて深部体温が38.4℃になっても“暑熱負荷インデックス”はせいぜい“1”程度です。こういったトレーニングでは、もちろん汗をかきますが、体温調節という意味で身体は冷却のために頑張っていないので、感じ方も恐らく快適に感じられるでしょう。

同じ運動を「外気温22℃・湿度低め・快晴」の日に行ってもまだ快適に感じるかもしれません。湿度が低ければ汗は蒸発しやすく・自転車走行による風も受けるため皮膚温は低く保てる条件なので外気温からの熱生産は500ワット程度になるでしょう。このような場合の“暑熱負荷インデックス”は3~4以下になる事が多いです。

しかし、このワークアウトを「外気温22℃・湿度高め・快晴」の日に行うとキツく感じるかもしれません。多湿が意味するのは「汗が蒸発しにくい」状況で皮膚温を低く保つことが難しくなるからです。このような状況下では“暑熱負荷インデックス”は4を上回る事がしばしばで、冷却をしないでワークアウトを続けていれば当然、深部体温も上昇し続けます。

では例えば「湿度が低い・外気温35℃・快晴」という条件ではどうでしょうか?高温による熱生産があるものの、湿度が低い事で汗は蒸発し易く皮膚温を低く保てる条件になります。この場合、あなたの“暑熱負荷インデックス”は4程度に納まっている事も多く、感覚的にもそこまでキツく感じないかもしれません。

まとめ

一般的に、運動による熱生産量は、非常に暖かい日に環境温度から吸収する熱をはるかに上回ります。 つまり、涼しい日であっても高強度の運動・トレーニングを行えば深部体温はかなり高くなりますし、逆にリカバリー目的の低負荷トレーニングを暑い日に行っても深部体温はそれほど上昇しないというケースも良くあります。

熱放散のし易さは気象条件やウェアの種類によって影響を受けます。COREの“暑熱負荷インデックス”は、体温調節機能がどの程度働いているかを深部体温と皮膚温の比較で数値化するものです。 皮膚温が低ければ“暑熱負荷インデックス”も低く、快適に過ごせます。 深部体温と皮膚温が高いときは“暑熱負荷インデックス”は高めに示され、これはつまり身体が熱放散のために頑張っている状態を意味します。

参考文献

Heat Balance in the Human Body. The University of British Columbia.

Kenny, Natasha & Warland, Jon & Brown, Robert & Gillespie, Terry. (2008). Estimating the radiation absorbed by a human. International journal of biometeorology. 52. 491-503. 10.1007/s00484-008-0145-8.

次回のテーマ

次回のCORE Body Temp 日本公式 noteでは、暑いレースへの準備について綴ろうと思いますのでお付き合い頂けると幸いです。

関連リンク

【CORE Body Temp Japan】公式ウェブサイト (日本語)

【CORE Body Temp Japan】公式Instagram

https://www.instagram.com/corebodytempjpn/

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