【外部環境分析フレームワーク】PEST分析解説と使い古されたフレームワークを利用する意味
プロローグ
経営企画部が自社の戦略立案する時以外でも、新規事業の企画や既存事業のマーケティングプロモーション方法を検討する際などで、「外部環境の分析結果を踏まえて検討してね」と言われます。
では、外部環境分析はどのように実施すればいいのでしょうか?ありきたりで誰でも知っているPEST分析や3C分析を実施するのでいいのでしょうか?
フレームワークを使う意味
1.ビジネス上意思決定の共通言語であるため
上司から、新規企画の提出を依頼された時、人と変わった視点・独自性を出して、自分の優秀さをアピールしたくなる時はあるでしょう。もちろん、価値がある独自視点をゼロから考案でき、意義がある分析ができるならば素晴らしいことだと考えます。しかしながら、ビジネス上の意思決定などではよく利用される共通言語があり、共通言語での説明を飛ばして独自視点から説明しても、なかなか相手に受け入れられないかもしれません。
この文脈で、使い古されたフレームワークであっても、ビジネス意思決定の衛生要因を満たす(足切り・予選落ちにならない)という意味で、使うことが有効です。
参考:衛生要因=「ありすぎても評価向上には限度があるが、ないと低評価につながる要素」
2.MECE感を出すため
使い古されたフレームワークを使う意味としては、MECE感を出す、ということもあります。案・企画を検討する際、検討要素に漏れがあるように感じられると、意思決定に至れません。使い古されたフレームワークは、視点に独自性はありませんが、検討要素が網羅されている=MECEであるという納得感を醸成できます。
※参考:MECEとはロジカルシンキングの用語です
PEST分析解説
上述の通り、一般的で新規性がないフレームワークであっても、よく馴染まれていること自体に利用価値があります。外部環境分析フレームワークで、分析結果を提示されると、「あぁ、芸がないねぇ。でも、出発点として抑えておくべき視点ではあるよね」」というものの一つがPEST分析です。
PESTとは、政治(Political)、経済(Economic)、社会(Social)、技術(Technological)の頭文字を取ったものです。
政治(Political)
政治要因は、政府の政策や法律、規制、国際関係などが含まれます。これらの要因は、企業の業績や戦略に影響を与えることがあります。例えば、政府が環境保護のために厳しい排出ガス規制を導入した場合、自動車メーカーは新しい技術開発や投資を行わなければならなくなるでしょう。
経済(Economic)
経済要因には、経済成長、インフレ率、金利、為替レート、失業率などが含まれます。これらの要因は、企業の販売、利益、投資などに影響を与えることがあります。例えば、金利が上昇した場合、企業は資金調達コストが高くなるため、新規事業展開を見送る可能性があります。
社会(Social)
社会要因は、人口動態、教育水準、所得格差、文化、ライフスタイルの変化などが含まれます。これらの要因は、企業の市場機会や需要に影響を与えることがあります。例えば、高齢化社会が進むことで、医療や介護サービスの需要が高まり、関連企業の業績が向上するでしょう。
技術(Technological)
技術要因は、新しい技術の開発、イノベーション、研究開発の進展などが含まれます。これらの要因は、企業の競争力や市場機会に影響を与えることがあります。例えば、スマートフォンの普及が進むことで、アプリ開発やモバイル広告の市場が拡大し、関連企業の業績が向上するでしょう。
PEST分析具体例
具体例:飲料メーカー:ブルー社が、新しい市場に参入する際に実施したPEST分析
政治(Political):
新市場の国の政治安定性や貿易規制を調べます。安定した政治状況があれば、投資リスクが低くなるでしょう。また、関税が低い場合は、輸出コストが抑えられます。
経済(Economic):
新市場の国の経済成長率や所得水準を調べます。経済成長が高く、所得水準が高い国では、消費者の購買意欲が高まる可能性があります。
社会(Social):
新市場の国の人口構成や文化を調べます。若年層が多い国では、エナジードリンクやスポーツドリンクの需要が高まるかもしれません。一方で、健康志向が高い国では、無糖やオーガニックの製品が受け入れられるでしょう。
技術(Technological):
新市場の国でのインターネット普及率やモバイル決済の利用状況を調べます。これらが高い国では、オンライン販売やデジタルマーケティングの活用が有効でしょう。
上記より、飲料メーカー・ブルー社は、新市場における成功の可能性を評価し、適切な戦略を立案する出発点とします。PEST分析は単純なフレームワークで芸はありませんが、分析の出発的としては実施しておくべきでしょう。
他に、外部環境分析フレームワークとしては、下記があります。
3C+3S分析
SWOT分析
サマリ
誰でも知っている、使い古されたフレームワークにも、ビジネスの共通言語としての衛生要因を満たす・企画検討のMECE感出す、という利用価値があります。
PEST分析は単純なフレームワークですが、議論に出発点としても活用できます。