010. 冷却戦略を模索する
前回の記事で「プレクーリング」について触れましたが、今回は“レース中”の冷却について綴ってみたいと思います。
暑熱順化トレーニングやプレクーリングの実践と同じように、トレーニング中やレース中の冷却対応も非常に重要です。
昔から、十分な水分補給・身体への掛け水・ウェアやキャップの中に氷のうを入れる・適切なウェア選択などほとんどのアスリートが暑熱対策を講じてきました。
レース中の冷却は掛け水や氷のうなどは効果が高い一方、大会によっては入手が難しい事もあります。冷却効果の高いウェアを選ぶ方法については少し経験が必要になってくるかもしれません。
冷却し易いウェア選び
レース中は多くの環境要因が絡んでくるため、実は“最も冷却し易いウェアを選ぶ”事は割と難しかったりします。
〇 湿度は高め・低め?
〇 強い日差しにさらされる?
〇 風はあるか?
〇 コース中に特に暑い区間はある?
(例:南向きの斜面で長い登り・軽い追い風が吹く区間など)
〇 レーススタートは寒いが一日を通して気温は上がる?
例えば、皆さんは湿度を考慮してウェアを選んだ事はありますか?
身体を早く冷却する方法のひとつが、皮膚から水分を蒸発させる事(汗や掛け水で)ですが、湿気が多いコンディションでは蒸発しづらくなり冷却もしづらくなります。
他にも、強い日差しを避けるためにアームカバーを着ける?逆に腕を露出させて汗を蒸発しやすくしたり、、、?
もちろんウェアの生地・素材も大いに関わってきます。例えば、吸湿性素材のウェアも状況によっては良し悪しがあり、時には汗を吸収してしまうより汗を体表面に残して冷却する方が良いこともあるからです。
冷やし続ける
暑熱時にパフォーマンスを落とさないコツのひとつが“肌・皮膚を冷やし続けること”です。
深部体温と皮膚温の差が大きければ大きいほど、深部体温が上昇したときのパフォーマンスの低下が少なくなります。
冷却戦略を立てるときは「どうやって皮膚を冷やし続けるか?」を重視してください。
発汗?掛け水?日差しを避ける?何もしない?
COREを使ってデータ蓄積
ここまでの内容を考慮しつつ、いくつかの冷却方法を試してみてください。
手始めにウェア比較はやり易いかもしれません。
単純に似たような内容のワークアウトを別日にそれぞれ1回ずつ、ウェアを変えて実践してみて下さい。可能であればウェア以外の条件は同じ(レース仕様)が実践的なので望ましいです。
〇 ワークアウトはレース強度と同等で、ウェアの比較を行う日の条件(気温・湿度・時間帯など)は出来るだけ同じが望ましいです。
〇 もう一つの重要な基準は、ワークアウト前の水分補給レベルです。例えば体重測定や尿の色を確認することで水分補給レベルを確認出来ます。各ワークアウト前に同等レベルであることが望ましいです。
〇 各ワークアウトの開始時の深部体温も同じであることが望ましいです。
ウェア比較のワークアウト条件
〇 比較してみたいウェアのうち1種類を選んで着用
〇 ウォームアップ後、45~60分ほど安定的にレース強度で運動する
〇 ワークアウト中は心拍を一定に保ち、補給(水分や栄養)は無し
〇 ワークアウト中は、掛け水などの冷却もしない
比較したいウェアを着用してこのワークアウトを繰り返してください。
ワークアウトは別日に実施して、各ワークアウト時に深部体温の変動をモニタリングしデータも保存してください。
例えば2種類のウェアを比較する場合、ワークアウトを2回(別日に)行い、保存したデータを比較・分析して下さい。
些細な違いであってもレースの結果を大きく左右する事があります。
何度かやってみて~
ウェア選択に悩んでいる場合、それぞれのウェアで何度かテストする事もお勧めです。
条件(気候や本人の水分補給レベル)の違いによってデータに明らかな差が出る事もあるでしょう。
ただ、繰り返すことで傾向が掴める可能性も高いので、何度か実施してみて下さい。
また、実際にレース時のように掛け水しながら比較することで、より実践的なウェア選択に繋がります。
もしかしたら、ウェアによっては掛け水が少ない方が冷却性能が高まるモノがあるかもしれません。
本番に向けて実験的にいろんな条件を比較して、ベストな選択肢でレースに挑みましょう!
次回のテーマ
次回のCORE Body Temp 日本公式 noteでは、ランナー向けのお話を綴ろうと思いますのでお付き合い頂けると幸いです。
関連リンク
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