海外ノマド…「幸せ」になるのは自分の思考次第。ベトナムで人間不信になりながらも進む道
海外ノマド…今はフランスの地方都市に住んでいるが、その前は仕事でベトナムに住んでいた。
その時から今まで、実はかなり苦労の日々を送っている。そして、ベトナムの計画性ない思考のせいで、かなり私の人生そのものは足踏みをし、不安定な日々を送っている。
海外暮らしって意外と楽じゃない。私の人生は日々なにかしら辛いことが起こり、この１年も本当に落ち着かない日々を送っている。けれどそれは考え方１つでラッキーだと思えたり、不幸だと思えたりするんだと思う。
よく「思考が現実化する」なんてあるが、それはもしかしたら同じことが起こった時にどう考えるか、なのかもしれないと思うのだ。
そして契約は急に終了した
契約が終わる２，３か月前に契約更新の話をしていたのに、契約終了１カ月ちょっと前に「日本人スタッフは要らないと言うことになったので、契約更新しません。」と言われて、急遽無職になり、国外追放されてしまうことになった。私は仕事のためにベトナムに来たので、１カ月前に急に言われても、かなり大がかりな引っ越しが待っていた。
そして、契約更新の話をしていたので、色々書類もそろえ始めていて、本当にショックが大きくて、その先どうしていいのか分からなくなっていた。
そして、その時知り合いが系列会社で日本人スタッフを探していると教えてくれた。本当なら、その時に色んなことを考えたかったのだが、１カ月、仕事も継続しながら、なかなかちゃんと考える時間や引っ越しの時間すらなかった。もう少し時間があれば
●私はベトナムにいたいのか、それとも仕事のためだけに、ここに来たのか
●この先ベトナムで次の仕事を探すのか
●新しくやりたい仕事のために就職活動をするのか
と色々考えたいこともあったけれど、とりあえずは目の前にあったその求人に応募することにして、ベトナムに残りながら次のことを考えようと思った。丁度その頃、自分の生活も落ち着いてきたところだったし、自分の住んでいたアパートも好きだったし、アパート近くの人とも仲良くなったところだった。
３年いて、やっとベトナムの生活にも慣れてきたと思ったところだったのに…という感じだった。
ベトナムの仕事は辛かったけれど・・・やり甲斐はあった
急に契約終了を告げられ、本当にショックだった。けれどその前にも何度も何度も「辞めます」と言っていた。そんな中で止められ、そして３年間頑張っていた。そしてこの契約更新の前も、本当は「辞めます」と言っていたのを説得されて、残ることにしたのだ。
それなのに、大学側はあっさり私を切ったのだ。
ベトナムの仕事は辛かった。仕事で行っていたので、どう遊んで良いかすらわからなかった。自分で色々仕事を増やしてしまって、クラス数も異常に多い中、それ以上に国際課の仕事やキャリアセンターの仕事を兼任して、兎に角寝る時間しかないような日々を送っていた。
人生で一番忙しいと思うような日々だった。
そして、コロナ禍のロックダウンの頃にいたので、人生であれほど辛い日々もないくらい辛い１年を送った。言葉も文化も、知り合いもいないベトナムに到着して１週間隔離の後、国がロックダウンになり、結局１年間のうち１カ月だけ、キャンパス、後の１１カ月はオンラインで、たった一人で過ごさなければならなかった。
誰もいない職場にある寮で、誰もいないので食堂もお店も閉鎖され、日々の食事すらまともにできない状況で、本当に何度か死にかけた。ベトナムには本当に良い思いでもなかった。
けれど、腹をくくって仕事をして、そして３年経って急に契約を更新しないと言われた。当然それは違法ではないし、正当だ。
そしてとりあえず私は系列会社を受け、無事採用された。しかしながら又ここでもかなり辛い日々が待っていた。その企業への応募はかなり多くあったようだ。というのは私の職種にしたら待遇がかなり良くなっていたようだ。
他の同僚に聞くと、転職理由は皆同様、待遇だった。
「前の組織に比べて待遇が倍になった。」なんて言っている日本の方もいたほどだ。
だから、恐らく、待遇だけを考えて、就業時間なども考えたら、この転職は皆がするであろう、転職先だったのかもしれない。
けれど、待遇はある程度大事ではあるが、私の求めていた職種ではなかったので、そこは少し戸惑った。
けれど、大企業で働いたことのない私は、このベトナムでも誰でもが知る、大手１０社に入るベトナム企業で仕事ができることはそれはそれでいい経験になるかもしれない、もう企業でなんて仕事ができないと思っていた私には、それはそれで「幸運」なことかなとも思えた。
採用されたのにＶＩＳＡが取れない？？
採用後、私は一度家に戻ってＶＩＳＡなどを待つことにした。それなのになんと、ＶＩＳＡが労働許可証が取れないということになったのだ。そして、正社員の仕事のはずがＶＩＳＡが取れないからと１カ月毎更新の業務委託契約にされてしまったのだ。
そこで仕事を辞めることもできるが、海外での仕事の場合は失業手当もでない。貯金は少しあったけれど、それでもやっぱりそう簡単に仕事を辞めるわけにもいかない。業務委託と正社員では待遇も全く異なるし、そういう１カ月ごとの業務委託契約なんて、ベトナムに住む権利のない外国人にするなんて、なんて会社だろうと思った。
待遇で言えば、正社員なら（その前の機関もだったけれど）
●ベトナム労働法に基づく健康保険
●プレミアム医療保険 (
●宿泊手当
●航空運賃手当
●労働許可証と就労ビザの申請費用の補償
●テトホリデー（ベトナム旧正月）ボーナス
●有給
などがあるのにこれらが一切なくなった。だから、当初自分でVISAを取って、３カ月限定でベトナムに自己負担で行くことになった。
ベトナムに戻って企業で働き始めてすぐに体が悲鳴をあげた。やはり企業勤めは今更できないし、９時―５時の仕事も合っていなかったし、通勤も苦だった。
そして、なんと、気に入っていたアパートまでも追い出されることになっていまったのだ。
私のベトナム生活は本当に不安定極まりないものになってしまった。この先VISAを取ってもらえるかもわからない、労働許可証ももらえない、そして、その前にやっと築いてきた色々なことも、崩れていた。
「私はなんでベトナムにいるんだろう？」
そんな風にも考えながら、結局私の仕事はオンラインでしていたので、
「家からできますね」
と言われてあっさり家に帰された。
「労働許可証が出るようになったら、正社員になれるんですか？」
と聞いても明日のことは分からない、計画性のないベトナムでは
「わかりません。」
としか言われなかった。
就職活動して、採用されて、労働許可証が取れないからと家に帰される。日本人が日本で就職するのと訳が違うし、その仕事のためにベトナムにまた来て、労働許可証が出ないので、銀行までも凍結された。それなのに、給料がそのベトナムの銀行に入金されるというなんともシュールな状況になってしまった。
結局新たな契約書を結び、私はあだ自腹で家に帰ることになった。それも１カ月もない、２週間くらいに前に言われて、飛行機代も高いし、何もかもが急なことで、又ベトナムに戻るかもわからない、どうなるかもわからないまま家に戻ったのだ。
オンラインで時差の仕事が始まる
そして、結局オンラインで時差もある中仕事が始まった。ひどい時は朝の４時から仕事をしなければならず、やっと最近朝８時～午後までの仕事になり、少し楽になってきた。仕事にも慣れてきた…。
でも、VISAや労働許可証の話のないまま、オンラインの仕事でも求人があったので、きっとこのままオンラインとして仕事をさせられる気がした。
また、日本人スタッフも増えたので私の今の契約が終わったらまた切られるんだなという気がしている。
もちろん、私もちゃんと安定した仕事を探してベトナムに行ったので、その傍ら、家に戻って来てから就職活動もしている。先が見えないことにただただ待っているわけにはいかないからだ
そんな中、履歴書で落とされるものもあるし、面接に進むものもあるが、今この状況だと以外と落とされることが多く、まだ次の就職先も決まらない。
もちろん、今こうして業務委託として仕事が継続もできているし、家から仕事もできることは有難いことかもしれない。でもそれは決して私が望んだ形ではなかった。
そんな中以前の職場で見かけた光景にショックを受けた
そんな中、ふっと以前の職場のSNSを見てしまって、ショックで涙がでた。なんと新しい日本人スタッフが入っているのだ。それも私が辞めて数か月後のことだのだ。
私は…騙されたのか？
もしも私ともう仕事がしたくないなら、そう言ってほしかった。でもなんの連絡もないまま、別の日本人スタッフが入っているなんて、
「日本人スタッフは要らないということになった。」
というのはどういうことなんだろう？私は日本人スタッフが必要だという証明をするための資料を作ったり、もう辞めるのが決まっている中、オンライン用資料作成の仕事が残っていて、内部として、本来、今年も数か月かけて制作予定だったのに、契約終了までに終了しないといけないと、契約終了まで、引っ越し作業などもある中、日々夜中まで残業室続けていた。
それなのに、誰も教えてくれないまま新しい日本人スタッフが入っていて、組織のＳＮＳに出てきているのだ。
私は・・・一体何だったんだろう…。辞めさせ方がひどすぎる。私が次の職場で結局ＶＩＳＡが取れず、労働許可証が取れず、かなり苦労していたのも分かっているはずで、もし又日本人スタッフが必要になったのなら、声をかけてくれても良いものなのに…。
結局私がいらなかったのだろうか…
ショックで泣いた。
家に戻って来てから起こっている奇跡
ただ、私は前の仕事を辞めて、今の仕事になって、もしも待遇だけの面や時間的拘束を考えると、恐らく「今の方が良いじゃん」と思う人が多いかもしれない。
色々福利厚生はないし、ベトナムにはいられないが
●待遇、給料そのものは３０％ほど上がった。
●家からできる仕事なので、もしもベトナムにいたいという場合は別だが、ある意味の本当の「ノマド」のような手軽さを手に入れた
●以前の職場は寝る時間以外働いていたような感じだったが、今は９－５時のような時間帯で仕事ができ、週末は休みだ。
ただし以前は夏休み、冬休みと実は長期休暇的に家に戻ることができた。
それだけ考えれば
「今の方が良い」
と思う人もいるかもしれない。そして家に戻って以前していた仕事も少しできるようになっているので、そういう意味ではマルチワーカでもいられていている。
でももし以前の仕事を辞めていなければ次のステップに進むことなく、同じ場所にいたかもしれない。辞めたらからこそ開ける道があるかもしれない…。
幸運も不幸も自分次第
結局は何でも考え方なんだと思うのだ。仕事の契約更新がなかったお陰でできたこともたくさんある。現在の仕事も以前より給料が３０％上がって仕事量も減った。今の仕事の方がストレスも少ない。
家からできることもかなり有難い。オンラインだし、もしも希望すればノマドワーカーとして生きていくこともできるのだ。
そう考える人なら、きっと私はラッキーだ。
そして、次の仕事も又ちゃんと決まれば、こらは以前の仕事を辞めたからこそ見えた新しい仕事でもあった。今考えると、どうやってあの仕事を見つけたんだろうと思ったりする。
そして、前の仕事はその仕事以外何もできなかったので、辞めてまた少し視野を広げることもでき、以前の仕事も再開したりして、結局総合的な給料も上がったことになる。
でも、やっぱり日本人がいらないと言われて辞めて新しい日本人が入っているのを見たり、自分が築いてきた仕事からすっかり外されたりして多くの人間関係を失くし、そして人間不信にもなり、自分なんて要らない人間なんだと、少し考え込んだりもした。そう思ってしまったら、自分は不幸なのだ。
ただし、起こっていることは同じこと。それを幸運と取るか、不幸と取るかは自分次第だ。たとえどんな困難があっても、その先に何か良いことがあって、それがその前の悪い出来事があったからこそ、成り立つこともある。
ベトナムに行くタイミングも、本当に最低な時期に出発してしまった。本来もっと早く行けるはずだった。そしてベトナムにいた時期は本当に辛かったのだけれど、あの時に行ったからこそ体験できたありえないことがたくさんあった。
本当に辛く苦しく、あんなに大変だったことは人生においてないのだけれど、その中でもベトナムに行って行っていなければ味わえなかった多くの体験もできたし、その３年間で、ベトナム人学生を４０人ほど日本に研修で送ったり、他の仕事も多くできた。
大変だったけれど、遣り甲斐のある、仕事ができた。そしてそれはあそこに行かなければ味わえなかったことだった。過去に関して、後悔はしていない。そして辞めたこと辞めなければならなかったこと、そして辞めたからこそ見えたものもある。
まだこの先のことは分からないけれど、今待っている奇跡がもし叶ったら、今までのことも、この先のことも、これで良かったんだと思えるような気がするのだ。
人生は思ったように上手くいかないし、本当にしたいことができるかどうかも分からない。それでも、自分を信じて、一生懸命生きていたら、いつか、本当に遠い未来かもしれないけれど、奇跡は起こると私は信じている。
今また悲しいことが起こって、自分なんて本当にいなくてもいいじゃないか、なんて思ったり、この場所に自分の居場所なんてないかもしれない、なんて思うこともあるが、それでも、私は自分を信じて前を見て、自分の道をまっすぐ進んでいきたいと思う。
それがどこに住んで何をするか、それは自分だけが知っていればいいと思う。
またベトナムを嫌いになりそうだし、大嫌いになりそうだけれど、今こうし家に帰ってできた色々なことは、それがきっと運命というか、そういう人生の流れだったんだろうと、信じていきたいと思うのだ。