ほてり
ほてり
月が抱きしめた雲のかけらは
もう暗くなって夜に溶けた
そしたら独りぼっちのはずの月が
さっきより明るくさやかだ
僕は退屈してんじゃなくて
心臓の鼓動を聞いてるの
僕はやる気ないんじゃなくて
この熱であっためるものを探してる
太陽だって僕だって
めいっぱい燃え上ってる
その火の使い道を
誰かが差し出してくれるのを待ってた
君の笑顔が
僕の熱の隙間に入ったよ
体を包むこの微かな熱が
流れ溶けないように
朝も昼も晩も
夢見てるみたいに
ここにいない君が見えて
熱くなってく
味気のない毎日を
噛み砕くかのように空が騒ぐ
真っ赤に燃え上がる落日と
鳥が暴れ飛んで雲を割く
太陽が燃やし尽くした雲の隙間
早く出すぎた月がのぞいた
そしたらお迎えにきたみたいな星が
独りぼっちの月に笑った
僕は間違えたんじゃなくて
正解の道を探してんの
僕は言い訳ばっかじゃなくて
あえてぐるぐるして燃えてんの
だからさ、頼むからさ、
どうかもうちょっと僕に笑顔をくれと
叫びだしそうになるのをこらえた
胸が熱く熱く熱く燃えてる
とまんない鼓動に冷めないでって
胸を押さえて飲み込んだ
「お願い」
君の笑顔が
僕の熱の隙間に入ったよ
体を包むこの微かな熱を
全部拾いつくす
朝も昼も晩も
夢見てるみたいに
ここにいない君が見えて
欲しくなっていく
君のいない毎日を
あざ笑うかのように空が凪ぐ
真っ青に青ざめた快晴の
雲全部飛ばした突風が去った