AI関連サービス提供各社の戦略整理
プロローグ
OpenAIによるChatGPTの無償提供に始まる生成AIサービスの流行により、AI関連サービス提供各社の戦略が定まってきました。各社の戦略、マネタイズ方法を考察していきます。
マイクロソフト(B2B領域・AI組込みサービス提供)
マイクロソフトは、下記図の左上・B2B領域+AI組込みサービスを提供していると位置付けられます。
OSのWindows11やブラウザーのEdge、Word・Excel・Powerpoint・Outlook等のドキュメント作成ツールに、AI機能を組み込むことで、利用者の生産性を高める付加価値機能を提供し、月額の課金額に上乗せを狙います。
Officeソフトウェアで文章を作成中に、生成AIに支援してもらってアウトプットの作成を効率的にするイメージです。利用者とはすでに月額課金のサブスクリプション契約を締結済であるため、追加機能に対するプレミアムは獲得しやすい利点があります。
また、Officeソフトウェアで作成したドキュメントは、利用者の自己責任での作成資料であるため、もし生成AIが創造した内容に誤りがあっても、利用者の自己責任にすることができます。
生成AIのマネタイズ戦略として、最も成功確度が高い領域だと考えられます。
SNS各社(B2C領域・AI組込みサービス提供)
SNS各社は、下記図の左下に位置付けられ、B2C領域でAI機能組込みによるユーザー利便性向上・離脱防止を狙っています。
投稿記事の企画案を生成AIが提案したり、情報の検索支援、ChatBot実装が活用例として挙げられます。
本領域も、生成AIの活用として有用だと考えられます。
AI機能自体を提供
下記図の右側の領域は、AI機能自体を有償でB2B・B2Cで提供している各社です。本領域は、OpenAIによるChatGPT無償提供により、一番大打撃を受けました。高機能の無償サービスがリリースされたため、有償機能が売れなくなってしまったためです。
Googleの戦略
現時点では、Googleの戦略は明確に見えません。Google Docsへの生成AI機能組込みは進めていますが、もともと無料利用ユーザーが多いと想定され、マネタイズにつながるは不透明だと考えられます。
検索結果への反映も、利用者が自己生成物へ自己責任で生成AIアウトプットを利用するケースと異なり、誤りがあったときの対応・訴訟リスクを気にしているのか、積極的ではないように見えます。