
【美術館探訪記】日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション@東京都現代美術館
今月10日で閉幕となる、東京都現代美術館の「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」展へ行ってきました。
展覧会について
精神科医の高橋龍太郎氏が、約30年をかけてコレクションした作品群を展示した展覧会。
作品数が多いという事もあるかもしれないけれど、とにかくエネルギーが凄かった…。
これだけのコレクションに一つ一つ向き合って購入する作業は、それもまたどれだけのエネルギーが必要なのでしょうか。
彼自身も、若い頃は映像作家を目指していたものの、草間彌生の作品を目にして、あまりの才能に諦めた、という経緯があるそうです。
それでも、「コレクションする」という行為を通じて、歴史を作る一部となって、現代アートに関わっていらっしゃいます。
現代アートは私にとって、いつでもやっぱり難しくて、分からない。
分からないものを観るのは、結構しんどくて疲れます。
でも、私と同じ時代を生きている人たちが、これらの作品を生み出しているのだと思うと、何だか目を背けたい部分もあるのだけれど、目を逸らしてはいけない気にさせられる展覧会でした。
イチオシの作品
そんな中で、心惹かれる作品との出会いがいくつかありました。
私が今回選んだイチオシの作品はこちら!

Renovated: Gallé Table Lamp
2021
壊れたけれど大切な記憶と共に保管されていたものを包み込み、刺繍を施す「修復シリーズ」の一つ。(作品解説より)
壊れたものを、大切にその記憶と共に布で包み込んで刺繍を施す、というのがとても切なく美しくて、心に残りました。
金継ぎのような、日本の物を大切にする文化も感じられましたし、何よりも作品そのものが、オリジナルのガレとはまた違う美しさを纏っていて、素敵でした。
最後に
最後にもう一つ、展覧会の中で心に残ったフレーズを。
第4章の章解説の一文。東日本大震災に際して、これまで築いたものが崩れ去っていく中で、高橋龍太郎氏は「小さな、人間にもつかめないくらいのミクロを見つめるまなざしから作り上げないといけないのではないか」と考えたとのこと。
同章にて紹介されていた宮永愛子や竹村京は、「ミクロを見つめるまなざし」がとても優しく表れている作品だと思いました。
これから少しずつ、素人目線の美術館探訪記を、イチオシ作品と共に、書いてみようかと。
皆がもっと展覧会に気軽な気持ちで行けるようになると良いな。
誰か見ている方がもしいらっしゃったとしたら、どうぞお付き合いくださいませ。