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海外ノマド-フランスのアルザス地方 クリスマスマーケットで働く。好きなことだけを追いかけたらこうなった

海外ノマド生活をしている私は様々な仕事をしている。その中の1つがフランス、アルザス地方のクリスマスマーケットでの仕事だ。

その話をすると
「私もクリスマスマーケットで出展したい」
「クリスマスマーケットで仕事したい」

という人もいたが、クリスマスマーケットでの出展、いや出店なんてイベントに軽く参加するのと異なり、地元の人たちが昔からその場所を借りて何年も同じ場所で出店しているし、販売物に関してもかなり厳しく規制されているので例えば海外から来てひょこっと出店できるようなものでもない。

恐らくフランス、アルザス地方のクリスマスマーケットで働く日本人は他にいるの知らない、恐らく私の街では他にまだ見かけたことがないので、意外と特殊な仕事かもしれない。

今回はそんなクリスマスマーケットで働くこと、について書こうと思う。


私のクリスマスマーケットでの仕事

私も自分の小屋ではなく、他の人が営む小屋で働いているだけだ。私はある小屋でクレープを焼いている。今の小屋で実はある意味3つ目の小屋になる。
今働いている小屋は、ホットワイン、ワッフル、クレープのお店だ。私は元々ここのお客さんで、その縁からここで働いている。
そう書くととても簡単に聞こえるので、詳しくその経路を話していこうと思う。

どうしてアルザスのクリスマスマーケットで働いているのか

とっても簡単なことなのだが、私は地元愛が強い。アルザスは私にとって第二の故郷で、自分の人生でとても大事な場所でもあった。

だからここ地方での伝統的なイベントであるクリスマスマーケットが好きで、アルザスのクリスマスマーケットに関してかなり詳しくなった。

そして好きすぎてその中で働きたいと思ったのだ。

また私はクレープが好きで、大好きなクレープ屋で大学生の頃働いていた。そしてクリスマスマーケットでも好きなクレープ屋さんがあって、そこで働きたいと思ったのだ。

好きな街の
好きなイベントの
好きな食べ物屋

好きなものを突き詰めたらこうなってしまったのだ。

きっかけはクレープ

今働くお店の前に、私は別のお店で働いていた。
実は元々以前クレープ屋で働いていたので(学生バイト)クレープが焼けるという特技があった。

クレープ、特に食事系クレープ(そば粉クレープを含む)が好きで、それで大好きなテイクアウトのクレープ屋さんで
「ここで働かせてください」
とずっとお願いし続けて、1年以上お願いして、ある日そこで働いていた女の子が辞める時に働かせてもらい始めたのがきっかけだった。

その後、フランスのアルザス地方滞在時に、クリスマスマーケットで好きなクレープ屋さんがあって、そこに何度か通っていて、又同じように
「ここで働けますか?」
と聞いてみた。
そして、ある日その小屋のボスとカフェで話をして
「じゃあ、来年、クリスマスマーケットが始まる2日前までにまたここに来て。」
とだけ言われて、本当に1年後その店に行き、そこからそのお店でフルタイムで働き始めた。

履歴書も出さなかったし、本当にただの口約束のような感じで、1年後に又そこに戻るということで仕事が決まった。それからしばらく数年間毎年1年に1カ月だけ、働いていた。

お店を辞めることになって別の店へ

その後、実はちょっとハラスメントのようなことがあり、またそのタイミングで、ボスがお店でクレープ販売を辞めてホットワインのみのお店にしてしまったということもあって、その小屋での仕事が終わってしまった。

それから別のクリスマスマーケット内のクレープ販売をしている小屋、特にそば粉クレープを売っているお店でよくそば粉クレープを食べていた。そこで又別のお店のオーナーと仲良くなって
「ここで人募集していますか?」
と聞いて、それから数年後、その時に働いていた人が辞めることになってお誘い頂いた。ここでも履歴書もなにも出してもいない。

それから2軒目の店で数年働いていてクレープを焼いていた。

そして、その後そのオーナーさんがお店を息子に引き継ぐことになり、息子が友達と一緒に仕事をすると、私はそのお店をフルタイムからパートタイム、そして辞めることになった。

その後コロナもあってクリスマスマーケットが1年中止になったり、もしたが、その後、そのお店が場所を移動して、お店も拡大したため、又働けることになった。そこでパートタイムからフルタイムとして働けるようになり、今も継続している。そういう意味で2軒、もしくは3軒のお店で働いている。

だからずっと継続して仕事をしていたわけではなくて、仕事をしていなかった年も何年かあるが、それでも合計10年ほどクリスマスマーケットで働いている。

意外と大変なクリスマスマーケットの仕事

パッと見たら楽しそうにも感じるクリスマスマーケットの仕事だが、実は意外と大変だ。大抵のお店は最低限の人間しか働いていないし、この仕事は1カ月の期間限定のとても特殊な仕事だ。

開店から閉店まで、そしてクリスマスマーケット開始から終わりまで、ずっとノンストップで働いていた。休憩もなく、1日10時間ほど、ただただクレープを焼き続けていた。トイレに行く時だけ、抜けてそれ以外はずっとクレープを焼いていた。
外にある小屋で、もちろん中に暖房があるわけじゃない。クレープ機の前なので、ある程度温かい環境でもあるが、外で立ちっぱなしで働き続ける。

休んだら、代わりの人もいないので、本当に大変だ。

クリスマスマーケットは特殊な環境

また、クリスマスマーケットは、年に1カ月の仕事なので、かなり特殊だ。商人の世界というか、イベントで働く人たちの集まりというか、とても特殊な世界だ。
私のボスは、元々はアルザス人でちみつ農家だったが、それからマダガスカルに移住して、1カ月だけアルザスに戻ってクリスマスマーケットで2軒の小屋を運営していた。メインはホットワインで、子供用にとクレープも販売していた。

そんなボスは恐らくこんな環境のせいか、この環境に馴染めない人も多いからなのか、5回結婚している、という強者だった。それも全奥様が別の国の方だと言う、すごい方だった。
昔の写真をSNSで見かけたら、確かに若い時、ものすごいイケメンだったみたいだ。

そして、一緒に働いていた人たちも、この時期だけカップルになるような、そんな環境でもあった。

クリスマスマーケットで働く、ということ

クリスマスマーケットは1年で1カ月しか開催されない特殊な仕事環境だ。ということは、1カ月フルタイムで休みなく働ける環境にいなければならない。フランスなら、正社員でどこかで働いていても年5週間休みがあるので、ある意味クリスマスマーケットで働くことは不可能ではないかもしれないが、準備なども考えたり、夏休みなども考えると11月末~12月末まで休める仕事なんてなかなかないかもしれない。

私もこの仕事を継続したいがために普通に仕事をしないでいた時期もあった。もしくは、学生だったので、この時期は休み期間になるため、仕事ができていた。人生において、毎年1カ月何もしないでここで働く、というのはなかなか難しいことだ。

クリスマスマーケットで働く人々は…

では他の人はクリスマス時期以外は何をしているかと言うと、いくつかのパターンがある。

●移動型の商売をしている人
クリスマスマーケットでもお菓子をメインに販売している人、もしくはクリスマスデコレーションを販売している人たちは、別の時期には同じように移動でお菓子やその季節のものを販売している。
例えば夏なら移動遊園地、イースター時期のお祭りなどそういう移動しながら様々なイベント系の場所で販売をしている人たちがいる。

●全く別の仕事をしている
中には実は別の仕事をしていて、この時期だけクリスマスマーケットで小屋を建てて仕事をしている人もいる。うちのボスも元々はちみつ農家だし、マダガスカルに住んでレストランなどを営んでいたようだが、実際はクリスマスマーケットで1年分の生活費を稼いでいる、なんて言っていた。

●正社員ではなく、不定期な季節仕事や派遣の仕事をしている。
中にはその小屋のオーナーではないが、オーナーと一緒に働いている人は、季節仕事をしながら安定しない仕事をしている人や普段は派遣などの仕事をしている人もいる。
もしくはアーテイスト、なんていう職業の人、フリーランス系の仕事をしている人、もちろん学生もいる。今のお店は学生も多かった。

●同じ商品を売る仕事を別でしている
普段はお店を構えて仕事をして、クリスマスマーケットの時期は小屋も建てて商売している人たちもいる。
一番おいしいと言われていたクレープ屋さんは、普段は小さなクレープ屋さんを運営していて、この時期はお店を閉めてクリスマスマーケットで仕事をしていると言っていた。(最終的にお店は引退して、クリスマスマーケットだけ継続している。)
アルザス陶器を販売しているお店は普段は陶器の村で工房で陶器を制作し、その工房で販売をしている。
こういう人たちにとってもクリスマスマーケット時期は普段の販売よりもずっと売れるはずだ。

クリスマスマーケットは稼げるのか

答えはYESだ。ただし、何を売るかにもよるかもしれないが、多店舗を営む人たちもクリスマスマーケット時期での販売は上がるはずだ。
ホットワインや食べ物系を販売しているお店は週末の販売はかなり大きい。うちのボスも1カ月で1年分の生活費を稼ぐと言っていたほどだ。
ただし、マダガスカルという物価の安い場所なら1カ月のクリスマスマーケットの販売で1年間生活できる、ということだった。

マーケット、市場という場所でもあるので、確かに通常の仕事よりも稼げる。通常休みもなく1カ月働けば、通常のフランスの仕事時間に比べると、倍以上になる。それが違法なのか私は分からないのだが、1日10時間以上勤務、週7日間で30日働くと、単純計算で300時間勤務になる。

本来フランスは週35時間勤務だから、倍以上の勤務時間になる。時給でもらう人もいれば、月でもらう人もいる。私は時給でもらうが、最低賃金よりは多く稼げる。

今の小屋はそれくらい働く人もいるが、私はフルタイムでも他の人たちよりも少なめなので、そこまで稼げていないが、それでも、時給などは最低賃金よりも高めで時間も多少長いので、1カ月でそこそこ稼げる。

ただクレープを焼き続けるというのはかなり大変だ。中にはホットワイン販売担当もいるが、大変さは結構違う。

クリスマスが日常過ぎて特別感がなくなってしまう…

私は地元愛が強いので、自分の住むアルザス地方の歴史あるイベントで働けることに感謝しているが、あまりにも毎日がクリスマス過ぎて、クリスマスが特別に感じなくなってしまっている。それが少し残念だが、1カ月間こんなにクリスマスを感じる環境にいられることもとても幸せだなあと思う。

この先もこうしてここで働き続けることができるのか…。それは分からないけれど、この先もこうしてこの場所にいられたらいいなと思う。

好きなことをしようとしたらこうなった

好きなことだけをして生きていくことは難しいけれど、クリスマスマーケットは年に1ヶ月だけの特殊な環境だ。中で働くのと見に行くのは実際全然違う。

けれどフランスに住み、アルザスに住み、その地方の歴史的、伝統的なイベントに参加できること、それはやっぱり外国に住みながらちゃんとその地の伝統に触れて生きていけている、それこそ海外移住した楽しみかなと思うのだ。




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