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「DE」という会社をつくりました。

こんな緊急事態宣言がでるかでないかという世知辛いタイミングですが、1月からDEという会社をつくりました。「ディーイー」と読みます(今回は鳥にはしませんでした)。博報堂時代からずっと一緒に仕事をしているデザイナーの柴田賢蔵と「共同代表」という形です。渋谷の桜丘に事務所をかまえました。僕がネット工事をミスってまだネットも通ってませんが、景色のいいシンプルなオフィスでとても気に入っています。

柴田賢蔵/ Kenzo Shibata
Co-Founder/ Designer / Creative Director

僕がよく紹介する旬八青果店、文鳥文庫、黒染めリサイクル「K」などのデザインは全て柴田のものです。WEARのロゴデザインもそうですし、東京メトロのFind my Tokyoシリーズもずっと手掛けています。とにかく「自分で手を動かして」作り上げる確かなクラフト力と、問題整理や課題解決の思考力/アイデア力がずば抜けている類を見ないデザイナーです。

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http://shibatakenzo.com/

有井誠/ Makoto Arii
Business Director

もう一人経営メンバーで、有井誠に参画してもらいました。有井はボストンコンサルティンググループ出身なのですが、今は手触りあるプロダクト開発に挑戦し、国産天然原料しか使わないハウスケアブランド「Komons」や、国産の高級フルーツをつかったレアドライフルーツ「Fruitest」や、電子マネーで支払える都市の青果直売所F-Stand」をつくっています(こちらも全て柴田のデザイン)。有井は、「香り」を探しに独りで日本中を旅したり、一人で家のキッチンで香りの調合などをしてたりするそうで、「え、なんでそんなことしてるの?」という(一見)超絶非合理にみえるような、でも手触りとか感覚とかそういうことをものすごく大切にする人間です。コンサルの合理性とクリエイターとしての非合理性を両方もつ希少なタイプで僕自身もとても尊敬している仲間です。

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岩田英也/ Hideya Iwata
Art Director/ Creative Director

もと大広のアートディレクターだった岩田です。現在、バーガーキングのCDも務めており、昨年大きく話題になった「私たちの勝チ」の縦読み広告なども岩田が携わった仕事です。デザインもさることながら圧倒的なバランス感覚をもった最高のAD/CDで、これから一緒にやれることがとても楽しみです。

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# DEという名前の由来

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DEの名前は、英語の接頭辞の「脱-」という意味からとりました。DEを頭につけることで、その概念から「脱する」言葉に変換されます。例えば、Deconstruction(脱構築)、Derailment(脱線)、Detoutchment(脱離)、近年は「Degrowth」という「脱成長」というような言葉にも使われたりもするそうです(一番わかりやすいのは「デカフェ」かもしれません)。

DE = 脱~。否定や脱却を意味する名詞や動詞を作る。

新しい会社のテーマは「逸脱」「脱線」にしたいと考えていました。いま私たちはいろんなものから「脱する」ことが求められているように思うのです。いろいろ名前を考えた結果、「DE」という二文字が最もミニマルにその概念を体現していると行き着きました。

古き慣習、悪しき伝統、当たり前だと思っている不合理な常識、人を思考停止させるシステム、誰も認知できていないバイアス。そんな過去から、そろそろ「脱する」時だと思うのです。例えば、「資本主義」や「経済成長信仰」だってそうではないでしょうか。

ビジネス界隈はずっと「資本主義」と「経済成長」を信じてきましたが、もう限界を迎えていることは、おそらく多くの人(特に若い人たち)が感じていることです。しかも経済成長を果たして物質的な幸せを手にした先には、環境破壊やさらなる格差などの問題も生み出してきました。

どこに行けばいいのかはまだわからない。けれど新しい道が必要なことはわかる。だから私たちはまず「脱線する」「逸脱する」ことを目指すことにしました。そもそも「アイデア」というのは「逸脱」からしか生まれません。現状を否定し、常識を裏切る行為です。逸脱しないことには「新しい道」を見つけることもできなければ、誰も見たことのない景色をみることもできません。

クライアントとともに、時には自社のサービスで、「逸脱」を提案しつづける、そういう組織になればと考えています。

DE = Design and Engineering 

実はもう一つの意味(これは後付けなのですが)ありまして、「DE = Design and Engineering」というものです。我々の仕事は、どこまでいっても「デザインとエンジニアリング」の2つに行き着くと考えています。それは「とにかく手を動かして"つくる"こと」を絶対に忘れないようにする決意のようなものでもります。今のビジネス社会は、頭でっかちになっているように感じます。もっと手を動かし、つくり、感覚で捉えていく、そういうことを大切にしていきます。

 さて、どんな仕事をしていくのか。

(ここからは会社というよりも、僕個人の意見に近いです)

1. 社会性/文化性あるコミュニケーション
今後、広告コミュニケーション領域においては「社会性、もしくは文化性のあるもの」しかやらないことに決めました。商品を売るための通常のマーケティング・コミュニケーションであれば、僕がやる必要性はまずありません。例えば、ジェンダー平等の推進や人種差別をなくしていくためのプロジェクト、防災減災を啓発する取組み、世界平和につながるような政治的アクション。そういう仕事をしていこうと思います。※ DEの他のメンバーはこれに限りません

2.  コンサルとクリエティブの融合(事業開発)
この業界に入った頃から「どうしてコンサルとクリエイティブはこんなにも融合しないのか」ということを考えてきました。僕だけに限らず、この業界の永遠のテーマの一つだと思います。なので、DEでは、広告づくりではなく、事業そのものをつくるところから、長期的にコミットできる仕事をしていきます。BCG出身でプロダクト開発にも強い有井とともに、事業開発から広告的技術を組み込むようなプロジェクトをサポートしていきます。広告の仕事は、プロダクトやサービスができあがった後に依頼されることが多い仕事ですが、アイデア、企画、デザイン、コピーライティングといった技術をもっと開発の段階から使っていきたいと思うのです。「つくったあとに広告する」のではなく「プロダクトそのものに広告的要素を付加する」ことを目指していきます。

3. 日本のローカルの仕事
日本の地域のためになるような仕事をしていきたいと思います。日本のローカルにはまだまだ可能性があるしそれはこれから広がっていくだろうと思うのです。少しでも、その手助けをするような仕事ができればと思います。実際にいくつか地域の仕事がすでにスタートしました。もし興味のある方がいたら気軽にご連絡をください。

4. 自社サービスの開発
自社サービスをつくり、1年後に会社の収益の半分を生みだします。クライアントとともにプロジェクトを動かすこともとてもやりがいがあるのですが、会社としてはクライアント依存という状態は健全とは言えません。自社エンジニアとともに、自社サービスを開発中で4月ころにローンチする計画です。

 (5. お店やります)
(これはもう個人のただの夢のようなものですが、お店は必ずやります。なんのお店かはまだ内緒ですが絶対お店やります!もう場所の目安はつけてあります!)

ようやくスタート地点

僕は36歳になり、とっくに中堅どころに立っています。でも個人的な思いとしては「ようやくスタート地点にたった」という感覚をもっています。仕事をはじめて12年。バットを降り続け、トレーニングをし続けて、ようやく戦えるだけの基礎・基盤ができたとは思うのです。実際、長いビジネス人生を考えたらまだまだひよっこです。なので、ここからの未来には、とても期待しています。

2021年を迎えた今日は、新しい資本主義の形、脱成長社会において「どう生きていくか」を考えなければいけないタイミングです。失われた30年などと言われた私たちの世代は、あくせくと働いて、物質的な豊かさを追い求めることの限界を知っている世代でもあります。だからこそ、その責任をまっとうしたいと思うのです。

でも僕はそこに大きな希望を抱いています。今日から先は、物質的な豊かさの次の「文化的/精神的な豊かさ」を思う存分に追いかけられる未来です。僕個人も、DEという会社でもそういった未来に貢献できるように、全力で取り組んでいきたいと思います。粛々と、淡々と。

不束者ですが、ひきつづき、よろしくお願いいたします。

追伸:なんかベランダにカラスがいた跡がありました。こわいんだか、うれしいんだか。

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渋谷の桜丘にオフィスをかりました。ぜひフラット遊びにきてください。仕事は正直3月まではいっぱいいっぱいなので、4月以降の稼働できそうなものであればぜひ気軽にご連絡をください!上記に書いたような、社会性/文化性のある仕事、サービス開発の根幹に入る仕事、地域の仕事などなどご連絡をください。あとエンジニアとデザイナーをプロデューサーを募集しています!


WEB : DE Inc.


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